0 寝付かせ師の初仕事
王道で行きたいのですが、見切り発車なのでどうなるか不明です。
中編程度でまとめたいな。
設定不備ですが大目にみてください。
レスターには、急を要する悩みがあった。
最近、息子がよく眠れないらしい。
悪夢もひどいらしく、夜中に屋敷中に響くような叫び声をあげて苦しむ。
その声は、さながら断末魔のようだ。
夜がくるのをひどく恐れるようになってしまった息子のために、レスターは不眠、悪夢を取り除ける妙薬を探し求めた。
彼のもとには様々なものが届けられた。抱き枕、薬草、魔具、などなど。
しかし、どれも望むような効果はなく、ついに小さな少女が贈られてきたときには頭を抱えた。
--いったい、この娘をどう扱えばいいというのか
--旦那様、この娘は悪夢を取り除く力をもっています。あなたのご子息に、必ずや安眠をもたらすことでしょう。
少女を伴ってきた商人風の男の言葉に、レスターは、少し興味をもった。
--そんなことが、可能なのか?
--もちろんでございます。よろしければ、今夜試してみられてはいかがでしょう?
効果に納得いただければ、この娘を買い取っていただきたく存じます。
レスターは息子の就寝時に、見ず知らずの娘を伴わせることに多少戸迷ったが、ずいぶんやつれてしまった息子の姿を思い描き、物は試しだ、ダメでもともと。と決断した。
息子も、見知らぬ少女に緊張したようではあったが、この苦しみから逃れることができるならと了承した。
そして夜、息子の部屋に入った少女が20分もたたずに出てきて、お休みになりました、
と静かに告げたときには、レスターは心底仰天した。
部屋を見るとひどく久しぶりにみる穏やかな表情で、息子は寝入っている。
--どうやったのだ
扉を閉めてレスターは勢い込んで、少女にきいた。
--何も。
ひどく静かに、少女はつぶやく。
--ただ、手を握っていただけです。
翌朝、なんとも具合のよさそうな息子の様子をみて、レスターは娘を買い取ることに決めた。
男はキツネのような笑みをうかべて、お金を受け取ると、屋敷を去った。
その日から少女は息子専属の寝付かせ師として迎え入れられ、彼は悪夢を一切見なくなったようである。