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明るい少女

「あ~ん

 ほら早くしないと溢れちゃう」


そう言って俺の目の前にいる、短髪の女の子はスプーンの上に乗ったアイスを差し出してきた。

その隣にいるのは、短髪の女の子の友達だ。


「あ、あーん」


俺は、仕方なくスプーンの上のアイスを口に入れた。

恥ずかしすぎる…

なぜこうなった?



それは、昨日まで遡る。

俺たち奉仕部は、いつものように依頼を待つという平和な時間を過ごしていた。


が、そいつは、悪魔の足音と、共にやってきた。

廊下を走る音が聞こえたと思ったら、突然ドアが開かれた。


「ね~

 お願いがあるんだけど~」


その声は、なんともだらしなく服もダボダボだ。

聞けば、名前は、安藤律あんどうりつ、依頼内容は恋人になって欲しいということだった。

は? 恋人? なにそれ?


「いや~

 お恥ずかしながら私彼氏いないのに、見栄張って地元の友達に彼氏いるって言っちゃって~

 そんでその友達がこっち来るって言うもんだから困った~なんて!!」


こいつの話方には、あまり怒らない俺でも腹が立った。

これが人にものを頼む時の態度か?


「そんでそちらのどちらかに、1日でいいんで彼氏役をたのみたいな~なんて」


そう言って律は俺と坂本を指さした。

俺は、こんなやつと恋人役なんてゴメンだと思ったが、坂本をみると俺に助けを求めるかの如く小鹿のような目をこちらに向けていた。

確かにこの仕事は、坂本には厳しいと判断した俺は、仕方なく律の恋人役をかってでた。

後ろでなにか突き刺さる視線を感じたが気のせいだろう…いや多分…




そんで今に至るってわけだ。


「ほら~

 もう一口~」


正直うざい、だがこれも依頼だ!!

胸にそう言い聞かせ俺は、その羞恥に耐えた。

デートに言ったところといえばショッピングセンターとその中にレストランといったところだ。

特に何事も起こらず時間はすすんだ。

友達、名前はなぎさちゃんの電車の都合上そんなに長いあいだ恋人のふりをしなくて済んだ。

ナイス渚ちゃん!!

律は、駅まで送って行くと言っていたが


「いいよ~

 ラブラブなお二人さんは、まだ時間もあるし、ゆっくりしてって!!」


とのことだったので、渚ちゃんとは、ショッピングセンターで別れた。

なんとか、依頼は達成されたが、1つ俺には気になることがあった。

それは、渚ちゃんが別れ際にいったことだった。


「いや~それにしてもよかったよ。

 中学時代あんなことがあったから心配してたんだよ?

 まぁ彼氏がいる今の律なら問題ないと思うけど」


中学時代に何があったんだ?

俺は、聞いてはいけないことだと思ったが聞かずには、いられなかった。

なぜなら楓ちゃんのあの言葉依頼律の顔は寂しそうにしていたからだ。


「中学時代なにがあったんだ?

 別に言いたくなきゃ言わなくていいんだけど」


律は一瞬迷った様な表情を見せたが


「そうだね… 今日1日彼氏として頑張ってくれたし特別に話してあげる。

 あれは、中学2年生のときでね」


そう言って律は、話しだした。

律は、中学2年生の時に一個上の学校1のモテ男に告白された、律はそれを断る理由もなかったし、友達の勧めがあったこともありで付き合うことにした。

しかし、その先輩は律の体目的だけだったらしく、先輩の家に行った時に襲われたらしい、律なんとかその手を振りほどき家を出ていくことに成功した。

しかし、律を待っていたのは、壮絶なイジメだった。

原因は、先輩が律のデメリットになるデマ情報を流していたことだった。

律は、必死に弁解したが相手は学校1のモテ男、律が信用されることもなく、その後も壮絶なイジメは続いたらしい。

そんな時に、彼女の隣にいつもいてくれたのが渚ちゃんだった。


「その時は、強い女になれば苛められることもなかったし、男に舐められることも ないと思った。

 バカだよね私… そうやって髪の毛の色を染めてもなにも変わるわけないのにね」


そう言っている律の目には、涙が滲んでいた。

知らなかった。まさか律にこんな過去があったなんて。

俺は、ことごとく女の涙に縁があるらしい。

俺がこの子にしてあげられること…


「ちょっとこっち来い」


「え?いきなり何!?」


そう言って俺は、律の手を掴んでショッピングモール内にある観覧車に乗せた


「どうしたの?」


律は不思議そうにこちらを眺めている

俺は、そんなこと無視して一心不乱に話した。


「いいか?そんなこと気にするな!!」


「え?何のこと?

 てか、顔が怖いんだけど…」


律は、俺の突然の大きな声に驚き何を言っているのか、意味不明な感じだった。


「お前を襲ったって言う先輩は、ここにはいないんだ。

 お前だって先輩に会いたくなくてこんな遠くの学校まできたんだろ?

 もう無理することなんか何もないんだ…

 俺は、そのままの律が見たいな」


律は、話を理解したらしく、俯いている。


「もしも、先輩がまたお前にちょっかいを出すようなことがあれば…」


俺は、大きく息を吸った


「俺を頼れ!! 俺たち、奉仕部を頼れ!!

 絶対になんとかしてみせる!!」


俺は大きな声で言った。

すると、ポロポロと律の目からは、とうとう涙が溢れてきた。

やはり彼女は相当無理をしていたのだろう。


「何それ告白みたい…でも

 ありがとう!! 本当にありがとう!!」


そう言って彼女は、泣き続けた。




「今日は、ありがとう!!」


帰っていった律の顔はとても晴れやかで、肩の力がようやく抜けたようだった。

その姿を見送り今回の依頼は無事達成された。



次の日、いつも道理部室でゆっくりしていると、なにかおかしい…

それは、優希ちゃんと涼花の目線が怖いのだ


「2人とも…どうしたの?

 目が怖いんだけど」


優希ちゃん「別に康介が昨日のデート普通に楽しんでいたことに対して怒ってなんかないですから」


涼花「別に依頼が終わったのに、律と観覧車に乗ったことなんかまったくもって怒ってないわよ」


2人とも完全に怒っていた。


「ていうか見てたのか?」


「うん…ごめんね心配で…」


そう言ったのは、坂本だった。

どうりでちょくちょくデート中に視線をかんじるわけだ…


「い、いや誤解だって~」


俺は、必死で弁解した

すると、突然ドアが開き


「こ、こんにちは…」


そこに立っていたのは、髪を黒に染め直し、制服をしっかり着こなしている律の姿だった

俺は、その可愛らしい姿に呆気にとられていると


「昨日は、ありがとう!!

 それだけ!!」


そう言ってドアが閉められたと思ったが再び開き少し顔を赤らめた律が俺の方を見て


「もう1個あった…

 康介今度はちゃんとしたデートしようね」


「な、お前!!」


ウインクして律は、去っていった。


「「康介!!」」



廊下には、2人の少女の怒鳴り声と希望に満ちた少女の足音が響いていた。



今回は、いつもより長いですがお付き合いください

またしても新ヒロインの登場?なのかな?

次の話も読んでくださるとありがたいです!!

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