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孤独の女王  作者: 冬原光


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40 決着の時

葬儀が終わり、大広間に集まる。

次の王の継承式を間髪入れずに行うことになっていた。葬儀と平行して城に残った使用人達が、広間を整えている予定だった。


葬儀の後に、王の戴冠という華やかな場を設けることに、セラフィーナはこの国の特有の歴史を感じた。

他国は葬儀の期間を長く設けるものばかりだが、ヘルサでは早くに王の権威を移管することで、争いの種を避けてきたのだ。

最も尊い血が流れる者にだけ敬意を払う。

ある意味分かりやすく、そして冷血でもあると言える。


セラフィーナはルネより先に入場と言われていた。

今日の主役は王となるルネだ。だから、王太子妃は先に入場して待っているということだった。

けれど、それもどこまで本当かはわからない。

実際に過去の行事の進行資料を見ても同じ事をしていたようだが、今回は別の意図がありそうだ。



先程の葬儀のことを考えれば、当然とも言える。


そして、それは的中した。


セラフィーナが踏み入れると、そこには華やかなドレスを着た貴族達がいた。

一方、セラフィーナは喪服のままだ。


広間は喪服で集まり、厳かに戴冠式が行われる。

進行の資料にはそのように書かれていたし、使用人達の案内もそうだった。


つまり、自分だけが喪服を着て華やかな場に来ることで、辱められているのだ。


葬儀が決まってから、セラフィーナの周りの使用人全員が別の者に変わった。

以前セラフィーナを慕ってくれた者達は葬儀の準備にかり出され、代わりに長く王城に勤めている者達が配備された。

彼らはセラフィーナによる使用人の入れ替え時に生き残った者達で、ルネへの忠誠は厚い。

だが、仕事の質に文句は無かった。本来であれば、セラフィーナに黙って使用人の配置を変えることは受け入れるべきではないが、王の崩御という国の大事な時のため彼女は目をつぶった。



彼らから渡された進行の資料にだまされたのだ。


セラフィーナは小さく笑った。


……どうやら、今日で決着を付けようと思っているのは向こうも同じようだ。


喪服を着て入場するセラフィーナを見て、貴族達は目を見開く者や、クスクスと笑う者、憐憫の視線を送る者など様々だった。


そして、何人かがセラフィーナが手に何かを持っている事に気がついた。

豪華な意匠で縁取られた一冊の本。まるでアクセサリーのようだったので、初めはハンドバックかと思ったが、高貴な者がそのような者は持たないし、国の行事なら尚更だ。


この華やかな場で、一点の黒。その彼女が持っている、一冊の本。


今日はただ、彼女が破滅するだけでは終わらないのではないか?


幾人かの貴族は身を引き締めた。

このヘルサという国が大きく変わる。さて、誰がどう破滅するのだろうか?


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