何かある!
「ありがとう、マーシャ!」
マーシャからパンを受け取り、小さくちぎってぱらぱらと池に撒いた。
すると、さっきボクの手をツンツンした子が、すいっと寄ってきて嬉しそうにパンを啄む。
「ふふふ。食べてます!
お兄さま、マーシャ!パン、食べてます!
このこ、さっきボクの指をツンツンしていたので、お腹空いているのかなと思ったのですが、やっぱり空いていたんですね。とっても嬉しそう。
あ!他の子たちも来ました!うふふふふ」
せっかくなのでマーシャとお兄さまにもパンを渡す。
「パラパラってしてみてください!」
「ふふ。……こうか?」
お兄さまが撒いたところに、ちょっと離れたところから少し大きなお魚がやってきて一口でパクリ!
「あはは!お兄さまのところに、お兄さんのお魚さんが来ましたね!」
「クリスさま!私の所にはなにか違うものがやってきました。……何でしょうこれは?」
困惑顔のマーシャの手元を覗き込めば……
「……と、とかげさん?」
え?なにこのこ。お魚さんに足が生えてる?
大きさは10センチほど。綺麗な水色のお魚さんみたいなのに、身体の両横に小さな手足が生えているの。
なんだかとってもユーモラス。
ゆっくりと小さな舌を伸ばして、ぱくん、もぐもぐもぐ。
そうして「もっとちょうだ?」とでも言うように、つぶらな瞳でボクたちをじいっと見つめる。
きゅん!
か、かわいい!めっちゃんこかわゆいですうう!!
触れてみたくって手を伸ばせば、横からお兄さまに慌てて止められた。
「クリス?何をするつもりだ?」
「え?撫でてみようかと」
「やめなさい。見たところ、水トカゲか何かではないか?水トカゲは肉食だ。噛まれでもしたらどうするのだ?」
真剣な表情でふるふると首を振るお兄さま。
「ええー?見てください。こんなに小さくてかわいいのですよ?パンも食べましたし。大丈夫ですよ」
「いや、クリスの小さな手はとても柔らかい。間違えて噛んでしまうかもしれないではないか。
どうしてもというのならば、先に私が触れてみよう。クリスはそれからだ」
ええー?
お兄さまはボクとマーシャが見守る横でそおっと指をトカゲさんに近づけた。
するとトカゲさんがそれに気づき、ゆっくりと近寄る。
よちよちよち。
うひゃああ!歩き方もかわいいっ!
そして………
すりすりっ
お兄さまの指にお顔をすりすりしてるっ!!
余りの可愛さにボクとマーシャの目はハートになった。胸の前で手を組み、声にならない歓声をあげる。
(きゃあああああん!かんわゆうううういっ!!)
これにはお兄さまもたまらない。緊張していた頬をゆるめ、おもわず「ぐうっ」と変な声を出した。
ほおら、噛んだりしないでしょう?めっちゃんこかわいいですよねえ?
「く、クリスと似ているな?」
ボク?え?ボクですか?ボクって水トカゲ顔なの?!
思わずマーシャを見ると、横でマーシャがふるふると首を横に振る。
だよねえ?
「この邪気のない瞳、かわいらしい仕草。まるでクリスのようだ」
そ、そうですか?




