最終シード2
そうこうしているうちに、最終シードに出場する学生たちの入場です。
ここまで残ったのは、勝ち抜き組から、ティム。そして3年生のオーウェル先輩。この方もウエイン様の武術部指導組です。
最終シードで待ち受けているのは、トップスリーのお兄様、アイク様、ウエイン様。
アイク様とティムが、オーウェル先輩とウエイン様がそれぞれに戦い、その勝ったもの同士が戦い負けたほうが三位。勝った人とお兄様とで決定戦を行います。
全部で四試合行われるわけですが、最終シードまで残った時点でこの五名の将来は約束されたものになります。
といっても、主に武術や騎士、士官方面なので、卒業後は領地に戻りご両親の後を継ぐティムには全く関係のないこと。むしろ「勝ち抜いてしまった」と思っている節すらあります。
しかも対戦相手が「アイク様」だということで、
「負けると分かってるけど、まだウエイン様の方が気が楽だった!殿下と剣を合わせるなんて、荷が重すぎるよ」
と完全に死んだ目。ご愁傷様です。
でも、アイク様はとても公平な方なので、万が一ティムが勝ったとしても不敬だとか恨んだりとかしないと思いますよ?そこは安心してもよいのでは?
入場は、ティム、オーウェル先輩、ウエイン様、アイク様。そして最終ラスボス的立ち位置でお兄様!
ああ、みんなが入場した後、隠しきれない威厳を発しながら堂々と入場され輝けるお兄様は、他の追随を許さぬほどの神々しさです!
なんてすばらしいのでしょう!
皆さんもそのお姿に見惚れ、あちこちから「ほう……」と感嘆の声が上がっております。さすがはお兄様です!
ボクも胸の前で手を組んで感動。
涙にぬれたハンカチを絞ってはまた濡らし、絞っては濡らし。
みかねたのか、周りの方々が何枚もハンカチをくださいました。(ありがとうございます!)
「お゛お゛にい様の、ごのようなおすがたを゛はいげんでぎだだけで……!!ボク、ボク、とびきゅうじでよがっだあああああ!」
少し距離があるのですが、ぴょんぴょんと飛んで「お兄様ああああっがんばってくださーーーーいっ!!」と手を振れば、気付いたお兄様がニコリとほほ笑み、片手を上げて声援に応えてくださいました。
「きゃあああ!」と悲鳴が上がっております。
お兄様の輝きに魅せられた方が、お倒れになったようです。
大丈夫でしょうか?
気持ちはわかります。あの攻撃力はすごかった!
皆さんはボクたちの下を通り過ぎ、中央に並ばれましたが、お兄様だけは何故かボクの下あたりでピタリと歩みを止められました。
「?お兄様?」
どうかされたのでしょうか?
するとなんと!お兄様はしっかりとボクと目を合わせ、片膝を付き剣を額に当てると、祈るようなポーズをとったのです!
ええ?!なんですか、これ!か、か、か、カッコよすぎますっ!!!
はわわわわ、と言葉を失っていると、口パクで「勝つからね」と!
ボクが必死にコクコクと壊れたお人形のように頭を上下させたのを見ると、満足そうに頷き、立ち去られました。
「「「「きゃああああああっ!!」」」」
怒涛のような悲鳴。
え?え?い、今のは何だったのですか?!
「……姫、だね」
「うん。姫だ」
え?え?姫?誰が?
きょろきょろと辺りを見回せば、全員の視線がボクに集中しておりました。
?
え?
……………もしかして、ボク?
無言で自分を指さして首を傾げると、みなさんも無言で頷きます。
「え………?えええーーーーーっ!?」
お兄様、ボクを「姫」に選んでくださったのですか?!
ええ?
婚約者じゃなくてもいいとは聞いておりましたが、弟でもいいのですか?
まさか、まさか……
「えええーーーーっ?!」
ボクはもう一度叫び、倒れそうになったところをリオに慌てて支えられました。
お兄様、ボクなんかを姫にしてしまってよろしいのですか?!
なんてこと!!




