ついにボクのデビューです
さて。素晴らしいみんなの装いについてお話してまいりましたが。
そう、本日は「家族のお披露目」である前に口実としての「クリスの五歳のお披露目」!
というわけで、恥ずかしながら、主役となるボクの衣装はとても素晴らしいものなのだ。
ベースとなるのは水色。ボクの瞳の色よりも少しだけ淡く柔らかな水色です。
白のふんわりとしたシャツの上に、水色のダブルボタンの長めのウエストコートをきっちりとベルトで留めている。
上に羽織るのは上着ではなくマント!これまた水色なんだけれど、裏地はお兄さまとお父さまの髪のお色。光沢のあるホワイトシルバーで、ボクが動くたびにキラキラと輝く。しかも肩にはきらびやかな金の肩章付きなの!カッコいい!
襟元に結んだおリボンは濃紺。髪のおリボンと同じ、お兄さまの瞳の色です。ちょっと緊張しているから、お兄さまから力を分けて頂けるような気がして嬉しい。
髪は前から見ると普通なのだけれど、サイドを編み上げて後ろでリボンで留めております。
マーシャ曰く「可愛らしいお顔の周りをふわふわとした金の髪が彩り、とてもお可愛らしいですよ!少し角度を変えるとまた違った趣があるように、サイドは編み込んでおきましょうね。おくれ毛を出すことでふわふわ感マシマシです!」らしい。よく分からないけれど、マーシャがいうのでそうなのです。
お兄さまやセルお父さまはカッコいいのに、ボクだけなんだか可愛い仕様。色合いなのかな?なんだか全体的に小さな王子様のような装い。
今日は朝からみんなに「お可愛らしいですよ!」「まあまあ、小さな天使ですね」と褒められまくりました。
褒めてくださるのは嬉しいのだけれど、実はちょっとだけ不満。
だってボク「カッコいい」が良かったのだ。
お兄さまもお父さまもとてもカッコいいのだもの。ボクだってカッコいいがよいの。
でもお兄さまもお父さまも満足気。
「私の天使はとても可愛いな。いつも可愛いのだけれど、今日は特に可愛い。皆に見せるのが惜しいくらいだ。しかし、皆に私のクリスの可愛さを知ってもらいたい気持ちもある。悩ましい」
「うむ。とても可愛いぞ、クリス。誰が見ても可愛いと思うだろう。我が家の宝だからな。
しかし、皆に見せるのが惜しいというジルの気持ちも分かる。こんなに可愛いのだ、婚約者にと望むものも多いだろう。
クリス、安心しなさい。父はクリスの望まぬことを強いるつもりはないのだからな?
ジルベスター、今日はお前がしっかりとクリスを護るのだぞ?クリスはまだ幼い。おかしな輩は近づけぬように」
「無論です!叔父上も有象無象の輩もクリスに触れさせはいたしません。
さすがに殿下に紹介せぬ訳にはまいりませんが……最低限でよいでしょう。気に入られすぎても困りますから」
「うむ…確かに。
クリス、ジルにしっかりと貼り付いているのだぞ?
万が一逸れたら、知らない人が話しかけても黙っていなさい。何も言わずに微笑んでいればよい。すぐにジルが駆け付けるから。よいか?
勿論ついていくのもダメだ。無理に連れていかれそうになったら大声を出しなさい。
家のもの以外からは、おやつや飲み物も受け取らないようにするのだぞ?」
「はい!知らない人についていかない、食べ物ももらわない、ですね!分かりました!大丈夫です!」
「人のいない場所には近寄らないようにするのだぞ?
私が付いているが、万が一ということもある。
どうしてもという時には大人の女性に声をかけるのだ。男性はダメだ。必ず女性に。いいか?」
「はい!女の方ですね?分かりました!」
ふたりの心配は延々と続いた。
なんと呆れたお母さまが
「いいかげんになさいな。二人とも。
使用人もマーシャや護衛も目を光らせているのよ?大丈夫よ」
と言ってくれるまで続いたのでした。
ちなみにブリードさんですが、小さくなってボクのポケットに。
大きくなるのは魔力消費がかさむのでしたくないそうですが、小さくなる分には簡単なのだそうです。
なにそれチート!
ブリードさんは、親指くらいの大きさになって、ボクの胸ポケットに入ってくれた。
「いざというときには魔法でなんとかしてやろう。結界で弾くくらいのことは簡単にできるぞ?」
そう言って胸を張るブリードさんに、お父さまもお兄さまもお母様も、ブリードさんの正体を知るみんなが力強く頭を下げる。
「お願いしますね、ブリード様!」
「あとでなんでも好きなものを作らせよう。甘味も沢山用意させて頂きますゆえ、クリスを頼みます」
こんなことを言ったら怒られそなのだけれど、小さなトカゲさん(にしかみえないミニブリードさん)の前で大人が真面目な顔で頭を下げているのはちょっとシュールだな、と思ってしまったのでした。




