ピクニックです!
カール先生の授業終了の合図とともに、ボクはお兄さまに飛びついた。
「お兄さま、お兄さまっ!!ピクニックです!
とっても良いお天気ですし、歩いていきますか?馬車ですか?
どれくらい広いのでしょう?端っこまで行けますでしょうか?
あ、バスケットも持っていくのですよね?重いのかなあ?
みんなで分けて持てるようにしてもらった方がよいでしょうか?」
嬉しすぎて思い付いたことを次々と口にするボク。
お兄さまはボクをしっかりと抱き留め、いつものようにポンポンと頭を撫でて落ち着かせてくれた。
「クリス、ピクニックは逃げない。だから少し落ち着こうか?
そうだな……池があるのだが、そのほとりでランチをしないか?
魚を見ることもできるし、クリスが望むのならば釣りもできるぞ?
近くにウサギの巣もあるから覗いてみよう。
少し遠いから……馬はどうだろうか?クリスは馬に乗ったことはあるか?
嫌でなければ私と一緒に乗って行こう。
私の馬はとても良い馬でな。あまり揺らすことなく上手に走ってくれる」
馬ですって!
馬車じゃなくって馬!
しかも「私と一緒」ということは。タンデムですね!
それはとても魅力的なのですが……。
「ボク、ボク、馬車しか乗ったことありません……。誰かと一緒に乗ったこともないんです。
お兄さまはもう馬にお乗りになられるのですか?怖くないでしょうか?
ボクも一緒だと、お馬さん、重くないですか?
怒ったりしませんか?」
「クリスはとても軽いから問題ない。大人二人で乗ることもあるのだぞ?心配はいらぬ。
勿論怒ったりはしない。心配ならば、先に人参でもやるといい。
きっと喜んで背に乗せてくれるぞ?」
「!そうします!
うわあ!お兄さまと一緒なんて嬉しいですっ!
ピクニックにお外でランチに、お兄さまと乗馬!最高です!
いっぺんに嬉しいことばっかり!
どうしましょう!嬉しすぎて、せっかくポンポンしていただいたのに、全然落ち着けませんっ!」
むしろ余計に興奮してしまった。
お部屋の中をわーーって走り出したい気分。
「あの、あの、ちょっとだけ走ってきてもいいですか?」
「これから出かけるのだから、そちらで体力を使うほうがよいのではないか?」
「そうでした!じゃあ、すぐに行きましょう!
キッチンに寄って行けばいいですよね?
あ!マーシャたちやブリックさんたちを呼ばなきゃ!」
「ふふふ。彼らなら既にバスケットを用意して外で待ってくれているぞ?」
慌てて窓に走り寄って外を見ると、みんなが並んで待っていてくれた。
窓から手を振るボクに気付き、手を振り返してくれる。
「おまたせしましたーーっ!いま、いまそちらに向かいますのでえっ!
あの、あのっ!お兄さまと一緒にお馬さんに乗りますっ!お兄さまが乗せて下さるって!!
やったーーー!わーーーい!!」
結局我慢できずにお部屋の中を一周してしまったボクは、お兄さまにひょいっと捕まえられてそのまま抱っこで連れて行かれたのでした……。
は、はずかしい………。




