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キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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この世界のお約束

あわあわするボクとケイオスくんに、お兄さまは「大丈夫だ」の一点張り。


「少し暑かっただけだから。さあ、行こう。みなが待っている」


ボクの手を引いて歩き出します。

慌てて「ケイオスくん!」とケイオスくんに手を伸ばせば、ピタリと足を止めたお兄さまが


「ケイオスも手をつなぐのなら私と繋ぐように」


と仰ってくださいました。お優しい!

お兄さまを真ん中にみんなで手を繋いで歩きます。


「えへへへ!なんだか楽しいですね?」


にこにことケイオスくんを覗き込めば、どこか強張った表情。


「そうか……?」

「楽しいだろう?ケイオス」

「そ、そうだなっ!楽しい!」


お兄さまがケイオスくんに話しかけたら、がっくんがっくんと力強く頷いてくれました。

ケイオスくんもすっかりお兄さまのファンになったみたい。

手を繋いでもらえてよかったね、ケイオスくん!




お庭では三人組がニヤニヤ……もとい、にこにことほほ笑みながら待っていてくれました。


「来たか。なかなか来ないからどうしたのかと思ったぞ?」

「ジル、二人と手を繋いであげているの?優しいお兄さんをしているみたいだね。ケイオス、だったかな?すっかり懐いているじゃないか」

「ああ。さっきとは態度も大違いだな!」


!気付いてくださいましたか!そうなのです!

ボクは大喜びで皆さんに教えてあげた。


「えへへ!いいでしょう!ケイオスくんもすっかりお兄さまのファンになったみたいなのです。

分かります!お兄さまは素晴らしいお兄さまですからね!」

「い、いや、俺はクリスと繋ぐほうが……」

「二人はまだ小さいからね。年長者である私が責任者としてしっかりとみていてやらないと」


ぎゅむっとケイオスくんの手を繋ぎ直すお兄さま。さすがです。年長者としての矜持をしっかりと持っていらっしゃる!

ボクもあまり面倒をかけないように頑張らねば!


「あの、俺は別に繋がなくても……」

「良かったですね、ケイオスくん!ケイオスくんはお兄さまがいないのですよね?今日だけはボクとお兄さまを兄だと思ってください!」

「ジルベスターはともかく、クリスは同じ歳だろ…

「私のクリスは君よりしっかりしているからね。きっと兄のように君の面倒を見てくれるぞ?」

「……ありがとう、そうさせてもらう」


仲良しなふたりを微笑ましく思いながら、お待たせした皆さまに謝罪。


「すみません、皆さまお待たせいたしました!えと。お庭の向こうに噴水があるのです。そこで遊びましょう!」

「?遊ぶ?噴水で何をするのですか?」

「その噴水はそんなに深くないのです!みんなでバシャバシャしたら楽しそうだなって!」


今日は少し気温も高いし、さっきお兄さまものぼせていらしたからちょうどいいと思うのです。

念のためもう一言付け加えた。


「ブリードさんもお気に入りの噴水なんですよ?

いつもお水につけて遊ばせてあげるのですが、とっても気持ちよさそうなので!

ボクたちも足をつけて遊ぶくらいならできるかなって!」

「足をつける………」


みんなの視線が一斉にボクの足に向けられた。

ちょっと赤くなるケイオスくんとアイクさまたち。

何故かガードするようにボクを背に隠すお兄さま。


「お、お兄さま?皆さんのお顔が見えませんっ」


ぴょんぴょんとジャンプしてお顔を出そうとするとひょいっと抱き上げられてしまいました。


「お兄さま?」

「クリス。少しお兄さまとお話しよう。皆そこで待っていてもらえるか?ケイオスも」


「ええ?!……は、はいっ!待っております!」

「……分かった。あまり無体はしないようにな」

「うん。優しくね?」

「えー?何が悪いんだ?」


「えええ?ボクなにか悪いことをしましたか?」

「いや。まだ教えていなかったからね。私の失態だ」




ボクはそのまま有無を言わさず少し離れた場所に連行されてしまったのでした。


木の影に置かれたベンチにボクごと腰かけたお兄さまは、ボクを横抱きにお膝に乗せ、困ったようなお顔で話始めた。


「……クリスは、この国での婚姻や婚約について説明を受けたことはあるか?」

「?ありますよ?えっと、お家のためにする政略的な婚約と、大好き同士でする婚約とがあります」

「……うむ。そうだな。それもそうなのだが……同性でも婚姻可能だということは知っているか?」


ええ?いきなりどうしてそんなお話になったの?!

ボクは困惑しながら首をかしげた。


「ええ。だってお兄さまはアイクさまの婚約者なのでしょう?」


いくらボクでもそれくらいは知っておりますが……。


「そうだな。だから、というか、高位の貴族は人前では同性異性関わらず、あまり素肌を見せることはないのだ。

特に足は普段は靴を履いているプライベートな部分だからな。一般的に………………家族か兄弟でしか見せない」

「そうなのですか?!ボク領地ではたまに裸足で芝生の上を歩いたりしていました!

ひゃあ!どうしましょう!」


言葉を濁しているお兄さまの様子だと、けっこうハレンチなことなのでしょうか?!


「うむ。幼子ならば問題ない。

だが、クリスは今日お披露目をしただろう?これで婚約可能となった。

だからこれからは私以外の人に素足を見せてはいけないのだ。……理解したか?」

「は、はい!理解しました!お兄さまにしか見せません!

はっ!ということは、水遊びなんて……」

「そういうことだ。

ブリードさんを遊ばせるだけにしておこう。いいか?」

「はい。そう致します!

……ボク、みなさんを驚かせてしまったでしょうか?」


まさか家族以外の前で足を出すのがマナー違反だなんて!

そんなのゲームの設定には書いていなかったんだもの。

「ご令嬢じゃないんだし、問題ない」っていう感覚だったんだけど、違うんですね。


しょんぼりと項垂れたボクの頭をお兄さまがなでなで。


「今日お披露目したばかりなのだ。大丈夫。これから気を付ければよいのだ。

さあ、では皆の所に戻ろうか」

「はい。教えてくださってありがとうございます、お兄さま!」

「うむ!」





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