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最初の授業はランニング




さて、ここまで色々あったがついにこの学園の初授業である


どうやら一時間目は能力の訓練のようで、結局また体育館に行くこととなった


移動している最中周りを見ていると、高校生の年齢とは思えないような人が結構いる。


何故ならここに来る人達は全員中学を卒業している実質高校生だ。だがこの学校は普通じゃないため実は卒業という概念はあるにはあるが普通とは少し違うものだ


どういうことかと言うと、能力者には普通の居場所が無い。能力を隠して生きていかない限り普通に生きる事は叶わない


能力者は貴重だから そしてそれは国の力に直結しているから。社会に出ていったところでそこの会社に都合よく扱われて終わりだ。

折角能力があるんだから反抗すればいいだろうと思われがちだが、彼らはまだ子供だ。人を脅し、歯向かう事には余りにも慣れていない


そのような事態を防ぐためにこの学園は存在しているとも言える

つまり、この学園に能力者の居場所を作っているという訳だ ほとんどの人がここで学び、政府からの要請が来たら働き報酬を貰う


まるで能力者の檻だなど思われるかもしれないが、別に此処から出る事は出来る。と言うか普通の人間みたいにそこら辺を歩いたり遠いところへ旅をしに行ったりもしていい


ようするに学園は能力者を制御するための檻では無い。“家“なのだ 帰る場所であり、普通じゃない自分が普通でいられる場所なのだ


まぁ俺は願いが叶ったら別に此処に残る理由もないが。


「どうしたんだよ?顔色悪いぜ?」と辰真が言ってくる


「あぁ…大丈夫だ」

能力が無い自分。有るのは何故か持っていた特殊体質。学生の中での最高位には全く届かないような心許ないものしかない


「大丈夫ですよ武戦。私が強いと思ったんだからあなたは強いです」

シェイルも俺の不安を取り除いてくれる。優しいな



そして目的地へとついた


「各クラスの実践での訓練は担当の先生がやってもらうこととなっている。つまり俺がやると言うことだ」

と言ったのは天玻璃凍夜先生だ


「当然訓練なのだから怪我をするかもしれない。けどうちの学園には優秀な医者がいるからな。心配しなくていい」


先生のランクは不明だ。このランクバッジを身につける義務も、この学園の生徒カリキュラムを終えれば無くなる

自分のランクに自信がある人は終わった後も着けている時がある


じゃあランクを隠している先生は弱いのか?


分からないが、この授業で明らかになるかもしれない


「最初は体の基礎固めだ。能力者学校だからと言って元となる身体が弱いんじゃ話にならない」


「故に各自準備体操をしろ。終わったら五キロメートル走 勿論能力の使用は禁止だ」


俺はその説明に案外ちゃんとしているんだなと素直に思った。能力に溺れるのを防ぐために体を強めておく。めちゃくちゃ合理的だ


「シェイルと辰真は大丈夫そう?」


「俺は…………ちょっと不安だな。今まで斧の練習ばっかりであんまり持久力は鍛えてないんだ」


「私は余裕です。完膚なきまでに圧勝します」


シェイルはまぁ心配するまでも無いな 辰真も別に平気だと思うが

実の所自分が体力があるのかはあまり分からない。試した記憶がない



そして、少し時間が経ち走る時間となった


「じゃあもうすぐ始めるよ。途中で限界だと俺が判断したら直ぐに助けに行くから心配しないでくれ」


「ではスターーート!!」


全員が一斉に走り出す。だが時間が経つにつれ徐々に全員が離れていく


このコースは一周約2.5キロでこれを二周走り抜ければいいと言う事だ

ちなみに俺とシェイルはまだ最前列で粘っている。辰真は俺たちより少し後ろの場所にいて何とかキープしているようだ



最前列には俺たち以外に男女一人ずついる


「おいEランク、そんなに飛ばして大丈夫なのか?」と走っている最中隣の男から話しかけられた


「大丈夫だよ。まだ行けるね」と当たり障りのないように返しておく


確かこの人は紅蓮剛士(ぐれんごうし)……だっただろうか 二番目に自己紹介をしていて試験にも立候補していた気がする。


「貴方達よくこんなスピードで走っているのにしゃべれるわね!」

と言っているのは同じく最前列で走っているもう一人の女子。ニーナ・グレイシスだ


確かに俺たちはかなりのスピードで走り続けている。後ろを一瞬見ていても、後続は近くにはいないようだ。


「Eランク、持久走は後からキツくなるんだぞ。俺たちのペースに合わせずEランクらしくゆっくり行けよ」


俺に対してのEランクとランクとしてのEランクを混ぜるとややこしいな


「心配してくれてありがとう。でも大丈夫 まだまだ行けるよ!」


「はあぁあ!?別に心配なんかしてねえよ!」


ツッコミのような返事が来るも、変わらず俺たちは加速をし続ける




そして三キロ走った時点で………シェイルに変化が起きた



「………やはりこの程度のスピードでは準備運動にもならないので私はもう抜けさせて貰います」


「シェイルさん?抜けるとはどう言う意味なんですか………?」


「言葉通りの意味です」


俺はやっぱりこうなったかと心の中で呟く

シェイルは入学試験で俺との戦闘時、どう見ても今走っている速度より何倍も速かった。一瞬で遠くから間合いを詰められたり背後を取られたりだった。

その速さが能力のおかげだと言われればそこで終わりかもしれない。でも実際に戦った俺にはそれが能力のおかげではないと思った

あの時点でもシェイルは俺に手加減をしていたのかもしれない。その時のスピードが本気でないのだとしたら……………今までランニングしているスピードなんて彼女の言葉通り準備運動にもならないだろう



そして彼女は言った










「残りの二キロを十秒で走り抜けます。」








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