エンドレス・ラブ
ありきたりで、古いセリフばっかです^^;
これは私の短編の原点…だと思われます。
あたしの、羽海って名前はね、あの人がずっと呼び続けてくれた大切なものなの。
今から話すことは、あたしの忘れられない思い出。
そぅ、絶対に忘れられない………
あの人との―――
「な、……ちょ、何すんの?痛いよ!」
あたしは思わず声をあげた。
自分の腕はぐいぐいひっぱられる。
相手は彼氏の慎。
付き合ってもう3年。
今まですっごぃうまく付き合ってたと思ってたのに。
何で?
何で急にこんなことになったの?
あたし何かしたっけ?
今日だって、いつも通りヮイヮイやってたはずなのに……。
痛くて、ひき離すこともできず、ただ連れてかれるまま。
だんだん山は深くなってくる。
足もつかまれた手も、少しずつ痛くなってきた。
やっと慎が立ち止まった。
ハァハァ………。
息をつかせながら、顔をあげた。
「…………。」
…そこにはかわいぃ、小さな教会があった。
慎は今度は優しく、
「羽海、ちょっとこっち来て。」
ぅん?
あたしは不思議に思いながら、慎の方に寄る。
「何?」
「俺ら、さ、付き合って3年じゃん?」
うん。
あたしはゆっくりうなずく。
でも、何?いきなり………
「俺も18になったじゃん?来年は大学行くし、会えない日も多くなるかと思って。」
そっか。あたしはまだ高校だけど、慎は大学生なんだ。
当たり前だけど、別々だもんね。
ちょっとさみしいゃ。
「で、その前にどーしても言っておきたいことがあるんだ。」
………も、もしかしてこの状況って……
慎はゆっくり話始めた。
少し照れくさそうに。
「実際な、俺、羽海と一緒じゃねーと、自分の生きる価値ってねーと思うんだ。前に俺、お前に言ったことあるよな。俺は捨てられてたんだって。事実として、俺には血縁がいない。いや、いるかもしれないが、会ったことすらない他人で……。このことで、すげー悩んだことだってある。けど、羽海はそんな俺を心から受け入れてくれた。
………ここな、俺が捨てられてたトコなんだ。誰が俺を生んでくれたのか知らない。けど、俺はここで、俺を今まで支えてくれた人、みんなに誓いたいと思う。」
そう言うと慎は一度、息をついた。
普段、けっこー無口な慎がこんなに話したのは、3年間付き合ってても初めてだ。
あたしは、自分の鼓動がものすごく早くなってることに気づいた。
「羽海、俺は、言葉では言いあらわせないほど、お前のことが好きだ。」
「慎………」
あつくなった目から、一筋の涙が伝う。
すごくうれしかった。
幸せをこれまでにないくらい感じた。
あたしたちは誓った。その教会の前で。
必ず二人で幸せになると。
光るお互いの左くすり指をそっと寄せて。
右手をギュっと、かたく握り締めて。
瞳を閉じ、あつく唇を重ねた。
閉じた瞳の向こうに未来のあたしたちが見えた。
温たかい家庭を持ち、幸せそうなあたしたちが。
慎にも同じものが見えたと思う。
あたしも誓おう。
あたしを支えてくれた人に。
慎を支えてくれた人に。
また、これから出会い、支えあっていく人に。
自分に。慎に。未来の子どもたちに。
「羽海、俺のすべてをかけて、お前を愛し、幸せにするからな。」
――ありがとう
あたしも、すべてをかけて、慎を愛しぬくよ―――
あたしたちの愛は教会で誓いあった、“エンドレス ラブ”だから………
これがね、あたしとあの人の出発点。
あの人は、今はこの世にもういない人だけど。
あたしの心の中にずっと生きている。
あたしたちの誓いは、まだ続いているのよ。
まだ、終わってない。
あたしがこの世を去った時、あたしたちはまた、天国でこの誓いを守るわ。
だってあたしたちの愛は“エンドレス ラブ”なんだもの。
あたしは本当に幸せよ。
だって、こんなにかわいぃ子どもと孫がいるんだもの。
あの時見えた、未来のようにね。
最期にこの教会に来れて、夢のよう。
ありがとうね。
あたしの大切な宝物たち。
ずっと愛してるわ。
あの人と同じくらい。
そう言って、おばあちゃんは静かに目を閉じた。
幸せそうな笑を浮かべて。
あたしもいつか、おばあちゃんのように、“エンドレス ラブ”を誓い、つらぬきたいな。
愛するあの人と…………