翌朝
「クリス、大丈夫か?酷い顔色だぞ?」
「……大丈夫ですう……眠いだけですので……」
ふらふら歩くボクと、そんなボクを心配し、隙あらば抱き上げようとしてくださるお兄さま。
「昨日は色々ありすぎたからな。一晩では疲れが取れなかったのだろう。
朝食を食べたら、また少し眠るとよい」
疲れが取れなかったのは眠れなかったからなのですけれどね。
正直今のボクの脳は眠すぎてゆるゆる。
推し < 眠気
つまり、お兄さまよりもなによりも眠気が勝っている。
「………ふわあ………。あ、失礼いたしました」
そう、無意識にあくびが出てしまうくらいには。
なんとか食堂に辿り着いたボクたちを待っていたのは、キラッキラ、元気いっぱいのお義父さまと、どこかけだるげなお母さま。
お母さまも慣れないところで眠れなかったのですね……。
うんうん、分かります。
もしかして、そちらもお義父さまに添い寝されてしまったのでしょうか?
公爵家のお二人ってばとてもお優しいのですが過保護ですよねえ。
ボクはお母さまに「わかっておりますよ」と訳知り顔でうんうん頷いて見せた。
お母さまも、ボクのお隣のお兄さまをチラリと見て何かを察した模様。
苦笑しながら頷いてくれた。
一方、お義父さまはといえば、ボクの顔を見てギョッと目を見開いた。
「クリス、体調が良くないのか?どうしたのだ?」
ボクが苦笑しながら「お兄さまがご一緒してくださったのですが、あまり眠れなくて……」というと、なぜかクワッと眉を上げてお兄さまを見つめるお義父さま。
「……ジルベール……まさかクリスと眠ったのか?
それで、なぜクリスがこのように疲れた顔をしている?」
え?ボクに聞かずにお兄さまに聞かれるのですか?
ボクの責任者、お兄さま?
「クリスを慣れない場所で一人にするのは心配でしたので。私が添い寝をすることにしたのです。
昨日は色々ありましたから、まだ疲れが取れないようで……。
食事をしたらまた少し寝かせようと思います」
お兄さまは優しい表情で隣のボクを見つめ、頭をぽんぽん。
あ。責任者じゃなくて保護者です。お兄さま、完全にボクの保護者になっていらっしゃる……。
どうやら公爵家でのボクの保護権は、お母さまからお兄さまに移譲されたようです。
「そうか。クリス、無理はせぬようにな?
慣れるまではゆっくりと過ごしなさい」
「クリス、またすぐに眠るのなら、消化の良い食べ物を用意させよう。
パン粥を用意してもらえるか?それと……そうだな、桃を。
それくらいならば食べられるだろう?」
至れり尽くせりですね。ありがとうございます。
食べようとはするんだけど、ついうとうとしてしまっボクは、お兄さまの膝に座らされ、皆の温かな眼差しの中で「あーん」で朝食を頂たうえに、お顔を拭きふきされ、お兄さまの抱っこでベッドに運び込まれたのでした。
ちなみに眠すぎてこのあたりの記憶はない。
後からお母さまに「うふふ。クリスってばジル(お兄さまのことはジルと呼ぶことにしたらしい)とすっかり仲良くなったのねえ」とこの時の話を聞いて地面に沈みそうになった。
なんということ!恥ずかしすぎるけれど、それよりなにより、覚えてないっ!
推しの抱っこ&あーんを覚えていないなんてっ!
でも、もし意識がしっかりしていたのなら、絶対に倒れるか鼻血を出したと思うから、意識が無くてよかったのかもしれません。
気付けばお昼まで爆睡してしまって、目を覚ました途端んまたしてもお兄さまのお胸に抱かれていて
「あ゛ーーーーー!!」
と叫んでしまったのは仕方のない話。
ああ、神様!ボクの推しはとんでもないファンサ尽くしのお方でしたよ。
ご拝読頂きありがとうございますー!
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