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第23話 波に肖って行け

高級感漂う応接間では、未だに薄い緊張感が漂っている。しかし先程と異なるのは、互いに明らかな敵意を向ける事はしていないという点だ。


「で、詳しく説明してもらおうか。こっちとしてはまだ状況が呑み込めていないんだが...」


「さっきの非礼は詫びるよ。ロッタ女史にも謝らないないとね。本当にすまなかった。」


リアーナはそう言って頭を下げた後、顔を上げて使用人に茶を持ってこさせた。ロッタはそれを受け取ると、静かに口に運び、小さくため息を吐いた。


「私、人に試されるのは嫌いだわ。上からものを言われると虫唾が走る。」


「まぁまぁそう言わずに。今回の事を説明するよ。」


そう言うと、ロッタは今回の件の説明を始めた。


「まぁアンタ達はもう知ってるんだろうが、海底都市ミレーの存在は一部の権力者や実力者の間にしか知られていない事になってる。それは何故だと思う?」


「何故って…貴重な魔法資源があるからだろ?」


「まぁそれも一つの要素なんだけど、もっと大きな理由がある。それは単純に()()()()()()()()()()すら尋常じゃなく危険だという事だ。」


「道のりですら…?そりゃ海底にあるんだから行くのは難しいだろ。」


「そんなもんじゃないんだよ。激しい海流に超大型の海獣。触れるだけで魔法を分解する海藻や、爆発する気泡…他にもまだまだ危ない物だらけだ。欲に目がくらんだバカじゃあ行けない。しっかりとした対策を取れる者でなければね。」


「なるほど…無駄な犠牲を出さないための隠蔽なのか。」


「まぁそんなとこ。そして無事ミレーに到達できるかを判断するための2つの試験が行われる。」


リアーナはニヤリと笑いながら、人差し指と中指を立ててこちらに向ける。


「この港町パーシィには、一週間に大体2〜3組程度、海底都市ミレーやノロメナスルの涙の存在を耳にした者たちが訪れる。まぁ裏の情報屋なんかからその情報を仕入れたんだろうね。」


さっきの話の通り、海底都市の情報を知る者はごく一部に限られているが、それでも情報というのは必ずどこかから漏れ出てしまうもので、裏の優れた情報屋がその情報を上客に売っているという。


「しかし奴らの多くはミレーへの航路を知らず、帰らぬ者となる。…まずこれが一つ目の試験。」


「その時点で試験は始まってるのか?」


「まぁこれはウチらが意図して仕掛けてるものじゃないけど…その手のルートに通じてる奴は自然とウチに航路を聞きに来るのさ。海底都市の存在だけ知ってても、そこに向かう航路はマジに極秘だからね。まずはそのくらいの情報を集める能力がなけりゃ話にならないって訳。」


「なるほどな。」


「ハヤタ君は自然とウチと巡り合ったけど、ロッタ女史はウチらが航路を知ってる事を事前に調べてたようだね。だから合格。情報収集能力は上等だ。」


リアーナがロッタにニヤけ顔でそう告げると、ロッタは不機嫌そうな顔で髪を静電気で逆立て始めた。


「そして二つ目。それがさっきの戦い。ミレーに行くんだ、状況適応能力や戦闘力のレベルが高くないと航路は教えられない。」


「ん?状況適応能力が必要ってのは分かるが、戦闘力も必要なのか?」


「もちろんさ。ミレーは元々、犯罪を犯した高位魔術師たちを閉じ込めるための収容所でね。それなりの戦闘能力は自衛のために必要だ。秩序はあるが治安が良いとは言えない部分もあるからね。」


「収容所…!それが時間の経過と共に都市として発展していったのか…」


リアーナの話を聞くに、海底都市はその名前に抱くファンタジー全開のイメージとは多少なりとも異なるようだ。罪を背負った高位魔術師たちが築いた都市。たしかに最低限の自衛能力は必要だろう。


「・・・そんなことはもうどうでも良いわ。」


リアーナがミレーへの海図を手に入れるための試練の内容を話している間、ずっと不機嫌そうな顔をしていたロッタが久しぶりに口を開いた。隣に座る彼女の体からはずっとパチパチと電気の鳴る音がしている。


「試されたのは癪に障りますが、何はともあれ私たちはその試練を突破したのでしょう?ならば早く海図を渡してもらいたいのだけれど。」


「はは、せっかちだね全く・・・でもそんなに焦らなくても、海図ならあんたの目の前にあるじゃないか。」


「何を・・・」


リアーナは不思議そうな顔をするロッタにニヤリと笑いかけると、自らの頭を指さしてこう言った。


「海図ならここにある。海底都市の案内人はこのウチだからね。」





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