ランチタイム
「…………なぜこいつらもいる?」
ジロリと冷たい視線をボクの友達に向けるお兄様。
「えっと、リオくん……は知ってますよね?シス様の弟です。
それと、こっちはティムくん。モーリス伯爵家の長男で、妹さんがふたりもいるのですって!
ふたりともボクのお友達なのです。お兄様にご紹介したいなって」
いつものランチタイム。
入学してからは、学食でお兄様とアイク様たちとご一緒させて頂いていたのですが、今日はお友達を紹介しようと一緒に来て貰ったのです。
ボクにもお友達ができましたよ、ってお兄様に伝えたくて。
飛び級したボクがクラスメートに受け入れて貰えるか、一番心配して下さっていたのはお兄様ですから。
安心して欲しかったのもありますが、「よくやったな」って褒めて貰えるかな、なんていう期待もあったりして。
なのに……
何故かとっても不機嫌になってしまわれました。
「あ、あの!
殿下、ジルべスター様、イクシス様、ウエイン様、改めてご挨拶させて頂きます。モーリス伯爵家が嫡男、ティモシーと申します。クリストファーくんとは同じクラスで仲良くさせて頂いております」
「………うむ。私のクリスをよろしく頼む」
「皆さまお久しぶりです、エリオスです。
アイク様、兄上がいつもお世話になっております。ウエイン様も相変わらずお元気そうでなによりです。ジルベスター様、何度会いたいとお願いしてもご紹介いただけませんでしたが、ようやく念願かなって弟君と友人になることができました。兄上から聞いておりました通り、とても可愛らしい!
クリスと同じクラスになれたことを心から嬉しく思っております!」
「君のようなタイプは私のクリスとは合わないのではないかと判断したまで。クリスに話しかけるなと言ってあったはずだが?」
お兄様⁈なぜそのようなことを?!
リオは確かに癖がありますが、悪い子ではありませんよ⁈
あからさまな拒絶もどこ吹く風のリオ。
「クラスメートなのに?それはいくらなんでも狭量なのでは?クリスに好感を持たずにいられる訳がないでしょう?勿論仲良くさせていただきますよ?だってこんなに可愛いのですから!
ご安心ください。公爵家の宝は私がしっかりとお守り致しますので」
にこっと笑顔で返す余裕まである。
リオの神経ってどうなってるの?ボクがお兄様にあんなこと言われたら、瀕死ですよ?!
あわあわしていると、お兄様の視線がリオとボクの繋いだ手に。
「エリオス君は同級生と手を繋いで歩く趣味でもあるのか?」
!そうでした!いつの間にか今日も繋がれてしまっておりました!
「お、お兄様、これはその……ボクが迷子にならないようにって……」
「クリス?嫌なことは嫌だと言っていいのだぞ?
私意外と手を繋ぐなど、不快だろう?
迷子になるのが心配なら私が校内を案内してやろう。さあ、こちらにおいで?」
笑顔で手を差し出されたボクは、無意識にリオの手を離してふらふらっとお兄様の手をとった。
「ふふ。クリスは私がよいようだな?」
そのままグイっと引き寄せられ、キュッと抱き締められるボク。
「さあ、クリス。ここに座るといい。何が食べたい?私がとってきてあげよう」
ストンとお兄様の横に座らされてしまいました。
ええー?せっかくお友達をつれてきたのに……
「あの、お兄様の横に座りたいのはやまやまなのですが、お友達がいるので向かい側に……
「クリス、せっかく言ってくださっているのだから、ジルベスター様に横に座るといい。
僕たちは向かいに座るから。ね?」
空気を読んだティムがスッと向かいの席に座る。
「ほら、リオ。君もここでいいよね?」
「……そうだね。なら私はクリスの向かいにしよう」
ボクの向かいの席に腰かけたリオがニコッとボクにほほ笑んだ。
「クリス、私がとってきてあげるよ。兄上とはいえ、最上級生を遣いにやるというのは申し訳ないだろう?
何がいい?」
「じゃあ、あの、桃のパンケーキと紅茶でお願いしてもいいですか?」
するとガタンとシス様が立ち上がった。
「ジ、ジル!ジルの分は私が持ってこよう!
ステーキセットでいいだろう?クリスと一緒にここで待っていてくれ!
行くぞ、エリオス!」
「えー……!まあ、いいですけどね。行きましょう、兄上」
慌てたようにシス様がお兄様に問いかけました。
シス様の所も兄弟仲が良いようです。
「じゃあ、殿下の分は俺が。ジルと同じでいいですか?」
「ああ。……いや、ウェイン、私も行こう。たまには自分で、な?
ジル、クリス君と一緒に待っていてくれ。二人でゆっくり話でもしているといい。
クリスも、ね?」
「ああ。その方がよさそうだ」




