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最果ての最期の料理

[伯爵の手記]…もう地図にも載らない場所にまで来てしまった、そこに有るのは人も町も無く…ただ有るのは寂れた広野と飯所だけのようだな。

広野を旅をする伯爵はもう疲れ果てて、もう人の居ない寂しい所にたった一軒の食堂に足を踏み入れた、靴もボロボロで服も擦れてしまって居た。

そして不思議な事にそこにはポツンと建っているだけでメニューも無かった、奥からは老人が表れて「あんたの食べたい料理はこれだろう…?」と言って水に近い痩せた芋のシチューだった、もしも普段の伯爵なら「バカにするでないわ!」と激怒して一口も口をつけないで出て行くだろうが、今の伯爵はそんな事をしないだろう。


匙でシチューを飲むと故郷や今までの旅をした思い出が蘇り、彼は枯れたはずの涙が溢れて瞬く間に平らげてしまって居た、老人に「何故吾輩に故郷の料理を…?」と聞く頃には老人は消えていて伯爵は手記のページに「このページが最後じゃ、此処を出たら(東の田舎村)まで戻って村の者たちに吾輩の今まで集めたレシピ達を伝えねば…」と書いている時に眠ってしまった居たのです。


そこは広野の村の一里前のオアシスでした、元々食堂など無く今まで見えていた物は伯爵の幻を見たままで眠ったまま動かなくなっていた。

それを最初に見たのは広野の村から旅に出た若い旅人だった、彼は最果てから旅を始めたばかりで此処で旅の目的を見出したのだった、それは此処で眠ったまま動かない男の沢山の贈り物を(東の田舎村)まで届ける事だった。


彼のお蔭で村に悲しい知らせと嬉しい知らせが舞い込んだ、それは身を持って美味しい食事のレシピや保存食の作り方を教えてくれた英雄の死と伯爵の遺志を成し遂げてくれた優しい旅人がこの村にやって来た事である。


そして今はこの村は田園風景の広がる美味しい小麦や野菜が出来る豊かな村として、伯爵の子孫や旅人の子孫が村の人々達と共に慎ましくも温かい食事を取ると言う生活を営んでいる。

これで「食いしん坊伯爵の欲しかったもの」が終わります、拙く内容が汚かったりする所が有りますがそれでも読んで頂けたら嬉しいです。次回作も書きます

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