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ボクの推しは神でした

ジル兄さまはそのまま真剣な表情でボクの顔をじいっと見つめる。

あああああ!そんなに見つめられたら、またしても……


ふうっと気が遠くなる寸前で、ジル兄さまが ふうっ、と大きく息を吐いた。

そのままボクの上に顔を伏せる。


「……ジ、ジル兄さま?」


「…………よかった………。急に倒れるから……どうしたのかと………」


ぎゅっとボクを抱きしめるお兄さま。その声は少し震えていた。

そうか。お兄さまと話している最中に、しかもお兄さまの目の前で倒れちゃったから……。


「……心配をかけてしまってごめんなさい、ジル兄さま」


そっと手を伸ばして胸に伏せたお兄さまの頭を撫でた。

この人が冷酷?

そんなはずない。

だって会ったばかりのボクのことをこんなに心配してくれるような人なんだよ?

ボクをお膝にのせて抱っこして手を握ってくれた。そんな人なんだよ?


ボクがジルベスター様を推していたのは、間違いなんかじゃなかった。

ジル兄さまは、断罪されていいような人じゃない。

冷酷な人だとか、心がないなんて言われていいような人じゃない。


ボクは、お兄さまのこういう優しいお顔を、繊細な心を、もっとたくさんの人に知って欲しい。


「あのね……会ったばかりでおかしなことを言うと思うかもしれせんが。

ボクは、ジル兄さまが大好きなのです。信じてくださいね?」


ふるり。


手のひらの下のジル兄さまが小さく震えた。


「……みたいだね。倒れてしまうくらいに、ね?」


え?笑っているんですか?嘘でしょ?!


「…………もしかして、ジル兄さま、笑っているのですか?」

「……笑ってなど……いない」


嘘だ!絶対に笑ってる‼

ボク真剣に言ったのにい!


むくりと身体を起こしたジル兄さまは、とてもとても優しいお顔だった。


「本当に、笑ってなどいない。だから、そう怒るな、クリス」


きゅーん、とボクの胸が苦しくなった。

その顔、ずるいっ!!


「……ほんとのことなのに…………」

「ああ。分かってる。嬉しい。ありがとう、クリス」

「………ならいいです」






「…………あっという間に仲良しになったわねえ…………」


は!お、お母さま!


「甘えん坊さん、問題がないのならそろそろお部屋を案内していただきましょうか?」


甘えん坊?

きょとんとお母さまを見上げると目線でお兄さまを示された。

は!「そうだ、ボク、まだお兄さまのお膝の上だった!なんてこと!!


「ひゃああ!お、お兄さま、ごめんなさいっ!ずっとボク、お膝に……っ!!」


慌ててぴょんと飛び起きかけて……


「あれ?」


ふらあ、と立ち眩みを起こしてまたお兄さまに抱き留められた。


「ほら、急に立つからだぞ?私のことはいいから、ゆっくりと、な?」


重ね重ね申し訳ございません……。






「………甲斐甲斐しいな」


ぼそり、とお義父さまが呟く。


「ふふふ。あなたに似ているわね?

あなただって誤解されやすいけれど、とても親切で甲斐甲斐しいわよ?」

「そうだろうか?堅苦しい、とか怖そうだとはよく言われるが……」

「パーティーで私に声をかけてくれたのも、一人でいる私のことを心配して下さったんでしょう?

おかしな人が近づないようにさりげなくガードして下さったではありませんか。

貴方はとても思いやりのある優しい人だわ」

「…………そう思ってくれているのなら、とても光栄だ」


お義父さんのお耳がまた赤くなった。


「……お義父さま、かわいいです」

「そうだろうか?父上のことを可愛いというのは、君と義母上くらいだぞ?」

「お兄さまもかわいいです」

「…………」


今度はお兄さまのお耳が赤くなった。


「うふふふふ!ね?クリス、お母さまが言ったとおりでしょう?

お二人ともとてもお優しい方なの。それにとっても可愛いわよねえ?」

「はい!ボク、お二人のこと大好きです!」


使用人さんも、ジェームズさんもお二人のこと大好きだよね?

だってお二人を見守る目がとっても優しいもの。

きっと公爵様はとてもいいご主人様なんだろうな。


「お義父さま!ジルお兄さま!

ボク、お二人と家族になれてとっても嬉しいです。これからよろしくお願いいたします!」






サイラス叔父様!

あのね、叔父様や伯爵家のみんなとのお別れは寂しかったけれど、その代わり最高の出会いと最高の家族がボクを待っていたよ!

ボク、公爵家で幸せになるからねっ!

必ずジル兄さまをお護りして幸せにするから、応援していて!






ご拝読頂きありがとうございます♡

イイネやコメントなどのリアクションを頂ければとってもとっても嬉しいです!

最近熱すぎて、暑さに弱い作者はウエストクーラーをくくりつけて移動しております。。

みなさま熱中症にはお気を付けくださいましね。

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