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アフター結婚式2

ボクの情けない主張にも、お兄さまは全く動じなかった。


「………ひとつ確認するが、私の供給によりクリスが倒れたとしても、クリスの身体に悪影響はないのだろうか?

心臓が、というのも例えであり実際の心臓には支障はないということでいいのか?」


真面目な表情で一つ一つを確認するジル兄さま。


「はい。それは仰る通りです。あくまでも脳や心臓がフル回転することで頭がボウッとしてしまうだけですので。

身体には……支障はないというか……寝れば治る程度だと思います。

なのでお医者様は結構です」


お兄さまは「ふむ」と顎に手を当て思案顔。

そしてあっさりとこう仰ったのです。


「ならば、問題ない。やはり私はここに泊まらせて貰う」


「は?え?お兄さま?ボクの話を聞いていらっしゃいました?

問題しかありませんよ?一体全体どうしてそうなるのですか?

まさかボクをからかっていらっしゃいます?」


ボクがお兄さまのことを大好きだって知っているくせに!酷い!

ムスっとむくれてプイっと顔を背けるボク。


するとお兄さま、しれっとこんなことをのたまった。


「はは。拗ねる弟、というのも可愛いものなのだな?

すまないクリス。君をからかうつもりはないのだが……どうにも可愛くていかん。

私もこういうのには慣れていないのだ。加減がわからぬ。許して欲しい」


その甘ったるい上に困惑した響きに魅かれ、ちら、と目をやれば……


困ったように眉を下げ、苦笑するお兄さまが。

オマケに目があっただけで嬉しそうに微笑まれてしまった。


ーーー!

ーーーー!!


絶えた。ボクは耐えた!

可愛いです、お兄さま!ボクこそ言いたい!「どうにも可愛くていかん」!



こんなお兄さまを突き放せるわけがない。

だって何度も言っているように、ボクはお兄さまが大好きなのだ。


「……どうしたらよいのでしょうか?」


ボクも心底困ってしまった。




するとお兄さまが、首をかしげるいつもの仕草でこう言った。


「私が思うに…………慣れるのが一番ではないか?

お互いにあえて強硬手段を取ることで、一気に慣れてしまうのだ」

「つまり、ものすごく甘いのを食べたら、普通の甘さが甘く無く感じる、みたいなことですか?」

「?そういうこと……なのだろうか?」


うーん。それは一理あるのかも。

正直、こうしてずっと至近距離で居たらお兄さまのご尊顔にも慣れ………


「?どうした?」


慣れませんね!何度見ても、どう見てもキラキラされておりますもの。


「……効果あると思われますか?」

「ああ。効果が無ければまた方法を探せばよいのだ。この兄を信じてくれるか?」


その言い方されたら、ボクがこういうの分かって仰ってますよね?


「……お兄さまを信じるかって?当たり前です!だってジルベスターお兄さまなのですよ?

ボクが信じなくてどうするのですか!」


拳を握って力説すれば、お兄さまが目を細めた。


「クリスはそう言ってくれると思っていた。私もクリスを信じているぞ?

……ということなのでな。

クリス、しばらくは私と共に寝よう。

リラックスした状態で共に過ごせば、きっと早く慣れるに違いない。

それに…………せっかく弟ができたのだ。

入籍したばかりなのだから、父上と母上たちのように、私もクリスと共に居たい。

クリスがどうしても嫌だというのならば諦めよう。クリスの嫌がることをするのは本意ではないのでな。

………共に寝ても良いか?」


「はい!!はい、いいです!!一緒に寝ましょう、お兄さま!」





手のひら返し?

仕方ないでしょう!

だってボクはどうしたってお兄さまには弱いのだもの!


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