対決!アイウ!
まずはアイク王子とお父様、お母さまのご挨拶です。
「公爵、ご子息の5歳のお披露目、おめでとうございます。
それと、素晴らしいご家族に恵まれたことにも祝いを述べさせてください」
「ありがとうございます、殿下」
さらりと流し、すぐにお母さまとのご挨拶に。一応義母(予定)だから興味深々?
「クリスティーナ様、こうしてお目にかかれたこと嬉しく思います。アイクリッド・セイファーです。お会いできるのを楽しみにしておりました。
将来の義理の息子、義理の兄となるのです、ぜひお二人にご挨拶をと願っておりましたが、ジルに紹介を渋られましてね。残念ながら私の力不足ゆえいまだにジルに心を許して貰えないようです。
こういった事情ゆえ、ご挨拶が遅れましたこと、お許しください。
どうか、私のことはアイクと。未来の私の義母上なのですから、楽にお話しください」
お母さまに向かって親しみを込めた笑顔を浮かべながらも、お兄さまをチクリを刺すのを忘れないアイク王子。
これについてはアイク王子に分がありますね。新しい母や弟ができたら、普通はすぐに婚約者にも顔合わせしますもの。
でもお母さまは少しも動揺を見せずコロコロと笑って見せた。
「お気遣い頂きありがとうございます。アイク殿下。
こちらこそご挨拶に伺うべきでしたのに、申し訳ございません。
改めてご挨拶いたします。クリスティーナと申します。
こんな顔でよろしければ存分にご覧くださいな。
そのかわり、私の顔に免じて、どうか息子のご無礼をお許しくださいませ。
夫も息子も、私とクリスが公爵家に慣れるまではと気を遣ってくれたのでしょう。お二人ともとてもお優しくていらっしゃるから……。
息子が殿下に心を許していないわけではございませんわ。ご存じでしょうが、息子はとてもシャイなのです。気持ちを外に出すことが苦手なだけなのです」
お母さまの言葉を聞いたアイク王子がクスっと笑う。
「シャイ、ですか。うん、そうともいうのかな?確かにジルは気持ちを外に出すのが苦手ですね。
でも、今日のジルは違うようですよ?クリストファーくんのお陰かな?」
そう言うと、ふっと視線をボクに向け、一気に距離を詰めてきました。
「やあ、君がクリストファーくんだね。はじめまして。
君のお兄さんの婚約者、アイクリッドだ。アイクと呼んでくれ」
「お初にお目にかかります。お兄さまがお世話になっております。クリストファーと申します。
ボクのことはクリスとお呼びください」
胸に手を当て略式の礼。一つ、二つ、三つ数えて顔をあげたら、なんとまだアイク王子がじいっとボクを見つめていた。
びっくりして思わず「ほわあ!」と声を出してしまうボク。
「アイク。クリスを驚かさないでくれ」
お兄さまがスッとボクとアイク王子の間に割って入り、ボクをその背に隠してくださいました。
「あはは!ごめんごめん」
謝罪を口にしたのにもかかわらず、今度はお兄さまの横からボクを覗き込んでくるアイク王子。
「クリス?私のことも兄だとおもって仲良くしてほしいな?」
仲良く!願ってもございません!仲良くなってアイク王子も「お兄さま教」に入信していただくつもりですので!
「は、はい!えと、仲良くしてください!」
握手しようと手を出しかけたら、その手をお兄さまにきゅっと握られ、とてもいい笑顔で「ダメだよ?」と言われてしまいました。
「え?えと、ご挨拶の握手をと思ったのですが、不敬でしたでしょうか?」
「クリスに悪いところな全くない。だが、必要ない」
ボクの手を握ったまま、にっこり微笑むお兄さま。
「あー……。そういう……。ジル、君ってそういう感じだったんだな。
にしても狭量すぎないか?私はこれでも今はまだ君の婚約者だぞ?」
アイク王子が呆れたお顔をしていらっしゃいます。
えっと……重ね重ね、お兄さまがすみません。
それにしても、「今はまだ」って言いましたか?
お兄さまの仰ったように、お互いに「婚約解消予定」で協力体制にあると思ってよろしいのでしょうか?
であれば、円満に婚約解消できますよね?
「断罪ルート」ではなく、「お友達でいましょうルート」でなんとかなりそうですね!




