ウエイン様VSオーウェル様 アイク様VSウエイン様
アイク様とティムの戦いは、ティムの精神力の限界を試し、終了いたしました。
次はウエイン様とオーウェル様の三年生同士の戦いです。
ウエイン様は簡易アーマー。動きやすさ重視でなんと鋼鉄ではなく革製の肩当、胸当て、菱当てのみ!最低限の装備です。相手の打撃を食らうつもりはない、という自信の表れでしょうか?
片手剣よりも長くて太い両手剣を腰に挿し、慣れた様子で観客の声援に応えております。
対するオーウェル様は、重量級のバスターソード。長くて太い剣を背中に挿し(そう、あまりにも大きいため腰に挿せておりません)両足を開いて仁王立ちです。こちらは体格の良い身体をフルアーマーで覆い、ガチガチに力が入っております。
「試合開始!」
声とともに、なんとウエイン様、飛びました!
あ、これ、ティムがやったのと同じ!
重量級の相手は、とっさのその動きについてこれません。
慌てて剣を上に構えようとしますが、その重さ故少し遅れが出てしまいました。
ガンッ!!
い、いくらフルアーマーだからって、そんなに力いっぱい……!!
ひえーーー、と青ざめる観客。見ている方が痛いっ!
案の定、鎧越しでも相当なダメージを受けた模様。
オーウエル様は反撃する間もなく、どう、とその場に崩れ落ちたのでした。
「わああああ!!」
正に一撃必殺!一瞬の出来事でした。
あっという間に勝利したウエイン様、何故か倒した相手ではなくティムの方を見て「ニヤリ」と笑い片手を上げております。これは……「さっきのやつ、真似してやった!」ですか?
「うわあ……やっぱろそうだったんだ。
ウエイン様って、意外とお茶目だよね?」
リオが呆れたように呟きます。
ですよねえ。わざわざティムと同じ倒し方しなくても!
きっと「アレ面白そう!」って思ってしまったのでしょう。
試合ですぐに試しちゃうところがなんともウエイン様。
それでもできてしまうところが、なんとも……。
オーウエェル先輩も可哀想に……。
でも、これは相手が悪かったとしか……。
こうしてあっという間にアイク様VSウエイン様の主従対決となってしまったのでした。
「ウエイン。今年もお前とやるのか……」
「試合では主従関係なしに対等だからな。手は抜かねえぞ?」
「分かってるよ!もう3度目だしね。私も手は抜かないよ?これでもそれなりに努力してきたからね。
恨みっこなしでいこう」
「おう!」
「試合開始!」
合図とともに、アイク様がウエイン様の懐に飛び込みました!
長い剣は接近戦には不利なのです。それを狙ってのことでしょう。
しかし、それを読んでいたウエイン様。すかさず後ろに飛びのいて距離を稼ぎます。
と同時に飛び込んだアイク様の胸元で両手剣を一閃!
キイン!
それをアイク様がはじき返しました!
ここまでがほんの数秒。あっという間の出来事に目が追い付きません!
今度はじりじりと半円を描くように互いの間合いを測ります。
長剣のウエイン様の方が一見有利にも見えますが、躱されてしまえば一転してピンチに。
お互いにその手の内をよく知っている相手なだけに、慎重です。
アイク様がウエイン様の上段からの一打をギリギリで避けてくるりと身をかわせば、それを読んでいたウエイン様がすかさず剣を翻して斜め横に薙ぎ払う。
それをとっさにしゃがんでやり過ごすアイク様。
「あ、当たったら絶対に大けがですよね?
大丈夫なのでしょうか?」
ハラハラしながら見ているボクをよそに、試合している本人たちは何故かとてもうれしそう。
「やるな!腕を上げたじゃないか!」
「ははは!そっちもな?てか、よそ見すんなよ、なっ!」
「ふふふ。甘いな、ウエイン!そっちこそ……っ」
激しいラリーが続きます。
「………もしかして、遊んでたり……しませんよね?」
「アイク様にも戦闘狂っていう噂があるんだよ。まさか、と思ってたんだけど、納得した。こういうことかあ……」
クラスメートが呟きました。
「え?アイク様って戦闘狂って言われてるんですか?あのアイク様が?」
ウエイン様なら分かりますけれど、基本的にアイク様はとてもやさしくて気のいいお兄さん、と言った感じ。偉ぶることもありませんし、あまり怒ることもなさいません。
驚くボクに、お兄様がアイク様と同じクラスにいる、というマイクくんが教えてくれました。
「普段は穏やかな方なだけに、いざって時の豹変ぶりが怖いって兄上が言っていたんだけど。納得したよ。
あのウエイン様と笑ながら戦えるんだよ?それだけで十分察せられるよね?」
確かに!
元々ゲームの中でのウエイン様はそうだったのでした!
元婚約者を容赦なく断罪したのでした!
ここ数年仲良くさせて頂いていたから、すっかり安心してしまっておりました。
ダメですね、ボクったら!
試合は結局ウエイン様の勝利。
これはなんというか……スタミナ勝ちといったところ。
ものすごいラリーをつづけた末に、今度は力と力の勝負となり、アイク様が力負けしたのでした。
「負けたーーっ!」
「いや、アイク、強くなったなあ!楽しかった!」
お互いに笑顔で肩を叩きあい、検討をたたえ合う二人に、会場から惜しみない拍手が送られます。
まるで青春映画を見ているかのようです。爽やか!
でも絶対にボク、その映画には出たくありません。
あの筋肉ウエイン様に力で競り合っていただけ、アイク様は凄いと思います。
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