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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

VRMMO

Fate of Crock

作者: 緑山 五月

初投稿作品です。

 親が死んだ


 オレがネトゲのイベントでTUEEEEしてた頃、親は居眠り運転のトラックを目の前にして何を思っていたんだろうか。


 そしてオレがクライマックスで敵を追い詰めていた時、かかってきた電話。


 無視したけど、あれが病院からの電話だったなんてな。


 瀕死ではあったけど、数時間息があったと聞いた。


 最後にオレと話したかったんだそうだ。


 結婚してから18年も経つのに新婚のように、いつもアツアツで砂糖吐くぐらいだった両親。


 有り余るぐらいに愛情をくれたけど、重荷に感じるようになったのはいつからだろう。


 逃げるようにして始めたゲームに嵌まり、親とは仮面で過ごすようになった。


 表向きは親との対話を楽しんでいたけど、うっとうしくて敵わなかったな。







  



 ★










 おかしいよな。


 愛してくれた両親が死んだと言うのに、涙が出ないんだ。


 それどころか、心が妙に軽いんだ。


 オレ、ソシオパスとか、そんなビョウキなんだろうか。


 あんなに夢中になっていたゲームなのに、あれからログインしていない。


 確かに色々あって忙しかったけど、それでも前のオレなら・・


 親戚連中が妙にひそひそやってたけど、やっぱりオレの事なんだろうな。


 普通、親が死んでにこやかに対応とかやらないよな。


 葬儀の間中、親の兄弟を慰めていたのはオレだ。


 普通ってなんだろう。オレ、普通じゃないのかな。










 ★










 初七日が終わり、四十九日も終わると、遺産配分の事で親戚連中が集まる。


 既に親戚連中が満足すると思われる配分にして書類にまとめてある。


 各自に配れば皆がオレの顔を見る。


 ふん、満足だろ?


 この家屋敷に裏山に、隣町の土地も含め、全ての不動産が親戚連中のものになるって書類だ。


 しかも、親の持ってた口座の金も株式も含め、全ての動産も親戚連中で分けるって書類だ。


 オレに残されたのは生命保険の6500万だが、その金から相続税を払ってやるんだから文句無いだろ。


 弁護士費用から何から、全てはオレ負担だ。まあ、数百万残れば上等かな。


 オレはな、遺産の事で親戚連中が醜い争いをするのを、草葉の陰の両親に見せたくないんだよ。


 さあ、それ持って帰りな。










 ★










 やれやれ、終わったか。


 欲深の従兄弟も叔父も、ホクホクしてやがったな。


 事業を傾けたのは自分のせいなのに、これでなんとかなるとか、なる訳ないだろ。


 金が入れば女遊びが激しくなるだけだ。


 従兄弟のほうは博打だったか。


 興信所の調査を見ればすぐ分かるんだよ。


 商売も阿漕で底の浅いものだったし。


 ぼったくり価格をつけて、それを元に戻すだけなのに、夕方からは半額セールとか、騙される奴いるのかよ。


 付加価値があるならまだしも、他と変わらない商品で。それでどうにかなると思っていたらしいな。


 まあいい、一時金で盛り返した気になっているが、それで満足なら何も言うつもりはないさ。


 さて、この屋敷も明後日には引き渡さないと。


 オレの荷物も不用品は処分して、残りは既に纏めてある。










 ★










 親の家財道具は親の兄弟が形見分けで持って行った。


 だからこの屋敷の中には何もない。


 売れる物は全て売り、がらんとした屋敷の中はとても寒々としている。


 ハウスクリーニングも予約してあるから、明日の夜には綺麗になっている事だろう。


 想い出も全て洗い流してくれるといい。


 親のアルバムを見て、泣いていた母親の妹。


 そのアルバムは大事にしてくれよ。


 オレに良いのかってくどいぐらいに聞いたけど、欲しい癖にしつこく聞きやがって。


 父親の愛用のゴルフクラブ、狙ってたんだろ、父方の叔父さん。


 皆の狙っていた遺産は大体把握してんだよ。だから満足だろ、それでよ。


 しっかし、この国の税制、中々に阿漕だよな。


 かなり残るかと思ったのに、400万余りかよ、残金。


 これで新生活?その前に高校を中退しないとな。


 さすがにそんな残金じゃ今後2年間の授業料は無理だ。


 バイト?やんねーよ。部活辞めるぐらいなら学校ごとだ。







  



 ★










 でかいリュックを背負い、後ろに荷物を積んで自転車は走る。


 荷物と言ってもネトゲ関連の機材一式。オレの資産ってそれぐらいしかない。


 三畳一間で便所共同、風呂は無し。しかも郊外だから家賃が滅茶苦茶安いアパート。


 光回線はギリギリ通っているが、交通の便がかなり悪い田舎町。


 はっきり言って、でかい町と町の間の村のような町。


 だから通信網に引っ掛かっているだけの町なのだ。


 既にネトギンにあらかた入金済みで家賃も年間で払い込み済み。


 後は金が尽きるまでネトゲ三昧だな。


 無くなったら?さあ、どうしようかねぇ。


 無くなってから考えるよ。










 ★










 アパートに荷物を入れ、機材の接続を終えて、食料の買い込みに走る。


 町のスーパーは品揃えは悪いし、妙に鮮度が低い。だけど、食えるなら何でも良いさ。


 プランターを買い、窓からの日光で育つ野菜の種を仕入れる。


 そういや、買ったネギの根っ子の部分、植えたらまた生えてくるとか言ってたな。


 色々買い込んで、手持ちは残り15万ぐらい。


 これからはネットで買うから問題無いだろう。


 て言うか、このアパートって全てのピザ屋の配達圏外なんだよな。


 町の弁当屋ぐらいか、配達してくれるの。


 今月は適当で済ませて、来月からは弁当屋と契約するか。


 はぁぁ、今時、ボットンとかさぁ・・暖かい便座で水洗してくれるトイレ用品が懐かしいねぇ。


 今日は沸かしたお湯で身体を拭いて終わりにするか。


 生活魔法が欲しいねぇ。


 なんて、妄想が過ぎるか、ハハハ・・










 ★










 先日のエリアボスの分配が入った。


 地味にTUEEEして8位だった与ダメ、だけどくじアイテムを獲得した。


 与ダメトップはユニーク武器、2位から10位まではくじアイテム。


 オレ以外はすぐにくじを引いて、高級消耗品とかで曖昧な表情。


 オレが引かずにいると、周囲が引け引けと煩いのなんのって。


 知っている癖に・・


 オレが誰にも引くところを見せないのを。


 宿で静かにくじを引く、これがオレのスタイル。


 まあ、大抵は翌日に報告して終わるんだけど、ガラクタと言ってインベントリのこやしになっている超レア物もいくつかある。


 使えば確かに強くはなるだろうけど、オレはモブで良いと思っている。 


 早く普及して使えるようになると良いんだが。


 これ何だ。見た事の無い・・招待状?


 『トップを諦めているあなたに贈る、ユニーク装備獲得のチャンス。当たればトップグループに入れるかも?』


 くじの中に福引への招待状って・・なんなんだ。


 町の外れの小さな小屋を指定され、中に入ると大量のくじが箱に入って・・


 これを引けと?オレはな、人前で引かない主義なんだよ、この野郎。


 はあ、持ち帰るのは不可ですか、そうですか。 


 せめて隠れて・・えっ、ダメ?何でだよ。


 選んだ三角くじにハサミを入れるNPC。


 くそぅ、オレの主義が・・










 ★










 うおぉぉぉぉ、止めろぉぉぉぉ


 全体放送で発表するなぁぁぁぁ


 はぁぁぁ、ヤバかった。もう少しでオレが変に注目されるとこだった。


 あのな、発表するかどうかってのは最初に聞けよ。


 やれやれ、またインベントリのこやしか。


 受け取ってインベントリの中に・・あれっ、あれっ、入らないぞ、これ。


 えっ、ここで装備しろ?冗談じゃねぇぞ。


 インベントリに入れるには、装備して本人情報を確定する必要がある?なんだそれ。


 捨てちまうか・・それを捨てるなんてとんでもないって、パクリだろ、その台詞。


 マジで捨てれねーのかよ。呪いのアイテムかよ。


 くそぅ、仕方が無い。更衣室はどこだ・・え、ここで着替えろだと。見るなスケベ。


 あれ、本当にNPCかよ、ハァハァしやがって。野郎の裸見て興奮とか、ヘンタイだろ。


 それとも中の人は女ですかー・・やれやれ、何だよこの装備。


 こんなの着て外に出られるかよ。着替えだ着替え。


 普段着セットに交換・・やれやれだな。


 またお越しくださいって、誰か来るかよ。


 ふうっ、何だよあの装備。ワンセットは良いんだけど、あんなの狩場で使えるかよ。


 でも、あれ使ったら別人の振りが出来るな。


 しかしなぁ・・ほとんど裸だぞ、あの装備の見た目。


 まさか皮膚すら装備の一部とは誰も思わんだろうけど、着ぐるみってそういうもんじゃないだろ、普通。


 裸で着れば性別の変わる装備は良いんだけど、あんな露出狂みたいな格好、目立ち過ぎるだろ。










 ★










 宿でまた着ちまった。


 この装備、外せるのか。


 うおー、柔らかい。


 ああ、なんか変な気分になる。


 下はどうなってんだろう。


 これまた柔らかいな。


 これって、独り遊びしている女に見えそうだな・・なんか空しくなってきた。


 かなり精巧な造りになってるけど、自分で使えないと意味が無いだろ。


 マネキンに着せて・・オレ、何考えてんだ。

 

 やれやれ、やっぱりインベントリのこやしだな。


 まあ、仕舞う前にステータスでも・・うぉぉぉぉ・・


 なんて補正だよ。酷いチート装備もあったもんだ。殆ど裸だと言うのに、オレのステータスが倍になりやがったぞ。  


 レベル74のオレのステータスがだぞ。


 くそぅ、羞恥と引き換えに得られるボーナスかよ。


 女キャラに高値で売るって手もありそうだけど・・よし、その手で・・えっ、売れない?どうしてだ・・あああああっ。


 本人登録済みだから売れないって・・くそぅ、罠かよ、バカにしやがって。


 やれやれ、インベントリのこやし、決定だな。


 まあ、最後にパシャマ代わりに着て寝るか。


 気分は淑女・・なんてね。










 ★










 う、うーん・・ふうっ、回復したか。


 ネトゲの中で寝ると言うのも不条理だけど、寝ないと回復しない仕様だから仕方が無い。


 確かに座っていれば微量回復はするけど、数時間の睡眠に勝るものはない。


 そりゃ魔法回復薬でも使えば良いし、確かにイベントの時はがぶ飲みはする。


 だけど、普段はその分、節約しないとな。


 あれ、なんだこの身体の柔らかさは。


 ああ、昨日、着ぐるみを着たまま眠ったのか。


 まるで女装だが、これでも装備ってふざけてんな。


 まあいい、とっとと脱いでハントに行かないと。


 えっ・・脱げない、嘘。


 説明書・・説明書・・ええと、この装備は・・えっ・・1時間で定着?・・冗談だろ。


 着ぐるみかと思ったら、性別転換アイテムだこれ。


 うおおぉぉぉぉぉぉぉ・・










 ★










 名前変更3500円・・ステータス初期化1万円・・スキルポイント保持5万円・・経験値収納キューブ(転生時に使用)5000円。


 フレ全員に引退メールを送り、オレは別人になる事にした。


 てか、既に顔も別人になっており、身体も別物になっている。


 名前を変え、ステータスを初期値に戻し、経験値収納キューブを装備してレベルを1に戻す。


 なんでそんな事をするって?だってクラスが全然違うんだ。最初からやらないと習熟は困難だからな。


 オレはそれなりに強くなりたいんだ。それには基礎は必須なんだよ。


 しかしどうなってんだ、この身体はよ。


 レベル1だってのにこのステータスはなんだよ。


 これに振り足すと言ってもな。


 まあいい、クラス向きのステータスに振ってみるか。


 やれやれ、こんなレベル1があるかよ。


 相当、地味にやらないと注目の的になるぞ。


 あれ、ユニークが変わって・・オレのユニークが・・くそぅ、オレの縁の下の力持ちが・・


 地味にやればやる程、ドロップ運が増すってユニークが消えちまった。


 その代わり、ユニークが4つもあるのかよ。










 ★










 黒子の強化、注目の強化、色欲の強化、強欲の報い・・か。 


 ええと、黒子の強化はと。誰も見ていない時、全てのステータスが上昇する。


 これってオレ本人は隠れてるよな。着ぐるみ状態なんだし。脱げないけど。


 もしかして、衆人環視の中でも適用されたりして・・まさかな。後は・・


 注目の強化か。見られる程に強くなる。フルプレートにも適用なので、身体を見られるのとは意味が違う。


 この身体だと嫌でも注目を浴びるから、イベントなんかだと相当強化されそうだな。後は・・


 色欲の強化ってなんだよ。本人に対して色欲を持たれる程に強くなるが、本人が色欲を抱くと弱くなる?


 野郎共に見られて強くなり、女連中に囲まれて弱くなるって・・


 はぁぁ、何だよこれ。オレが女に囲まれても色欲を抱かなければ良いのか。


 そんな事が可能なのか、男として。


 強欲の報い・・無欲であればドロップ運上昇、強欲に求めると何も得られない。


 やれやれ、今以上に地味にやれってか。


 とにかく、こんな事になっちまったけど、新規一転、新キャラのつもりでやりますかね。


 まずは装備だけど、初心者装備に拘る必要は無いな。


 なんせ金はあるんだ、それなりの装備にするか。


 普通ならこんな状況にならないから、やたら金のある変な新人呼ばわりされそうだな。


 けど、そういうのもたまに居るから問題は無いとは思うが。


 え、こんな弓が装備可能なのか。こんなの中盤の武器だろ。今のトップクラスでも地味目の奴がこれ使ってたような。


 ステータス足りるのかよ、あり得ないぞ、レベル1なのに。







 



 ★










 結局、トップクラスの中の底辺クラスの装備が可能だった。


 つまりこのままトップクラスの狩場に行けるって意味なのかも知れない。


 いやいや、スキルが無いじゃないか。


 弓か・・弓道部も中退で終わっちまったけど、また弓を扱えるのは良いかも知れん。


 授業は嫌いだったけど、弓は好きだったんだよな。


 だから不幸中の幸いと言っても良いのかも知れない。


 足を開いて弓を前に構え、左を向いて弓を上部に持ち上げる。


 そのまま前に後ろにと広げ・・構えて目標の少し上を狙い・・放つっ・・そして残身。


 いきなり当たったな。ステータス効果だと空しいけど、これならやれるかも。


 弓なりって言葉があるけど、あれって矢の飛ぶ軌道の事だよな、多分。


 拳銃でも若干弓なりに飛ぶけど、矢の場合はそれが顕著なのな。


 弓によって癖があるから、どれぐらい上を狙うかは習熟の必要がある。


 だけど、慣れたらそれも苦にならない。


 ただな、ハントの時にいちいち残身とかやってられないから、射つ時はそれなりにやらないと。


 練習が必要だな。










 ★










 練習していると弓スキルを得たので早速振る。スキルポイントも初期化されているので、73余った状態だった。


 弓に10ポイント。これで弓ランクMAXになった。更に練習していくと、命中スキルも獲得。これも10振りでMAX。


 基礎練習をひたすらやってただけなのに、2つもスキルが得られるとは思わなかったが、


 とにかく練習で基礎を確定しないと先には進めない。


 死ねば経験値ロスするわ、お金は減るわ、しばらくステータスが下がるわで良い事無しだし。


 死に戻りがやれるのは、イベントの時だけだ。


 さて、そろそろログアウトしてメシ食って寝ないと。


 ログインして8時間・・中の時間だと800時間。だいたい1ヶ月。


 あれ・・ログアウトボタンが無い。どこだ、どこだ・・え、なんで。


 仕方が無い、ひとまず宿屋で・・


 初心者用のこの町は、周囲の敵も弱過ぎて皆すぐに次の町に行ってしまう。


 だから宿とか誰も泊まっていないし、練習場もガラガラだ。


 皆、戦いながら強くなっていかないとお金が無いのでそういう事になっているんだけど、本当はこうして基礎を固めたほうが良いんだ。


 今ならやれるけど、当時はそんな余裕は無かったな。


 起きたらログアウトボタンがあるといいな。


 はぁぁ、今日も疲れたなぁ・・










 ★










 あれからパッシブスキルは弓MAX、命中MAX、身体強化MAX、武器強化MAXとなり、


 アクティブスキルはリモートアタックを獲得した。


 これは自動追尾のスキルで、多少の曲折が可能となり、


 動く敵に対しての命中率に関わってくる。


 未来位置に撃つ場合、途中で止まられると普通は外れる。


 だけど、リモートアタックなら少し調整してくれるのだ。


 てっきりレベルを上げないと獲得出来ないと思っていたけど、ひたすら練習すると獲得した。


 ウィキには弓は序盤はマゾいとか出てたけど、単にひたすら練習すれば良いだけなんだろう。


 これは対人戦に有効なスキルで、避けたつもりが当たるっていうスキルだ。


 なので一時、獲得に必死になってた弓使いが居たけど、高レベルだったせいなのか、


 半年ぐらいひたすら訓練してやっと獲得してたっけ。


 あれから3ヶ月、ログアウト出来ないままだけど、外の時間ではまだ1日か。


 ログイン前にメシ食ってだから数日は大丈夫だろうけど、垂れ流しになっている可能性が・・


 やれやれ、早く何とかしてくれよな。GMコールにも返事が無いし・・


 それにしてもこの町、他に誰も居ないんだよな。


 新規さん、来ないのかねぇ。


 イベントが終わったばかりだけど、新規がゼロってヤバいだろ。










 ★










 半年が経過した。


 なのにまだはじまりの町なオレ。


 はっきり言って基礎はもう習熟の段階だと思っている。


 つまり、こんな身体で人前に出たくないのだ。


 名前も変えたってのに、臆病な事だ。


 よし、覆面しよう。


 課金アイテムにしかラインナップが無いけど、この場合は仕方が無いって事で。


 普通は顔を隠せない。だから課金アイテムに頼るしかないんだけど、これはストーカー対策なんかに使われるアイテムだ。


 かつてのネトゲだと顔は自由に変更出来たけど、今は自分の顔がそのまま出る。


 確かに多少の修正は出来るけど、基本は自分の顔だ。


 なので、知人に知られたくないって人は、課金アイテムの黒覆面とか、忍者装備とかを買って装備する。


 かつてのオレは顔の下半分を隠していた。


 そうすると顔の造形を変えなくてもしっかりと男に見えるからな。

 

 ヒゲが無くてもバレないとも言うが。










 ★










 全身覆面にしてみた。


 2万円は高いけど、預金はまだあるから良いだろう。


 顔、身体、手、足、全てを隠す。


 ギフトがいくつか無効になるけど、目立つよりはましだ。


 さて、次の街に行く前に、そこらでハントしてみるか。


 撃つ、クリア、撃つ、クリア、撃つ、クリア、撃つ、クリア・・


 いくら何でも弱すぎるぞ・・スキル無しでこれかよ。


 お、レベルアップしたな・・スキル獲得だ。


 隠密?こんなスキルあったのか・・ウィキ参照・・ええと・・


 覆面使用時にレベルが上がると獲得。弓使い、盗賊、斥候のみ有効・・か。


 まさか課金装備でスキル獲得とか、運営の陰謀に違いない。


 まあいいか、獲得したんだし。


 隠密MAXにしとこう。これで残りポイントは・・14か。


 パッシブが弓MAX、命中MAX、身体強化MAX、武器強化MAXで、アクティブがリモートアタックMAXと、隠密MAX。


 普通は序盤からこんなに余裕は無いんだけど、振り直しの恩恵ってかなりでかいな。


 てかこれ、時々振り直しているとスキルポイント水増し出来ないか?


 課金5万を何度もって、普通はやらないだろうけど、廃人連中なら分からないな。


 まあ、いつまでも低レベルって言うのも情けないけどな。


 まあいい。次の町まで隠密MAXで行ってみるか。










 ★










 レベル3で空中歩行を獲得した。これはパッシブスキルの後に獲得するスキルらしく、


 中盤以降で獲得するスキルと言われている。


 普通は命中とか身体強化とか、そういうパッシブを覚える時期なんだけど、それを既に獲得しているから


 仕方なくこれが出て来たって感じなのかも知れない・・とりあえず1振りだ。


 そしてレベル5ではなんと、縮地ときた。


 オレはかつてレベル50で獲得したスキルなのに、なんでこんな時期に・・


 50になるまではテケテケ走ったり、空中歩行を併用していたってのに。


 パッシブスキルを先に獲得するのがこんな事になるとは・・とりあえず1振り。


 ちょっと高レベル狩り場でも覗いてみようかな。


 ソロ専用の弓用の狩り場、何処だったっけな。


 あれっ、知人発見だ。だけど、今の姿は別人だからもう・・


 まあいい。あいつには悪いが、隣の獲物を狙わせてもらうぞ。


 倒せなかったら逃げるから後よろしく・・


 バシュッ・・あれ、倒した。


 うぉぉ、レベルアップの音がぁぁぁ・・


 いきなり15かよ、とんでもない経験値だな。


 ソロ狩り場とは言え、高レベル向けだからか。


 うおっ、PKキター・・


 逃げろや逃げろ・・


 あの野郎、いきなり攻撃すんな、てめぇ・・


 くそぅ、こうなったら・・曲折食らえ・・あれ、当たった。


 倒しちゃった・・わりぃな、ハハハ・・










 ★










 あいつ倒したらまたレベルが上がったよ。

 

 あんまり上げすぎると低レベルと一緒に遊べなくなるが、まだ良いだろ。


 よし、邪魔者も消えたし、ソロハントをやりますかね。


 その前に、獲得スキルに振らないと・・えっ・・


 狙撃スキルって・・仕方が無い、MAXだ。


 PK専用スキルと言われるこのスキル。いきなり獲得って・・


 やっぱり低レベルが高レベルをヒットしたのが原因か。


 レベル差特約みたいなものか。


 前に一緒に狩った時は確か、レベル72とか言ってたからな。


 15の奴が72の奴を倒したって事だから、その獲得率もかなり高かったんだろうな。


 予想以上に獲得が多いみたいだし。


 それでも、数匹倒したらレベルが上がった。


 そんな調子で昼まで狩ったもんだから、予想以上にレベルアップしちまった。


 索敵もMAXにしたけど、ちょっと上げ過ぎたか。


 いやいや、この際だからもう少し、もう少し。










 ★










 昼飯を食ってまたハント開始。25で獲得したパワーショットの恩恵で、更にサクサクになる。


 気が付けば夢中になって狩っていた。


 結局、日が暮れるまでハントしちまって・・ああ、完全に上げすぎだ。


 はじまりの町のその次の町では、大体レベル45ぐらいまで留まる事になる。


 はじまりの町のある西の門を出た辺りは15レベルぐらいまでの低レベル狩り場。


 南門を出ると大体、25レベルぐらいまでの狩り場となり、東門を出ると35レベルぐらいまでの狩り場となる。


 そして北門はそれ以上となり、更なる次の町への道が続いている。


 その道中はパーティを組むなら30台前半でも余裕だが、ソロなら40台後半は欲しい。


 そしてその次の町の西門に連結しているというのがこの大陸の様相となる。


 なので今オレがソロしているのが第3の町を拠点とする狩り場で、


 東門を出てしばらく行った先にある。


 第3の町は西門が35から50、南門が45から60、東門が55から70、北門が65から80となっている。


 だから本来、72のあいつがあそこでソロしていたのは、パーティでの推奨だからだ。


 ソロの場合はプラス15から20と言われているから、あれでもかなり美味しい狩場だったりする。


 明日は北門から行くソロ推奨狩り場に行ってみるか。











 ★










 さすがにパーティ65から80のフィールドだ。パワーショット2発撃たないと倒せない。


 それでもこのレベルからしてみれば破格の攻撃力ではあるんだけど、MPポーションがぶ飲みになるな。


 かつてのオレは第4の街まで登録があるのだが、さすがに無理だろうと思われる。


 それでも、帰る前の挑戦と思い、昼前に移動してみる。


 レベルは38。帰還札をお気に入りにセットして、ワンクリック即時撤退モードにする。


 これは通常、斥候が居ないパーティで使われる方法だ。


 引いて引いて、追いつかれそうになったら帰還札を発動し、他のメンバー達は総攻撃を開始する。


 帰還札自体は高いけど、高レベル狩り場の儲けはそれなりに高く、効率次第では黒字になる場合もある。


 斥候は引き狩りには必要だけど、戦う時には足手まといになる場合が多く、高火力パーティがよく使う方法でもある。


 まずは遠方からのパワーショット。途端にこちらに向かって走る敵。やれやれ、ダメージは通っているのに走れるのか。


 再度のパワーショット・・くそ、避けやがった。


 空中に逃げて走る走る走る・・MPポーションを飲みながら、次の隠れ場に移動して、リモートショット・・よし、次だ。


 隠れ撃ちだからバレてないな。よし、パワーショット・・よしよしよーし・・うお、バレた。


 くそ、リモートショット・・くっ、まだかよ。当たれぇぇぇ・・パワーショット・・


 至近距離からのパワーショットで、さしもの敵もとうとう倒れる。


 はぁぁ、きつかったぁ・・さすがはレベル100フルパーティ推奨のフィールドボスだけの事はある。


 その代わりレベル42になったな。










 ★










 ちょっとやり過ぎた予感。


 第2の町に来たけれど、レベル42はちょっと高すぎるかも知れない。


 でもまぁ、45までは留まる町だし、ここいらでパーティに入れたら良いんだが。


 はぁぁ、これ脱ぐの?


 覆面のままだと逆に目立つと言うか、酒場に行っても誰も声を掛けてくれない。


 あ、装備変えないと。


 第4の町に再度戻り、装備可能最高ランクの装備に変更する。


 たまたま露天で見たユニーク武器の弓を獲得。


 この町での店売り最高レベルの弓とそこまで変わらない性能だけど、MP吸収が付いているので即買いした。


 これでMPポーションの使用量が減れば文句なし。


 高かったけどね。


 後は女性用の羽靴を探さないと。


 あれ、レアな割りに必須アイテムと言われていて、人気だから滅多に手に入らないんだよな。


 仕方が無い、トレード出しとくか。


 出)男性用羽靴、求)女性用羽靴・・これでよし。


 お、早い。なんだ、見てた露天の奴か。よしよし・・トレード・・確定・・ポチッ・・よし。


 互いに礼を言って取引完了。


 早速装備する。これで空中での攻撃時の命中度が上がる。


 弓使い必須とも言われる靴だけど、魔術師にも必須だ。


 だけど、魔術師は素早さが低いから、ソロだと敵の攻撃の的になる。


 ソロで使えるのは弓使いぐらいのものだろう。


 完全装備で第2の町に戻り、宿屋で覆面装備を外す。


 部屋で身体を洗って食事を摂り、ネグリジェを着てベッドに潜る。


 最初はパジャマだったけど、ネグリジェのほうが安眠出来るのを発見した。


 どうせ誰も見てないし、楽なほうがいいよね。










 ★










 今日は覆面無しで町に出る事にした。


 もう恥ずかしさは感じない。


 どうせ着ぐるみだと開き直ったのだ。


 町を歩くと注目される。


 覆面の時の奇異な注目とは違い、身体に力が沸いてくる感じ・・色欲な注目か。


 男って奴は本当にどうしようもない本能に囚われているんだなと、改めてそう思った。


 酒場に入ると更に注目を浴び、力がますます沸いてくる。


 これって妙に快感って言うか、ゾクゾクすると言うか。


 椅子に座ってため息を吐けば、ますますゾクゾクする。


 ああ、早く殺りたい。


 グラスを傾けているうちに、声が掛けられる。


 レベル45の戦士さんか。


 42なのを申告すると、ちょうど良いからと勧誘された。


 お試しで入ってみるか。


 5人パーティだったところへの勧誘か。


 リーダーがさっきの戦士でレベル45、他の戦士がレベル43、盗賊が36で魔術師が40、そして僧侶が34か。


 火力は戦士2か。火力不足での勧誘かな。










 ★










 「火力で良いのかな」


 「釣りにと思ったんだけど、火力あるの?」 


 「戦士2で火力足りてるの?」


 「少しきついけど、なんとかね」


 「じゃあ釣りでもいいわ」


 「じゃあそれで」


 確かに50未満の弓使いは強くない。


 だから引き役になる事が多いんだけど、何処の狩り場かな。


 あれ、ここだと美味しくないと思うんだけど、火力2だからかな。


 ふむ、引くのは良いけど、スキル使うとヤバいな。


 弓をノーマルに変更し、攻撃力をかなり落とす。


 それなのにワンショットで半分削ったぞ。


 それを戦士がタコ殴りにするのか。


 魔術師も盗賊も僧侶も見ているだけって、何このパーティ。


 その戦士も攻撃力足りなくないか。


 武器が弱いのかどうか知らないけど、少しずつ削っている状態だ。


 瀕死になって戦士達が離れ、魔術師が魔法を叩き込み、よろよろとなった敵を盗賊と僧侶がタコ殴りにして倒す。


 どうにも変な攻撃方法だな。










 ★










 結局、その日はそのパーティでの狩りで終わり、レベル上がらずの42のまま。


 かなり不味いと思ったけど、皆は今日は効率が良かったと喜んでいるから何も言えなかった。


 明日も誘われそうなので、思い切って次の町で募集しようと思う。


 悪いとは言わないんだけど、もう少し装備を何とかしたほうが良いよ。


 せっかく慣れたユニーク武器だったのに、ノーマルに慣れたから明日はまた調整だな。


 まっすぐ飛ぶ他のネトゲとは違い、妙にリアルなのが人気のこのゲーム。


 だから弓はあんまり人気無いんだけど、リアルで弓道部とかだといきなり使えるから、その手の奴らには人気の職なのだ。


 以前、PKの反撃で殺しちゃったあいつだけど、実はあいつは弓道部の後輩だった奴だ。


 ゲームで練習して本番に生かすとか言って、それで少しは上達していたっけな。


 オレは弓はリアルだけと決めて、ゲームでは剣で戦っていたんだけど。


 とうとう同じになっちまったな。


 宿に戻ると力が抜ける感覚が・・


 注目がなくなると気だるいな。


 身体洗ってメシ食って寝るか。


 しっかし、胸が邪魔なんだよな、弓使いには。


 バストガードは付けてるけど、表面は傷だらけになっている。


 はぁぁぁ・・良い湯加減だ。










 ★










 筋肉の欠片も無いような身体なのに、既に高レベルと変わらないステータスってのも不思議だよな。


 その代わり、余分な脂肪は付いてない。


 ああそうか、釣りと言われたのはエルフだからか。


 エルフは素早いけど力が弱いから、釣り向きだと思われたんだな。


 精霊神の祝福で、見た目は普通のエルフだけど、本当はハイエルフなのに。


 実はこのハイクラスって、相当に希少な存在になっている。


 確か人族でも4人だったかな。エルフでは居なかったけど、今は1人になっている。


 つまり、自分だけって事だよね。


 エルフ自体が珍しいのに、ハイエルフなんてそうそう出るもんじゃないとは思ってたけど、


 まさか自分がなるとは思わなかったな。


 族種はランダムを選ぶと稀に別の種族となるけど、普通は人族にしかなれない。


 なので、エルフもドワーフもノームも犬人族も猫人族も、かなりのレア種族って事になる。


 もちろんケモミミフェチに当たるとは限らないが、偶然当たった奴はギルドを作っちまったぐらいだ。


 その中に獣人族は3人しか居らず、残りはフェチばかりが集まったギルドになっている。


 猫人族をリーダーに、犬人族2人が幹部になっていて、会合の時には幹部に対するセクハラが酷いと聞いた。


 まあ、誰でも身体を撫で回されると嫌だよな。


 それでもメンバーが相当便宜を図るので、半ば諦めているとも聞いた。


 狩りに行けば肉の盾がわんさかで、消耗品も貢がれるし、安全第一にやってくれるらしい。 


 敵を羽交い絞めにして、どうぞ倒してください状態のを見た事があるけど、そこまでしてと思ったものだ。


 はぁぁ、本当に良い湯だ・・疲れが取れる。


 これでログアウトが出来たらもう何も・・










 ★










 湯から上がって身体を拭いて、バスローブを羽織って髪を乾かす。


 生活魔法も良いけど、タオルを巻いての乾燥がお気に入り。


 急速乾燥は髪が痛むとか言ってたし・・


 それはそうと、どうしようかな。


 さっきサイト見たけど、サードクラスが実装になるみたい。


 運営も気が早いと思うんだけど・・


 まだノーマルクラスで最高96なのに・・


 そりゃ100になったらハイクラスへの試練で転生して、ハイクラスで100でサードクラスではあるけど。


 現在のハイクラス1桁の状態で、次のクラスを実装するとかさぁ・・


 うーん、そうだなぁ。この際、サードクラスまで突っ走るか。


 転生の時に経験値収納キューブを貢げば、かなりの恩恵があるはずだ。


 そうだよな、どのみち最終的にはサードクラスが主流となるんだし、上げておいて損はないか。


 ふうっ、眠くなってきたな。


 でもさぁ、運営もバグを何とかして欲しいんだ。


 ログアウト出来ないってさ、かなり酷いバグだよね。


 元の身体、衰弱してないかな。


 でも、どんな身体だったのか、もうあんまり覚えてないんだ。


 もし、あっちが死んでも残るなら、このままでも良いような気もするんだよ。


 どうなのかなぁ・・消えちゃうのかなぁ・・嫌だなぁ、消えるのは・・










 ★










 第3の町でかつての友人を見つけ、いきなり勧誘してみた。


 レベルを聞かれて42って言ったら、死にたいのかって聞かれたけど、死んだのは君だよね。


 ボクのパワーショット食らって即死した癖にって言えないのが辛いけど。


 お願いお願いと言ってたら、仕方が無いからと混ぜてくれる事になった。


 パーティメンバーが集まる前に色々と聞かれて、正直に話せないのが辛かったけど、何とかなって良かった。


 代わりに相手の話も聞けたけど、片想いの相手がいきなり引退して行方不明になったらしい。


 後輩君の恋の相手ってどんな子だったんだろう。


 ああ、久しぶりに会うな。言えないけど、ただいま・・


 でもまだこのパーティ名使ってんのか。


 ベビーシッターって攻略パーティの名前に似合わないから変えるとか言ってたのに。


 後輩君がビギナーの頃に付いた名前で、赤ちゃんクラスの育成って冗談が受けて付いた名前だったんだよね。


 サクラが女剣士、ドマドマが壁役の戦士、メルカトルが盗賊なのにやけに火力が高くて、リーチが斥候なのに僧侶スキルも使えてさぁ、


 賢候って造語を作って、それが後に運営が採用したんだっけな。そして、弓使いのマーズが後輩君だ。


 ボクは当時、戦士だったんだけど、高火力パーティって呼ばれてて・・


 自己紹介も終わり、お試しハントが始まった。


 最初はランクを落とした狩場で試してみて、やれるようなら少しずつ上げてみるらしい。


 さあ、がんばるよ~










 ★










 「意外と火力高いね、君」 


 「そうですか」


 「うん、エルフ弓にしてはあり得ないぐらいだね」


 「この武器のせいかも」


 「それ、ユニークだよね。補正が凄いのかな」


 「そうかも」


 「これならメインに行けるかもな」


 「え、でも、まだ42だったわよね」


 「えへへ、46になりました」


 「はや・・さすがは低レベル」


 「じゃあ、試しに行ってみるかい」


 「お願いします」


 45になって覚えたのは【コントロールショット】


 これは各種のスキルを複合させるスキルで、リモートショットとパワーショットを組み込んでおいた。


 どのみち同時に使うんだし。


 しかもこれに10振ってMAXにすると、リモートとパワーがそれぞれ+10されて、


 MAXなのに+20効果になってしまう。


 つまり、パワーが更に2倍となり、曲折効果も2倍になるって事だ。


 少々避けたぐらいじゃ防げない攻撃に、さっきまでの倍の攻撃力。


 非力な弓使いに対する補填のようなスキルだけど、これで更に火力が上がる事になる。


 その代わり、3つのスキル分のMPを食うけど、MP吸収付きの弓だから苦にならない。


 うん、やっぱり買って正解だったな、この弓。


 弓使いは装甲が紙なので、普通はHPのほうが人気が高いんだけど、今のステータスの恩恵で、MP吸収でも余裕なのよね。


 さあ、ガンガンいこう~










 ★










 「うへぇ、瀕死になっちゃった」


 「おいおい、あれに耐えるのかよ」


 「ギリギリだったんだよ」


 「40台の弓なら即死だぞ。お前、本当に46か」


 「今、49だよ」


 「マジかよ。どんな装備してんだよ」


 「ラッキーかな」


 「ああ、クリティカルなら即死だったか」


 「うん、多分ね」


 「まだやれるか」


 「回復完了、いきまーす」


 「おっしゃー、いくぜ」


 油断していた訳じゃないけど、逃げ間違えて攻撃を受けちゃった。


 ダメだな、もっと慣れないと。


 でも、ガンガンレベルが上がるって快適だねぇ。


 倒すたびに経験値バーがガクンガクンと増えてるし。


 よし、会心・・2割削った。この調子で・・


 (マジで40台の攻撃じゃないって・・1発で2割削るとか、70台の攻撃だろ。あいつ本当に40台か?・・うお、また2割削りやがった)


 よーし、倒したぁ・・はぁぁ、面白いなぁ・・くすくす・・レベルも上がったし。


 うわ、フィールドボスキター・・


 いけるかな、やれるかな、殺れるかな、くすくす・・


 50で覚えたツインショットもコントロールショットに組み込み、更なる攻撃力を獲得した。


 それだけMP消費も多いけど、たくさん削ればそれだけ吸うから、結果的には以前と同じになる。


 くぅぅ、さすがに固いな。ツイン組んだのに1割しか削れないや。


 お、出た、会心・・クリティカルで2割か、毎回出ないかな、くすくす・・


 自己回復が派手じゃないかな、あの敵。


 ガンガン攻撃しないと、止まったら回復しちゃうよ。


 よし、もう少し・・いけぇぇぇ・・よーしっ、クリティカル・・倒れた、やったね。











 ★










 「やったぁ、倒れたぁ」


 「お前、とんでもねぇな。オレの攻撃力、超えてねぇか」


 「新しいスキル獲得したからかも」


 「今、レベルいくつよ」


 「52になりました」


 「それなのに76のオレの攻撃超えるのかよ」


 「スキルガンガン使ってるからね」


 「オレも使ってんだけどな」


 「今、同時に4つだよ」


 「うげ、そんなに使ってんのかよ」


 「52って事は、リモートとパワーとツインをコントロールに組み込んでんのよね」


 「はい」


 「それだと相当、MP食うでしょ。お金大丈夫?」


 「MP吸収なので」


 「ああ、それでかぁ。良い武器ね」


 「あは、ありがとうございます」


 「マーズ、お前はどうなんだ」


 「いやあ、金欠でさぁ、スキルは1つよ」


 「それで地味な攻撃かよ、この野郎」


 「アタシもMP吸収にしようかな」


 「本気出すなら次のフィールドに行くぞ」


 「そうね、新人も戦力になると分かったし、本気でやりますか」


 「決まりだな。昼食ったら行くぞ」


 「あいよ」










 ★










 いやぁ、やっぱ派手だわ、70台の弓使いは。


 こっちが1割削るところを2割削り、クリティカルで3割削る有様だ。


 でも、55で覚えたトルネードを組み込んで、ツインの矢が回転しながら当たるようになり、


 更なる攻撃力を獲得した。


 「お、55おめでとう」


 「ありがとうございます」


 「分かるのか、そういうの」


 「矢が回転してたからね、トルネードは55で覚えるスキルよ」


 「それでかよ」


 「次はトリプルだけど、これのMP消費がまたでかいのよ。MP吸収で足りると良いんだけど」


 「一応、薬も持てるだけ持ってます」


 「そう、それなら良いか。でも、お金持ってるのねぇ、羨ましいわ」


 「ええ、何とか」


 「引退者からの譲渡でも受けたのか」


 「まあそんな感じかな」


 「邪道だけど、強くなるのに貪欲なのは悪い事じゃないさ」


 「そうね、アタシもそんな人が居たら即座に受けるわよ」


 「あいつはどうだったんだ」


 「ダメね、いきなりだったから」


 「そうか」


 「あいつ、攻撃は微妙だったけど、ソロ狩りして金だけは大量に持ってたよな」


 「うん、まあね。だけど、遺産より本人のほうが・・なんてね」


 「リアルでもまだなのか」


 「探してるんだけど、見つからないの」


 「しかし、中退とは思い切ったもんだな。遺産は無かったのか」


 「親戚連中にみんな分けちゃったんですって」


 「おいおい、それってもしかして」


 「そんな事は無いわ。彼はまだ生きてるわ」


 「悪い、言いすぎた」










 ★










 なんとなく休憩中の話のせいか、モチベーションが下がってお開きとなる。


 また参加しても良いって事になって、半固定メンバーになれたようだ。


 それにしても、似た境遇の子だね、マーズさんの恋人って。


 ボクは年齢イコールだったからなぁ。


 でも、相手ってどんな子だったんだろ。


 ボクの他に半固定のメンバーが居て、その子が恋人だったって話だよね。


 ボクはパーティへの参加は時々で、普段はソロしてたから・・


 その時に参加してた子なんだね。


 まあいいや、ボクは第二の人生みたいになったんだし、このままやれるだけやるしかないみたいだし。


 リアルどうなってるんだろう。


 衰弱して、漏らして、食材も腐って、ネギも枯れて・・


 1年が3.65日って事は、後半年で・・


 飲まず食わずだとそれぐらいでヤバいよね。


 後半年の命かぁ。


 それまでに運営さん、何とかして欲しいんだけど。


 まだ恋もしてないのに、死ぬなんて嫌だよ。


 はぁぁ、何かもやもやする。


 変だなぁ、どうしてこんなにもやもやするんだろ。


 うっ、何これ、刺激が・・


 はぁはぁはぁ・・気持ち良い・・


 定着して本当に女の子になったって事なのかな。


 だってこんなに・・濡れて・・










 ★










 お風呂入り直しになっちゃった。


 身体中ベトベトだ。


 下を触った手で身体中撫で回したせいだね、きっと。


 はぁぁ、気持ち良かったぁ。


 女の子ってあんなに気持ち良いんだね。


 男の時は刹那な快感だったけど、今は山に登ってそのまま緩やかに下るって感じかな。

  

 でも変だな。ゲームの中でそんな事、前はやれなかったはずなのに。


 仕様変更になったにしては・・


 子供もやってるゲームなのに、そんなのになったら教育委員会が煩いよね、きっと。


 それに、ログアウト出来ないとか、噂にもなってないし。


 情報掲示板でも見た事ない。


 ボクだけなの?この境遇って。


 だとしたら、ボクはこのまま独りで・・


 ああ、相手が欲しいよ。


 誰かボクの相手をしてよ。


 リーダーって意外と逞しいよね。


 抱いてくれないかな、くすくす・・


 う、なんだ今の、のぼせたかな、早く出ないと。










 ★










 ふうっ、風呂上りのビールは最高だな。


 13から飲んでるビールだけど、ここじゃ16才からなのが良いね。


 今は本当に良い時代になったもんだ。


 飲みたいならネトゲで飲めってのが今のボク達の環境さ。


 だから補導される子も本当に少なくなっちゃって。


 ヤの付く自由業の方達も、ネットの中で抗争してるって聞くし。


 だからリアルは本当に平和になっているんだよね。


 リアルは平和、ストレスはネットで発散ってか。


 ヴァーチャルカンパニーが主流になって10年だけど、本当なら就職先はそうなる予定だったんだ。


 でも、高校中退で雇ってくれるところって滅多に無いよね。


 アルバイトはリアルで探さないと・・


 その為にもログアウトは必要だ。


 でも、ボクはこのままがいいな・・


 このまま女の子として、旦那さん見つけて・・


 幸せな家庭を築くんだ。


 その為にも、相手を見つけないとね。


 うう、さっきから、どうにも変な思考が。


 眠気のせいかな、早く寝ないと。


 一夜明けてシャワーを浴びて朝食を摂る。


 昨日は妙な気持ちになったが、何だったんだろう。


 まあいいか、それより装備を変えないと。


 55になったのなら50装備が使えるはず。


 弓はこのままで良いとして・・あれっ。


 なんで100装備が使えるの。


 ステータス、そんなに高いのか。


 やれやれ、本当にチートだな、この身体は。


 普段着で買い物してると、後ろからいきなり胸を揉まれる。










 ★










 「だーれだ」


 「はぁぁ、感じるぅぅ」


 「ええ、そんなに?」


 「ああ、お姉さま、愛してるわ」


 「うわぁぁ、ちょっとマジ?」


 「くすくす、お返し成功」


 「ああ、びっくりした」


 「買い物ですか」


 「うん、もうじき75だしね、用意しとくのよ」


 「75装備ですか」


 「そうよ。で、そっちは55装備かな」


 「うーん、もう少し上の装備が使えそうなのよね」


 「え、ステータス、足りるの?」


 「なんか多いみたいで」


 「何それ、だから火力があんなに高いのね」


 「そうかも」


 「で、どれを買うの」


 「このセット」


 「え、100装備が55で使えるって、どうなってんのよ」


 「わかんない」


 「はぁぁ、アンタ、もしかして・・いや、それは無いか」


 「今のトップは99で戦士、100にならないとやれない転生」


 「うん、だから違うと思ったのよ」










 ★










 参ったね。


 ハイエルフって言えないよね、ちょっと。


 だって1人しか居ないんだし、すぐ特定されちゃうし。


 でもねぇ、何とかレベルが出てないからバレないと思うけど、出たら即だね。


 確か60超えたら出るんだっけ。


 どうしようかなぁ・・


 何とか不掲載になると良いんだけど。


 結果から言うとバレました。


 その日の狩りで62になり、ハイエルフ62って出ちゃったからです。


 その代わり、固定メンバーとして認められ、正式にギルド勧誘もされました。


 今では唯一のハイエルフを擁するギルドとして知名度が上がり、


 他のギルドとの交流も増え、レイドにも呼ばれるようになりました。


 あれから1年が経過し、リアルではそろそろ4日目になる頃。


 まだ生きているようで、消えてないし不安定にもなっていません。


 本体が死んだらこっちも消えると思うんだけど、消えないといいな。


 どうなるのかな・・










 ★










 リーダーさんとデートしました。


 彼ってフェミニストって言うか、とっても優しいんだ。


 だから彼と一緒になりたいんだけど、彼はログアウトしちゃうんだよね。


 ボクと同じになると良いんだけど、なってくれないかな。


 今日は久しぶりにハントじゃなくて、マーズさんと買い物に行くんだ。


 前も散々からかわれたけど、今日もそうなのかな。


 でも幸せだから気にならないんだ。


 今夜、彼と同じベッドで・・


 楽しみだなぁ、くすくす・・


 「だーれだ」


 「お姉さま」


 「あはは、今日も元気ね」


 「だって今日は・・くすくす」


 「あらぁ、もしかして」


 「な・い・しょ」


 「クリスマスだもんね」


 「うん」


 「あいつとデートかぁ」


 「ディナーが待ち遠しいの」


 「あらあら、すっかりお熱ね」










 ★










 昨日も彼を想って・・


 だからお風呂も入り直しになっちゃって・・


 ずっと彼と居たいのに・・


 だけど、今夜はずっと居てくれる。


 嬉しいなぁ・・マサヤさん。


 リアルネーム教わったの。


 2人だけの時は呼んで良いって、あはっ。


 (やれやれ、ずっと惚気聞かされたわ。こりゃ本気でイカレてるわね。リアルではどうなのかしら・・あいつ、リアルでも逢っていたりするのかな)


 (結局、あれから音信不通のまま。イツキ、何処に行ったのよ。興信所に頼んだほうが良いのかなぁ・・捜索願、親戚の人に頼んでみようかな・・)


 「マサヤさん」


 「待ったかい、サツキ」


 「ううん、今来たとこ」


 「今日は特に綺麗だね」


 「えへへ、そうかな」


 「うん、惚れ直した」


 「マサヤさんも格好良いよ、5割り増しに」


 「そうかな」


 「うん、惚れ直した」


 「あはは、じゃあ、行こうか」


 「うん」










 ★










 美味しい料理と美味しいワイン。


 楽しい会話と綺麗な夜景。


 ここはクリスマス特設のホテル。


 だから中世ヨーロッパ風なあの世界とはちょっと違った空間。


 夜景はリアルの風景をそのまま取り入れているみたい。


 ログアウト出来なくなってリアルで4日が過ぎたけど、


 それだけで懐かしいと思うものなのね。


 体感時間は1年過ぎてるもんね。


 「ちょっと飲みすぎたかも」


 「大丈夫かい」


 「うん・・」


 「部屋に行こうか」


 「うん」


 「お風呂、先に入るかい」


 「一緒に入りたい」


 「えっと、それって仕様でやれなかったはずだよね」


 「試してみる?」


 「うん、そうだね」










 ★










 ボクってどんな存在なんだろう。


 脱衣所に2人で入れるし、服も脱げるんだ。


 本当なら相手が例えNPCでもやれない事のはずなのに・・


 ちょっと恥ずかしかったけど、2人でお風呂に入りました。


 彼の背中を流したり、流してもらったり。


 彼はとってもびっくりしていたけど、視線を感じて感じて感じて・・


 そのままの勢いでベッドに突入しちゃった彼。


 きっと限界が来ちゃったんだね。


 身体を拭くのもそこそこに、お姫様抱っこにしてだもんね。


 そして私は今日、女になりました。


 彼が女にしてくれたんです。


 激しかったけど、終わったら優しく愛撫してくれて。


 だから何度も愛し合ったんです。


 もう、離れたくありません。


 彼もずっと一緒だと言ってくれました。


 とっても嬉しいんです。


 彼とこんな関係になれた事が。


 だから明日からも狩りを頑張ります。


 彼とずっと一緒にいる為に・・










 ★










 (送ります・・どうぞ・・遺体を発見しました・・手遅れだったのか・・どうやら食中毒のようでして・・そうか、それで身寄りは無いのか・・親戚は


 いるようですが、両親は既に他界していますね・・独り暮らしか。うむ、ご苦労だった・・はっ、それでは・・)


 (若い身空で食中毒で死亡とは、実に哀れなものだな・・そうですね、まだ少年なのに・・何だと、男なのか?・・はぁ、どうやら、五月と書いてイツキと


 読むらしく、捜索願いに振り仮名が無かったのが原因かと・・やれやれ、キラキラネームのブームが終わったかと思えば、今度は難読ネームか・・)


 「もうすぐギルド戦ね」


 「おいらは狙撃で良いんだよね」


 「ああ、任せるさ」


 「頑張っちゃうよ、おいら」


 「ああ、期待しているよ」


 「愛しいダーリンの為なら何だってやっちゃうよ」


 「そうか」


 「うん」


 「ねぇ、砂糖吐きそうなんだけど」


 「ああ、すまんすまん」


 「そうだね、そういうのは後で・・くすくす」


 「すっかり相思相愛ね。リアルでもそうなの?」


 「いや、それは無い」


 「うん、遠いからね」


 「まあそういう事だ」


 (ログアウト出来ないってどう言う事なんだ。運営に問い合わせてみても、そんなバグは発生してないって言うし。


 こいつが嘘付いてるって事か?いや、しかし・・確かにいつログインしても居るが、だからと言って・・まあいい。


 とにかくオレとこいつだけが可能な夜の生活なんだし、下手に暴かないほうが良いのかも知れん。でもまさかだよな。


 運営にバレたら即刻規制対象になるだろ、普通。だからあんまり突くのは・・さて、今夜もたっぷりと、くっくっくっ・・)










 ★










 その後・・


 「ちょっと、どうなってんのよ、この狙撃手」


 「未来位置を予測してのホーミングとは、堪らんのぅ」


 「ホーミング?冗談でしょ。ハイエルフ専用スキルって・・ハンデあり過ぎじゃない」


 「そんなに凄いのか」


 「スキルは普通、+10でMAXなのに、あれに全てのスキルを統合すると、+225になるって言われてんのよ」


 「なんだそれ、まるでチートじゃねぇか」


 「まあその代わり、MPも1発1万は軽く使うらしいけどね」


 「普通そんなにMPあるのかよ、弓使いって」


 「到達者が他に居ないから分からないんだけど、がぶ飲みだと思うわよ。ただね、あれってレベル90のスキルのはずよ」


 「てこた、最低でもレベル90はあるって事かよ」


 「ベビシのハイエルフ、90の狙撃手だったのかよ。くそぅ、楽勝だと思ってたのによ」


 「それだけじゃないぞぃ。ワシらの動きを予測する、その才能が恐ろしいわい」


 「これじゃ下手に出られんぞ、どうする、オジジ」


 「仕方無いのぅ。こうなれば接近戦じゃ。肉の盾の用意をせぃ」


 「オレが行こう」


 「止むを得まい。狙撃手1人に対しておぬしではいささか釣り合わぬが、あれは別格じゃ、許せよ」


 「オレも行こう」


 「そうじゃの。成功せねば無駄死にじゃからの、保険は必要じゃの。じゃが、これではまともに攻めれんのぅ」


 「いいか、何としても死守しろ。オジジ達が戻るまで、落とされるんじゃねぇぞ」 


 「「はいっ」」


 「じゃあ、行こうかの」


 「そうね」


 「なっ・・盾を貫通・・そ、そんな・・バカな・・」


 「うぬぬ、もう1、いや、この際じゃ、4枚でいくぞぃ」


 「あの距離からなのに、なんて威力よ」


 「とんでもないのぅ」










 ★










 「おぬし、基礎にどれだけ時間をかけた」


 「ん?2日だよ」


 「たったそれだけか、天才だの。それだけに惜しいの」


 「そうね、努力をしない天才とか、先が見えているわ」


 「2日でも少ないんだ。かなりやったと思ったのに」


 「普通は1週間、でも、理想は1ヶ月ね」


 「ふーん、そんなに時間かけないといけないんだ。じゃあ2人も1ヶ月とすると、基礎だけで8年もやったんだね、凄いや」


 「何の話じゃ」


 「え、中の時間の話よ」

 

 「あれ、外の時間の話じゃ無かったの」


 「え、アンタ、外の時間で2日もやったの?」


 「うん、中だと半年かな」


 「それでかの、道理でとんでもないと思うたわい」


 「ねぇ、君、うちに来ない?」


 「おいらはベビーシッターで固定だよ」


 「再考せんかの。うちは最先端じゃ。おぬしのその技量、生かせるのはうちだけじゃぞ」


 「あんまりそう言うの、好きじゃないの。おいらはのんびりとやりたいから」


 「惜しいの。まあ良い。気が変わったらで良いから、うちに来るのじゃぞ」










 ★










 「それで、戦いはどうするの?」


 「気が抜けたわい。今日はこれまでじゃ」


 「また遊ぼうね、坊や」


 「これでも女の子なのに」


 「え、そうなの?」


 「脱ぐと凄いんだよ、あはっ」


 「着痩せする性質なのね」


 「戦い終わりなら着替えるよ・・それっ」


 「うっ・・」


 「ほっほっほっ、おぬし、負けておらぬか」


 「煩いわね、ジジィ」


 「ほっほっほっ」


 「じゃあまたね。今日はダーリンとデートだからさ」


 「それも負けておるの」


 「煩い、帰るよ、ジジィ」


 「ほっほっほっ」


 「じゃあおいらは見学に回るね」


 「うむ、わしらも見学じゃ」


 「今回はダメかも」


 「次は対策済みと思うが良いぞ」


 「うん、新技開発するもんね」


 「お手柔らかにね」


 「さあそれはどうかなぁ、くすくす」










 ★










 (とても他の奴には言えんな。オレもログアウト出来なくなったとかよ・・けど、あんまり気にならないんだよな。不可抗力に依存って言うか、


 仕方が無いだろうし・・さて、今夜もあいつとしっぽり、くっくっくっ・・結婚か・・そうだな。このまま2人でこの世界の中で暮らせたら・・)



人様の小説を読んでいると簡単そうに感じますが、実際に書いてみると

物凄く大変なのがよく分かりました。

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