プロローグ2 名もなきモブの過去
ボクとお兄さまとの出会いは、ボクが5歳、お兄さまが8歳の時。
母の再婚により、ボクとお兄さまは出会った。
そう、それまでのボクにはお父さまが居なかった。
そして…実はボクには本当のお父さまの記憶がなかったりする。
伯爵家に婿入りし当主になったという実のお父さまは、ボクがまだ2歳の時に事故で他界した。
生前の父は、とても忙しい人だったらしい。有能だし悪い人ではなかったんだけれど、家庭的な人ではなく、あまり家にいなかった。
居ても書斎に閉じこもってばかりだったんだって。
そんなこともあって、幼かったボクの実のお父さまの記憶は、いつの間にか消えてしまった。
でもお父さまは居なかったんだけれど、寂しくはなかった。
伯爵家はもともとはお母さまの家門。
後を継ぐはずの息子のボクがまだ幼すぎたことから、お母さまの弟であるサイラス叔父さまが、急遽当主代理として伯爵家に入ってくれたのだ。
独身だったサイラス叔父さまは、まるでボクの本当の父親のようにボクを可愛がってくれた。
肩車をしてくれたり、馬に乗せてくれたり。おおよそ父親とするようなことは、全部サイラス叔父さまがしてくれた。
だから、ボクにとってのお父様は、実父ではなくサイラス叔父さまなのだ。
こうしてお父さまがいないながらも全く気にせず、楽しく平和に暮らしていたんだけれど。
ボクが5歳のとき、そんな生活も終わりを告げる。
お母さまが再婚することになったのだ。
まだ若く美しかったお母さまには、あちこちから再婚話が持ち込まれていた。
でもお母さまはそれを総て断り続けていた。
ところが、友人の主催するパーティーである人と出会う。
それがクライス公爵。今のお義父さまだ。
公爵さまは、出産の際に奥様がお亡くなりになってから、ずっと独り身を貫かれていた。
社交の場もよほどのもの以外は避けていたのだけれど、たまたま公爵さまの親族が主催するパーティーだったから断りきれなくって、珍しく参加していたのだそう。
お母さまも公爵さまも、まだ若かったこともあり、社交に出ればあらゆる人から「いい人」を紹介された。
そのことにうんざりしてダンスにも参加せずあえて壁の花となっていた二人は、お互いに連れ合いを亡くした者同士、さらに社交にうんざりしている同士ということで意気投合。
なんどか居合わせ話をするうちに、いつの間にかうちとけあい、片親の子育てについて相談しあう気の置けない仲になった。
そしていつしか愛し合うようになっていた。
こうしてお母さまの再婚が決まり、ボクにはお義父さまとお義兄さまができることになった。
その義兄こそが、悪役令息、ジルベスター様。
ボクは義兄と運命の出会いを果たし、前世の記憶(ゲームのことに限る!)を取り戻した。
もしもこの転生に意味があるとすれば、それはきっと「ジルベスター様を護る」ため!
ジルベスター様の断罪を防ぎ、前世のボクの無念を晴らすために、ボクはここにいる。
そう、この物語は「最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクが、悪役にされそうな義兄を守るべく
あざと可愛さと前世の知識を武器に主人公をザマアしていく物語」
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