休日 前編
薄暗い部屋の中、1人の女性が佇んでいた。
「奉仕部か・・・見過ごしてはおけんな」
そう言っているのは、生徒会長こと、西条楓だった。
奉仕部は、初仕事以来着々と仕事数が伸び、生徒会長に目をつけられるのも、時間の問題だった。
「高杉康介か・・・
どう、いたぶってやろうか・・・」
その後、俺たちが生徒会に目を付けられていると、知ったのは、もう少し後のことになる。
「は~やっと終わった」
ひと仕事終え椅子に座るとどっと疲れが襲ってきた。
たくさんの仕事がきて、ありがたいが、体が持たない。
なぜ、こんなに一気に人気がでたかというと、この前助けた立花さんは、クラスの委員長だったらしく、そんな彼女が奉仕部のことを宣伝してくれているようだ。
どうやら、彼女もあの一件以来、男女共学を支持してくれているらしい。
うれしい限りだ。
が、ここ最近の仕事はハードすぎる。
今さっきも、逃げ出した猫を追いかけて、街中を駆け回ってきたところだ。
運動には、かなりの自信がある俺でもしんどいのに、小柄な、優希ちゃんや坂本は、さすがに堪えているようだった。
え?涼花はどうだって?
涼花はピンピンしている。彼女、陸上の長距離全国3位だから。
なぜ、そんなやつが陸上部に行かずに、奉仕部にいるのか、不思議でしょうがない(誘ったのは俺だが・・・・)
だが、こんな生活もとりあえず終わろうとしていた。
なぜなら今日は金曜日。つまり明日から休みだ!!
「みんなは、この土日なにか予定とかあるの?
ないのなら、みんなでこれ行かない?」
そう言った優希ちゃんの手から差し出されたのは、最近オープンしたばかりの、温水プール無料チケットだった。
なぜ、こんなチケットを持っているか聞いてみると
「友達が行けなくなったのをもらって・・・」
だそうだ。
「いいよ、ちょうど俺も暇だろうから」俺
「お言葉に甘えるわ~」涼花
「僕も大丈夫だと思う」坂本
みんなOKのようだ。
こうして俺たちは、朝8時に駅前に待ち合わせることにした。
「は~、早く来すぎた!!」
俺は既に、駅の前に待っていた。時刻はまだ7時だ。
だってしょうがないじゃん!!
優希ちゃんの私服&水着姿だよ?楽しみで仕方ないでしょ?
それにしたって早く来すぎてしまった。
あと、1時間ほど、なにをしてようか・・・・
「・・・あれ?康介?」
俺は、驚いた。
なぜなら、まだ時刻は、7時10分を回っていないからだ。
まさかこんなところに優希ちゃんがいるわけ・・・
優希ちゃんだった。
「ど、どうしたの?まだ8時じゃないよ?」
「楽しみすぎて、早く来ちゃった・・・」
どうやら優希ちゃんも同じ理由だったようだ。
しかし、優希ちゃんの私服は、可愛かった。
どこかのお嬢様が着ているような清楚な白いワンピースだった。
俺は、ヨダレが出るのを抑え、あることに気づいてしまった。
これは優希ちゃんとの間を縮めるチャンスかもしれない!!
頑張れ俺!!
「ところで優希ちゃんって・・・・」
「あれ~みんなどうしたの?
まだ8時じゃないよね?」
会話をへし折ってきたのは、涼花だった。
ちくしょーーーー!!
なんで、お前も早く来るんだよ!!
その後全員が揃ったのは、7時30分だった。
みんな、楽しみにしすぎ!!
「じゃ、じゃぁ早めに行って並びますか」
そう言って肩を窄めたおれは、プールに向かって歩きだした。
この後の展開にポロリがあることを願う俺だった・・・・
今回は、少し短いですがご了承ください。