言われてみれば当時のお兄さまはボクと同じ年齢だったのですね
あけましておめでとうございます。
ご拝読頂きました方、間が空いてしまい申し訳ございません。
更新再開いたします~~。
そうか!
お兄さまがご婚約されたのは、今のボクと同じ年齢。
うーん。確かに「婚約」とか「結婚」とか言われてもピンときません。
いつかは、とは思うのですが、その「いつか」が遠すぎてあまりにも漠然としすぎている。
「そんなことよりお兄さまの方が大事」というのがボクの正直なきもち。
なのでそうお兄さまに申し上げれば、お兄さまが急に狼狽え、ボクの目を隠した。
「お、お兄さま?手を放してくださいませっ!どうされたのですか?
はっ!なにかボク、お兄さまがご不快になるようなことをしたのでしょうか?
ごめんなさいっ!何がいけなかったのか教えてください!これからはしませんのでっ!」
「い、いや、あの、いけなかったのではなくその逆というか……。
と、とにかく、クリスは悪くない。むしろとても可愛らしいし、いい。
私の側の問題なのだ。
今の私の顔は見せられたものではないから、少しだけ待ってくれ」
ええー?
「……よく分かりませんが、ボクが何か悪いことをしたわけではないのですね?」
「うむ。それだけは断言しよう。クリスはいつも可愛い。良い子だ」
「では、待ちます。よくなったら『いいよ』って言ってくださいね?」
お兄さまの両手に目を塞がれたまま、そっと目を閉じてお兄さまにもたれかかる。
お兄さまもアイクさまも「お互いに婚約解消をめざす」方向性で合意しているようなのですが、ボク、それを聞くまで、弟として失格なことを考えてしまったのです。
ボク、お兄さまがおっしゃるような良い子ではないのです。
ボクの目を塞ぐお兄さまの手を指先で辿りながら、ボクは勇気を振り絞って口を開いた。
「えと。これは独り言なのでそのまま聞いていてくださいね?
こんなことを言ってはダメなのかもしれませんが、お兄さまがアイクさまをお好きでなくてよかったです。
ちょっと推しが成長したくらいで『違う』というような気持ちなら、本当の好きではありませんから。
お兄さまがアイクさまのことをお好きならお好きだったで、ボクきっとやきもちを妬いてしまったと思います。ボクとしてはアイクさまのような軽い『好き』では大切なお兄さまをあげられません!
お兄さまの『好き』の邪魔をしてしまったかもしれません。
狭量な弟でごめんなさい」
しょんぼりと謝罪すると、後ろのお兄さまから「ぐうっ」っと変な音が聞こえた。
そして、目を塞いでいたお兄さま手がそのままボクの頭をお兄さまの胸にぎゅっと押し付けた。
「お兄さま?ボクが良い子じゃなくてガッカリしましたか?怒ってしまわれましたか?」
痛む胸を必死で宥めて問いかければ、即座に強く否定された。
「いや!そんなことはない!」
目を塞いでいた手を放し、そっと身体の向きを向き合う形に変えられる。
恐る恐るお兄さまのお顔を窺えば…あ、お兄さまのお顔、真っ赤!
お兄さまは少ししゃがんでボクと目線を合わせ、震える声で言ってくださった。
「………嬉しい。とても」
「お兄さまの好きな人にやきもちを妬いてしまうような弟でもよいのですか?
ボク、お兄さまに優しくしていただいて、毎日とても幸せで。
ボクよりももっとお兄さまを大好きな人にしかお兄さまをあげたくないんです。ごめんなさい。
もっと大きくなったら、ちゃんとできると思います!
お兄さまに好きな人ができたら……やっぱりちょっと寂しいと思いますが、頑張って応援します!
でも、今はまだボクだけのお兄さまでいて欲しいと思ってしまうんです……」
お兄さまの指がそっとボクの目元を撫でる。
「……泣かないでくれ、クリス。クリスに泣かれると私はどうしていいのか分からなくなってしまう」
え?ボク、泣いてた?!
なんてこと!は、恥ずかしいっ!
「え、えと。こ、これは勝手に出ただけなので大丈夫ですっ」
「そうか。勝手に出ただけなのだな?」
「はい!そうなのです!寂しくなってしまったからではありませんからっ!」
「ふふふ。うん。分かった。
クリス、私もクリスに私以外に想う相手が出来たら冷静ではいられない。寂しいし、嫉妬もするだろう。
私もクリスと同じだな?私は悪い兄だろうか?」
「?!いいえ!お兄さまは最高のお兄さまです!悪くありません!
それに、ボクは嬉しいです!だってそれってボクを大好きだということですよね?」
「そうだ。つまり、私たちはお互いに大好きなのだということだ。クリスは私に失望したか?」
「ありえません!」
「うむ。だから私がクリスに失望するなどあり得ない。理解してくれたか?」
はい、という代わりに「お兄さま、大好きです!」とぎゅうっと抱き着いた。
ああ、ボクの推しはなんてお優しいのでしょう!
ふがいないボクなのに、こんなに大切にしてくださるなんて!
お互いに抱きしめ合って兄弟愛を深めていれば、パンパンパンと手を叩く音。
「はいはいはい!もうそこらへんでよろしいですかあー?
なにやら殿下に関して不穏な言葉が聞こえた気がいたしますが、私はもう全部忘れましたのでー!!
仲が良くてなによりですが、一応私がいることも思い出してくださいねー!
やってらんないなあ、もう!!」
そ、そうでした!今日はセルシオさんの担当だったのです!
アイク殿下とのあれやこれやは、一応まだ秘密なのでは?外に漏れたら不敬になってしまいます!
「まあまあセルシオさん、落ち着いて。お二人が幸せならばよいではございませんか?」
「マーシャさんは甘すぎますよ。この人たち、どんどん酷くなっていますよ?くそ、羨ましい!」
「私情を挟まないようになさいな」
お兄さまが低い声でセルシオに言う。
「…………セルシオ、ウルガの配置換えを考えているのだが、どう思う?」
笑っているけど、目が座りきっております。これ、本気です!
空気読むセルシオさんはシュバッと態度を改めた。
「申し訳ございません!出過ぎたことを申しました!
クリス様はお可愛らしいし素晴らしい弟様ですよね!お気持ちはよくわかります!仲がよろしくて何よりです!」
「うむ。分かればよい。このことは他言無用で頼む」
「御意!」
人質ならぬウルガさん質?
なんというか……セルシオさんって、本人の言う通り一途なのかもしれません。
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