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告白

今回も依頼は、突然やってきた。

部室のドアが開くと同時に転がり込んできた男が第一声に言ったことは


「ぐわ~俺の右手が暴走する前にお前ら早く逃げるんだ!!」


だった。

間違いない今回の依頼人は、面倒くさいことに中二病を患っているやつらしい。

その証拠に右目には眼帯、両手には黒い革の手袋なにより痛々しかったのは、背丈ほどあるのではないかというほど長い、黒いマントみたいなやつを羽織っていることだった。

は~今回はよりにもよって男かよ、やる気でね~



「え、え~と…

 それでは、まずお名前と依頼内容を話してもらっていいですか?」


優希ちゃんが男の入場を無視するかのごとく質問した。

すると男が



「うむ、我が名はいにしえに伝わりし闇のマジックマスター、名をブラックリバー…」


「うん、でホントの名前は?」


優希ちゃんの顔がものすごい怖い、こんな顔は初めて見る。

どうやら、優希ちゃんにとって中二病はなにか癪に障ったらしい。


「…黒川です」


なるほど、それでブラックリバーってわかりやすいな!!


「それでは、依頼内容は?」


「よくぞ聞いてくれた!!

 我がフィアンセになりうる存在の女に契約の契を結ばれたく…」


「え、えーとつまり?」


「なるほど…

 つまり好きな女の子に告白したいから手伝ってくれってことだな?」


「さよう」


その瞬間全員の目線が俺の方を向いた


「なんで…わかったの?」


優希ちゃん不思議そうな顔で聞いてきた


「たまたまだよ、うん!! たまたま…」


言えるわけがない…

俺が昔その中二病を患えていたことなんて、あれは俺でも思い出したくないほどの黒歴史なのだから…

優希ちゃんはふ~んといった感じで詮索をやめてくれた。


「じゃーつまり女に告白したいから手伝えってことでいいんだな?」


涼花が確認する。


「告白か~

 みんなはしたことあるの?」


俺は、無神経に聞いてしまった。


「僕なんかが告白なんてー」坂本

「したことないよそんなの…」優希ちゃん

「あるわけねーだろ!!」涼花


みんな動揺を隠せない様子だった。


「…なんかごめん…」


とりあえず俺は謝っておいた。


「じゃ、じゃぁ気を取り直してどうしたら黒川の告白が成功するのか考えていこう」


俺たちは、部室内にあったホワイトボードを使い会議を始めた。


「やっぱり王道にラブレターとか?」


涼花が言ったが、俺は無理だと思うなぜならこいつが中二病だからと言っておけばみんなわかるだろう…


「屋上に呼び出すとか?」


坂本が言ったが俺は無理だと思う、呼び出すには手紙が必要だ…

あとは察してくれ…


「いっそのことデートに誘うとか?」


優希ちゃんが言ったが俺は無理だと思う、デートはハードルが高すぎる。

彼が中二病だから…


時刻は、もう七時だ

俺たちが結局出した答えは

(ありのままの自分で告白するだった)

本当にこれで大丈夫なのか不安だが、これ以上の案が思いつかなかった。




が、俺の不安が的中する。


「ふられた…」


奉仕部にきた黒川はショックのあまり普通の言葉に戻っている。

どうやら本当にあのまま告白をしたらしく、告白した女の子の返事は


「…ごめん、何言ってるのかわかんない…」


とのことだった。

まぁ当たり前だな。

どうやって黒川を慰めようか迷っていると


「ここにいたんだ、黒川くん探したよ!

 さっきの言葉の意味を聞きたくてずっと探してたんだよ?」


女の子が立っていたその子は鎌田紗月かまたさつきというらしく黒川の告白の意味を聞きに来たとのことだった。

だが、今の黒川は中二病口調じゃないからチャンスかもしれない!!


「黒川!!」


そう言って俺は、黒川に力強い視線を送った

黒川は、強く頷くと


「お、俺と付き合ってください!!

 …て意味だったんだけど…」


最後が弱々しくなってしまった。

がしかし、ついに言うことができた。

これで振られても黒川は本望だろう…


「なんだ…そんなことか~

 いいよ、私なんかで良ければね」


え?今なんて?


「え? なんで俺なんかと?」


「え~それ言わなきゃダメ?

 う~んとね、みんながなんと言おうと自分のキャラを突き通す黒川くんがかっこいいと思っちゃったの…それが理由じゃダメ?」


黒川が強く首を振る。


「奉仕部の皆さんありがとう!」


そう言ってラブラブな2人は夕焼けに消えていった。

こうして今回の依頼も無事終わったわけだが、なにか腑に落ちない


「なんで俺には、彼女できないのかね~」


なんて呟くと優希ちゃんがこちらに来て


「康介も彼女欲しいとか思うの?」


「ま~ 男だからね」


「ふ、ふーん

 じゃ、じゃあ私と…」


そこまで言った優希ちゃんを止めるかのごとく涼花が割り込んできた。

2人で小さな声で話し合っている


「ずるいぞ!!

 今はまだってお互い約束したろ?」


「うん…ごめん

 抑えられなくなっちゃって…」


2人でなにを話しているんだ?

それにニヤニヤしている坂本に少し腹が立つ。

しかしさっきの優希ちゃんは俺になにを言おうとしていたのだろう?

少し顔が赤くなっていたが、あれは夕日のせいだろうか。

まさか優希ちゃんは俺のこと…



まさか…ね



告白をするのは黒川でした!!

タイトル詐欺じゃないよ?だってしっかり告白してたじゃない?

次の話も見てくれるとありがたいです!!

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