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チートなしで敗戦国家を救うことになりました。  作者: 浅咲夏茶
三章A エルダレア編 《Changing the girlfriend's country》
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3-53 つかの間の帝都散策 《In the bookstore》

 薄暗い雰囲気の中にも温情というものはある。経営方針からとも考えられなくないが、内戦真っ只中のことだ。悲しみに包まれた状況を打破するようなくらいの温情を確認できただけでも、ラクトはエルダレア出身者として多少の安堵を浮かばせる事が出来た。


「なんだかんだ、庶民は置かれた境遇で生きようとしてるんだな」

「そりゃ、生計を立てなくちゃダメだからね。生きていくためにお金は必要でしょ。私がそうだったように」

「へえ。でも、今まで働いたことない身からするとラクトの言い分は全然分からない……」

「それだけ恵まれてたんだよ」


 恵まれていた自分の境遇をふと思い返す稔。蘇るのは幼き日々の思い出の数々だ。教育を受けられることがどれだけ幸せなことかなんて普段は考えない。けれど、エルダレアの内戦事情を知って少しは理解できた。同じく、自分の置かれた立場でするべきことも分かった気がする。


 エロイムも言っていたように、今のエルダレア帝国を救う方法は一つとは限らないし、これから先も多数の選択肢が待っている。だからこそ、稔は問いたかった。上層部だけが下層部の人間を見下す政治は終わらせ、上から下まで水が流れるような、全員が得する政治を始めて作っていくために。稔はその第一弾として、まずは帝都に在住する人々の話を聞くべきだと考える。


「でも、今のディガビスタルってろくな観光地無いし」

「帝皇の住んでる場所とかは――」

「中は入れないけど見れなくはない。けど、ここから二〇分は掛かると思うよ? それに政府庁舎からも遠いし。だから私としては、ここら近辺で暇を潰したほうがいいかなって」

「けど、どういう場所で暇をつぶすつもりだ? 昼食終わったんから食事はもういいぞ?」

「そこで『書店』の出番でしょ。稔って二次元(そういう)作品好きじゃん」


 少なからずダメージの受ける言い回しで話が進んでいることに抵抗を覚えつつも、稔はラクトの言っていることが間違いではないとして反論はしない。それに、ライトノベルの中でも萌えやエロに突っ走っていない作品もいくらか有る。独裁政治だろうがエルダレアでそういう作品が手に入らないとは限らないから、稔はラクトの考えに賛同して書店に行く提案を支持した。


「それなりに大きい規模の書店がいいよね?」

「広すぎても足や頭を酷使するだけだから、ある程度の限度ってものはあるぞ」

「精霊二名を酷使してるブラック企業のトップが何を言ってるんだか」

「うっせ」


 稔をブラック企業の社長に仕立て上げることは暗黙の了解となっており、こちらも特に批判コメントを出すことはない。「煩い」と軽く一蹴して会話を始めないようにし、稔は咳払いしてラクトにディガビスタル市内の情報を貰うことにした。同じ大都市出身でも、異世界の大都市出身。そんな稔がディガビスタルを満足に案内できないのは言うまでもなかろう。


「それで、書店は何処らへんにあるんだ?」

「この近くだと市役所の隣にあるね。二階建ての喫茶店付き。ボン・クローネ国立図書館と似てるかな」

「でかいのな。でも、その話だとコスプレ喫茶ってことになるぞ?」

「必ずしも比喩が全て表現すると限ったわけじゃないっての」


 コスプレ喫茶ではないようで、ラクトは稔の茶化しを冷静に対処した。無論、自分の母国を侮辱されて傷つくのはネイティヴなら当然のことである。侮辱までは行かなかったために『猛烈な批判』とはならなかったが、ネイティヴを茶化すような時に『馬鹿にする』と『侮辱する』を履き間違えてはならない。そんなことを稔は思った。今回は『馬鹿にする』だから双方何も言わなかったが、これを間違えると異国間カップルの場合は大変なことになるので念頭に置いておく。


「ところで、歩いてどれくらいだ?」

「一分も掛からないよ。この路地進んだ先に見えるはず」


 ラクトはそう言って路地のある方向を指さした。店と店の間などを縫うような路地ではなく、二メートル程度の幅を持った大きな路地だ。どちらかというと碁盤状に整備された街の小路のような道である。


「あまり暗くないのな。書店は見えないけど」

「でも、見えないほうがそそらない?」

「受け取りようによっては変な意味に聞こえるからやめろ」


 狙ってラクトが言ったのを見抜き、稔は冷淡な口調で言う。言われた側の赤髪は主人の内心を読んで見抜かれた事を先に把握しており、「バレたか」と軽い返しの言葉を入れる。それでも束の間の休憩時間を満喫しない訳にはいかず、二人は少し会話をして路地をずんずん進んで書店へと向かっていった。




 進んだ先に有ったのは信号機だ。ボン・クローネの街は中世ヨーロッパのような街を忠実に再現するために信号機の一切を配置していなかったから、マドーロムの世界に来て信号機は初めて見たと言っても過言ではなかった。けれど、現実世界の物とさほど変わらないので力を入れて説明する程でもない。


「スクランブル交差点か」

「渋谷とは違うけどね。ほら、目の前に見えるのが市役所だよ」

「ディガビスタルの市役所って意外と普通なんだな」

「それで、そっちが書店。そこそこ大きいでしょ?」


 路地をさした時と同じように人差し指を向けるラクト。稔がその方向へ目線を向けるとガラス張りで作られた書店が見えた。しかし一階に駐車場が無い。それこそ巨大施設だ。駅の中にある書店とかなら百歩譲れても、交通量の多い道路を目の前にした場所で駐車場無しの巨大施設を目にしてしまうと、稔は書店の方針に頭を悩ませてしまった。


「確かに大きいが……駐車場無くないか?」

「駐車場は屋上と地下の二つらしい。まあ、私もあんまり詳しくないからそれくらいしか言えないんだけど。それはそうと、もうエスコート役降りたの?」

「そうは言っても、ラクトから情報をもらわないと話が進まないし」

「確かに。じゃ、ネイティヴとして精一杯のエスコートをさせてもらいますか」

「そうしてもらえると助かる。……情けない気もするけどな」

「そういう淀んだ気持ちは本を読んで晴らせばいいさ」


 稔とラクトが会話を済ました頃、スクランブル交差点の信号が切り替わった。車道の信号は上から赤、黄、緑、と何ら日本と変わらない信号機の色で作動している。歩道の信号機は赤色と緑色の二つで、これまた現実世界と同様だ。


「この通りの交差点、全部スクランブルなんだな」

「そうだね」

「ホント、歩車分離とかスクランブルが安全なのは確かでも、渋滞が発生するとしか思えないんだよな。もう、押しボタン式の信号が可愛く見えるレベル」

「押しボタン式って嫌がらせできるよね。小さい頃やった」

「懐かしいな……」


 童心を懐かしむ二人だが、当然ながら最近は全くしていない。子供というのは見たものを何でも弄ろうとする性質があるから、どうしても押しボタン式のボタンを押したくなるのである。それこそ走っていた車が嫌な顔して止まった時、優越感に浸ったことも有るはずだ。もっとも、道徳を学べば猛省するべきなのは言うまでもないことなわけだが。


「やっぱり同類だな、俺ら」

「そうだね。オタクっていう点では一致しないけど」

「まあいい、俺がお前をオタクに目覚めさせてやるからな。……覚悟しとけよ」

「暴露された復讐か。ふっ、私の趣向を変えられる実力があるのかな?」

「臨むところだ!」


 手を握りながら互いに顔を見合って違う主張を言い放つ二人。続けて、この休憩時間の後に戦闘が待ち受けていることを少し確認する。一応歩きながらの会話だったが、信号が赤になる前に渡らなければと急ぎ足になって対岸の歩道へと稔とラクトは急いだ。そして二人は、何かを落とすこともなく無事に渡り切る。


「そういや、読書家も弁護士も、ある意味じゃオタクだよな」

「その分野に精通してるから?」

「そういうこと。まあ、広義すぎる感は否めないけど」


 稔は言うまでもない『オタク』である。『ファン』と名乗る事もできるが、やはり没頭している姿はれっきとした『オタク』だ。けれど、『オタク』は何もサブカルチャーだけではない。『オタク』は『マニア』であり『知識人』であり『学者』なのである。そう、その道を作る人間なのだ。


 しかし、自分の主張を入れても気持ち悪がられると思って稔は内心に留めておく。なにしろ、デートの最中に共感できないような話をされても彼女が面白く無いと感じるのは言うまでもないからだ。だから、比重は彼女に置いておく。


「まあいい。難しいことは置いておくとして、書店に入るぞ」

「購入する時は自費ね。両替に関しては私に頼めばやってあげるから……ね?」

「確かに、心友との共有財産なら無問題だな」


 オタクに染めさせる方向と購入時の支払い方法を確認すると、稔とラクトは正面の入口から書店の中へと入っていった。玄関の構造は北海道などの寒い地域でよく見られる二重扉だ。あまり雪が降らない場所に住んでいる一人として、稔は新鮮な感じを受けた。


「二重の扉って、こっちだと一般的なのか?」

「盆地と高緯度が合わさった時に寒さがどうなるかなんて、簡単なことだろ」

「すごく……寒いです……」

「でしょ? それに、盆地なんか海から風を受けないから夏は凄く暑い。だから、二重の方が効果的に冷房や暖房の効果を発揮させることが出来るって訳だ」


 高校生にもなって『内陸性気候』の事が分からないはずもなく、稔はディガビスタルの置かれた境遇をすぐに理解することが出来た。ラクトが追加で説明してくれたことは、そんな内陸の気候を復習する内容とも言える。だがラクトは、自分が見事に稔に誘導されていたことに気が付いて謦咳し、こう言った。


「ここで立ち止まらせるな、バカ!」

「やっぱ人がいな、ラクトって。付き合ってくれてありがとな」

「わっ、別れるんじゃないよね?」

「ねえよ。『話に付き合ってくれて』って意味だ。それに、離すつもりはない」

「よかった……」


 稔は意図せずラクトを困らせたことに内心で謝る。けれど、逸れた道で時間を潰すのは勿体ない。相互の利害が一致して書店に行くことになった以上、その場所に辿り着いて未入場なんか有り得なかった。


「今度はちゃんと行くぞ」

「頼むよ?」

「おう」


 ようやく書店で過ごす時間が確保出来たと思うと気持ちを高ぶらせ、繋いで居たラクトの手を少し強く握って稔は二重扉の二つ目の扉の先へと足を入れた。踏み込んだ先に見えたのは赤色のカーペット。これは、書店内の幹線道路的な道筋を示しているようだ。無論、少し入った場所にカーペットは敷かれていない。


「それで、稔が探してる本ってのは何処に?」

「日本だとコーナーが作られてるんだが……取り敢えず、文学のコーナーかな」

「文学文学……」


 稔の言葉と共にラクトは文学コーナーを探し始める。だが、文庫本が大量に並べられたコーナーがどこかに有るはずだと探しても見当たらない。二階も書店らしいから一階に無い可能性も当然ありるけれど、それでも広大な面積を誇る書店の一コーナーを一目で探すのは難儀なのは揺るがない。


「無くない?」

「あると思うんだけ……ん?」


 ラクトが探しても見つけられなかったため、稔もコーナー探しに動き始める。すると開始早々、彼は気になる看板を見つけることが出来た。上から吊るされている看板の中に一際気になる物が有ったのだ。その単語名は『文庫・雑誌』。


「ラクト。『文庫・雑誌』のコーナー行ってみないか? 凄く怪しい」

「分かった。でも、テレポートするような距離じゃないよね」

「じゃ、歩きで行こう」


 遠いわけでも近いわけでもない距離に有ったコーナーだから、稔とラクトは歩いて向かった。途中で赤色のカーペットは姿を消し、見えたのは普通の床。ゴミの一切が落ちていないことから掃除が行き届いた書店なのだと分かる。


「それで、稔が探してる本ってのは……なんだっけ?」

「勘違いしてほしくないんだけど、タイトルじゃなくてジャンルで探してるからな? それを頭に置いてもらって――表紙に絵が描いてある書籍って無いか?」

「絵が描いてある書籍か……」


 雑誌が羅列された棚と書籍が羅列された棚が、まるで摩天楼のように立てられていた。左右に置かれた棚には本がびっしりと詰まっている。付録付きの雑誌を持ちだされるのが至極嫌なようで、そのような雑誌は最上段に有った。高さにして一メートル八〇センチ。稔なら手を伸ばして届く距離だが、ラクトは少し危うい。


「あったか?」

「いや。でも、背表紙の幅はこれくらいでいいんでしょ?」

「そうだと思うんだけどな……。いいや、ちょっと裏も回ってみよう」

「分かった」


 雑誌と文庫のコーナーが左右にあるということから察し、廊下を挟んだ左右でワンセットではなく、廊下と廊下に挟まれた左右がワンセットだと考えて行動を取り始めた。稔の考えは、言うなれば『駅の島式ホーム』に似た考えだ。


「無いか?」

「到着したばかりで急かすな。情報、まだ届いてないんんだから」


 稔を一蹴し、ラクトは視線を本棚の方向へと向け続けた。文庫コーナーはなんだかんだ言っても小さいはずが無いから、場所を移動したほうが効率的には捗ると考えて動こうとする主人。しかし、ラクトがそれを止めた。隣のコーナーへと視線を移しただけだったのだが、場所を移動するのと勘違いしたらしい。


「どうした?」

「いやっ、なんでも……ない」

「驚かすなよ」


 稔が破顔と一笑をした。一方でラクトは冷や汗をかき、続けて自ら痴態を晒したことを否定するべく咳払いを行う。互いに背中合わせになった後、二人はまた書籍探しを始めた。俗にいう『ライトノベル』が帝都の書店に置かれているか否かを探し始めてから、既に一分が経過していた時の話である。しかし数秒後、話は予想もしない形で一変した。


「貴台が探しているという本らしき物を見つけたのだが……『転送』するぞ?」

「万引きと怪しまれる行為は避けた方がいいと思うん――え、なんで紫姫?」

「赤髪を見習って、『戦友』としてバレないように行動をしていただけだ」


 紫姫は正妻戦争から身を引いてはいた。けれど、稔を諦めたわけではない。その証拠に、本来ならば上のランクである事を示す『心友』のラクトを嘲るような物言いで紫姫は言っていた。また、「見習った」という一歩下がった謙虚な言葉も赤髪の心に深い傷を負わせていた。


「(こいつ……)」


 ラクトの中で敵対心が芽生える。しかし、互いに捨てた面が有るのは確かだ。バトルを捨てたラクトと、家事力と自主性を捨てた紫姫。互いの短所を考え直した赤髪は、互いに欠けている面があれば共に助け合うべきだと結論づけた。小さなことで争っていては、稔を基軸とした現在のグループが崩壊するのは言うまでもない。だからこそ、役割を全うして共存しなければならないのである。


「貴台。本はそのようなもので良いか?」

「表紙は分かってるな。中身は――って、これ『官能小説』じゃねえか!」

「『官能小説』とは何だ?」

「後でラクトに訊けば分かることだ。それよりこれ、転送出来ないのか?」

「転送の指示か? 了解した」


 そう言い、紫姫は『転送』を使用した。精霊にしか使用できない便利な魔法である。稔の手元に送られた書籍は回収し、紫姫は戻ってきた官能小説の本を元々あった位置へと戻した。気が利く女になろうと頑張っていた紫姫は、続けて稔にその一面を覗かせる質問をする。


「ああ、我の居場所を教えるべきか?」

「教えなくていい。でも、表紙がこういう系統のものなのは確かだ。目のつけ方は間違ってない。けど、お前は俺の戦線じゃ最重要の精霊だし、極力体力は温存しておいてもらえないか? その気持ちは有り難たく貰っておくから」

「了解。あと、文庫本コーナーは棚四つで構成されているようだ。では、戻る」


 そう言って魂石に戻っていく紫姫。質問に関しては後回しにされたが、それよりも気遣いをしてもらえたことのほうが大きく心に残っていた。それゆえ、魂石に戻る時の機嫌は相当良い。同じ頃、会話をしていなかった方の心友が『ライトノベル』に近い媒体の書籍を発見した。稔に示し、中身を確認してもらう。


「探して求めていたのは……これだ」

「やっとか……。長かったね」

「そうだな。じゃ、ちゃちゃっと買って読みますか」

「賛成!」


 ラクトが手にとった本は書店員おすすめの本らしく、稔は異世界文学を知るためにも購入して損はないと考えて購入することを即決した。無論、迷うことなくレジへと足を進める。稔の後を追ってラクトもレジへと向かった。円とフィクスを両替するためにも、金銭管理担当である赤髪の存在は必要不可欠だったのだ。


「これ、お願いします」

「税込六七〇フィクスです」


 背後でラクトから財布を受け取った後、稔はそこから六七〇フィクスを取り出して支払う。釣り無しで支払ってくれた時の有り難みは大きく、一方の店員は内心で喜んでいた。言うまでもなく、一円とかを返す作業は腹が立つのだ。でも、表情に出すような真似をすると客が驚くから顔には出さない。


「レシートのお返しです。ありがとうございました」


 レシートを貰って財布に片すと、稔はレジ台の上にあった透明のビニールブックカバーと紙製のブックカバーを貰った。本の入ったビニール袋の中に入れ、入店した時と同じ方の手でラクトと手を握る。空いた手は袋をぶら下げる役割があるから、決して「いらない子」ではない。


 だが、そうして読書が始まろうという時のことだ。束の間の休憩時間は、魂石越しの言葉によって見事に収束してくれた。同じく魂石から戦友が登場し、稔と紫姫はサタンからの情報をしっかりと耳に入れる。


「文書が見つかりました。ラクトさんに渡しますので、『黒白』は最前線に」

「了解した。ラクトはロパンリに向かわせればいいのか?」

「その方向でお願いします。少々、ハッキングしてほしいところがありまして」

「だってよ。行くか?」

「うん」


 ラクトは彼氏と離れ離れになることに嫌な顔色を浮かばせたが、それは少しだけのこと。役割が有るのだからと、自分の全うするべき仕事をするためにロパンリへ向かうことをラクトは決意した。直後、サタンによってラクトの転送が始まる。その一方で、最前線部隊へ送られてきたものがあった。


「イヤホンを」

「どういう魂胆だ?」

「情報を読み上げる際、こちらのほうが便利だと思いまして」

「なるほどな。大事に使わせてもらうぞ」


 書店内でラクトの転送だとか紫姫の召喚だとか、色々と行動を行った稔陣営。後方の司令塔である最凶かつ最強の精霊罪源から指示を受け、『黒白』はこう言って遂に帝国政府庁舎へと足を向かわせた。


「「――攻略開始――」」

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