ボク専属使用人さん、決定です しおり 10
恐る恐る尋ねたボクに、ルナさんはあっさりと首を縦に振ってくれた。
「そもそも、嫌でしたらこちらに伺っておりませんよ?
騎士は『お護りする』のが仕事です。クリス様のお傍でお護りさせて頂けることを誉に思います。
喜んでクリス様にお仕えいたしましょう!」
お義父さまも頷いてくださる。
「うむ。では頼むぞ、ルナ」
「は!この命に代えても!」
「うわあ!ルナさん、ありがとうございます!ボク、立派だと思って頂けるような主人になりますね!
これからどうぞよろしくお願いいたします!」
ペコっと頭を下げると、ルナさんが慌ててそれを止めた。
「私などに頭を下げないで下さいませ!私はクリス様の護衛。敬語も不要でございます」
「ええっと……ごめんなさい、敬語は年上の方にはどうしても……。じゃあ、やめるようにします、じゃなくて、やめるようにするね。これからどうぞよろしく!」
「こちらこそ、若輩ではございますが、精一杯務めさせていただきますので、何なりとお申し付けください。なにとぞよろしくお願いいたします」
ここで終わりかと思ったら、お兄さまが難色を示した。
「ルナとマーシャは決定として、あと一人護衛をつけては?多い分には構わないでしょう?
私専属の使用人は二人ですが、それは私も戦えるからです。
クリスはまだ幼い。心配です」
「ふむ……それもそうだな。公爵邸に居る限り問題はないが、今後外に出ぬとも限らぬからな……。
うむ!もうひとり選ぶように」
「ええ?もうひとり?ボクなんかに三人もですか?」
「一人は世話係だからね?護衛としては二人だろう?」
そ、そうなのですか?
ちらりと三人を見ると、三人ともとてもいい人そう。
ウルガさんもセルシオさんもソルトさんもそれぞれに個性があって、みんなちがってみんないい。
ちなみにウルガさんは黒髪の長髪を後ろで革ひもで結んだ精悍なタイプ。たとえるとしたら……黒豹?
セルシオさんはどこか優雅でしなやかな美形。こちらはチーター?
ソルトさんは、三人の中で一番若そう。赤いくせ毛の短髪で、大型犬のように人懐こい感じ。
三人に共通するのは、ボクのことを見る目がとても優しいということ。
こんなふうに集められたというのに、嫌な顔ひとつしていない。
目が合うと「にこっ」としてくれる。
この中から一人……?
「え……えと…………えっと………」
ルナさんは女性だし選びやすかったんだけれど、ここまで個性が違うと逆に……
「え、え、選べません……みなさんとても良い方みたいですし……」
困りすぎて眉が漢字の八の字になってしまった。
どうしましょう?
助けを求めてお兄さまを見上げると、お兄さまが優しくボクの頭にポンと手を置いた。
「うーん……。では、こうしたらどうだろうか?」
お兄さまが提案してくれたのは、交代制。
つまり、この三人が日替わり交代でボクの護衛についてくれるというもの。
ルナさんのお休みの時にも代わりに入ってくれる。
「!!そうしたら、みなさんボクの護衛だけじゃなくって騎士団の訓練もできますよね?」
「そうだね。週に三日ほど付いてもらえば、ルナにも休みを取れるだろう。どうだ?」
「それいいです!最高です!皆さんさえよろしければ、ボクはそれでお願いしたいのですが……いかがでしょうか?」
「俺は問題ございません。喜んでお仕え致します。よろしくお願いいたします、クリス様」
「私も異論はございませんよ?よろしくお願いいたしますね、クリス様」
「僕もそれで大丈夫です!何でもおっしゃってくださいね、クリス様!」
「はい!どうぞよろしくお願いいたします!
あの、お時間があるときでよいので、ボクに剣も教えて頂けると嬉しいですっ!」
「クリス、万が一があってはいけない。それは私が共に居る時にしよう。それでよいか?」
「はい!ありがとうございます、お兄さま!お兄さまにご一緒していただけるなんて、とっても楽しみです!」
みなさん、ふつつかな主人ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします!




