出発進行2
お馬さんの温かな感触を堪能していると、お兄さまにひょいと抱き上げられた。
「仲良くなれたようだな?
では、そろそろ出発しよう。皆も準備ができているようだぞ?」
はっ!そうでした!
「スノー、お願いしますね?」
ぶるる、というのはお返事だよね?
「お待たせいたしました!」
でもボク、どうやってお馬さんに乗ったらよいのかな?
「お兄さま、ボクどうやって乗ったらいいですか?
よじ登ったらよいのでしょうか?」
するとブリックが馬を降りてボクの前に。
「お任せください」
「うむ。頼んだぞ?」
言うや否やお兄さまはひょいッと軽々とスノーにまたがった。
そしてまるで物語の王子様のように「さあ、クリス、おいで?」とボクに片手を差し出して下さる。
「ひ、ひやあああああ!」
思わず真っ赤になってしまったボク。
「お、お、お兄さま、絵本の王子様みたいですうっ!!かっこよいですっ!」
「ふふ!そうか?
クリス、見惚れるものいいが、ほら、手を出しなさい。私が引っ張り上げよう。
ブリックが持ち上げてくれるから大丈夫だ」
「クリスさま、失礼致します」
ブリックがボクの腰を掴んで持ち上げると同時に、お兄さまがボクの手を掴みひょいっとお兄さまの前に。
ボクは立っていただけ。
なのに気が付くとお兄さまの前で、お馬さんにしっかりとまたがっていたのでした。
「ふわ!す、すごい!ボク、お馬さんに乗っています!!」
「ふふふ。そうだな。どうだ?乗り心地は?」
「えと、えと、……高くって固いです。それに……よろよろします」
「クリスの背は私が支える。安心して私にもたれていればよい。しっかりと手綱だけは掴んでいるように」
「はい!」
そうっともたれてみると、お兄さまがボクの手の横で手綱を掴み、後ろからボクを抱え込むようにしてしっかりとホールドして下さった。
「大丈夫か?身体は安定しているか?」
「だ、だ、大丈夫ですう!」
身体は!ボクの心臓は大丈夫ではないのですが、これはいつものことですので!
マーシャが感極まったような声で言った。
「まあまあ!良かったですわねえ、クリスさま!お馬さんに乗れましたね!」
「うん!ボク初めてお馬さんに乗れたよ、マーシャ!
マーシャは大丈夫?」
「ええ。こんなご立派な騎士様とご一緒できるなんて、お姫様にでもなったようですわ。うふふふ」
大丈夫みたいだね。
「では、出発だ!」




