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キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!  作者: をち。
幼年期

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試合の前

学園に到着すると、お兄様は「では、試合会場で」とボクの頬にキスを一つ残し、そのまま闘技場に向かわれました。

残されたボクは、キスをされた頬に手を当て、茫然。


「……びっくりして、頑張ってくださいって言い損ねちゃいました……」


なんてこと!





火照る頬を押さえながら教室に向かえば、試合に出ない居残り組がそわそわと「誰が勝つのか」という賭けをしておりました。

そっと耳を澄ませてみると……


「私はウエイン様だと思うわ。だってお父様は騎士団長なのでしょう?代々この大会で優勝されているというお話ですし……。なんといってもあの筋肉!」


ご令嬢はマッチョ好きのようです。でも筋肉で勝利するわけではありませんからね?

知略も勝利には欠かせぬ重要な要素なのですよ?


「いやいや、ここは絶対にジルベスター様だろう?昨年、一昨年と優勝されているし、第一今年は溺愛するクリスがいるんだぜ?クリスの応援があれば一発だろう」


えへへ!そうでしょうか?

ボク、大きな声で精いっぱい応援しますね!

少しでもお兄様のお力になれるといいのですけれど。


「アイク様を忘れてはおりませんか?幼い頃より剣を嗜まれ、その実力も折り紙付き。きっとこれまでは婚約者であるジルベスター様に花を持たせていたに違いありません。最終学年である今こそ、その実力をお見せになるのでは?」


なんですって?


「アイク様は大切な試合で手を抜かれるような方ではありません!婚約者だからと言って花を持たせるなど……!お兄様がとってもお強い、それだけです!」


思わずガタンと立ち上がって大きな声を上げてしまいました。



しーん。



ああ、どうしましょう!

盗み聞きしたあげく勝手に怒り出すだなんて、なんて失礼なことを!

でも、でも、どうしても我慢できなくって……


しょんぼりとするボク。


するとリオがボクの頭をヨシヨシと撫でてくれた。


「クリスは本当にお兄様が大好きだよねー。ふふふ。

確かに、私の知るアイク様は、どんな時であれ手を抜かれるような方ではないよ?

ジルベスター様はお強いからなあ……。ボクとティム、二人がかりでも勝てる気がしないもの。

ジルベスター様に勝てるのって、クリスくらいじゃないかな?違う意味でだけど!」


最後は軽い調子で笑いを誘う。


「あははは、そりゃそうだ!リオが勝てるわけないさ!マジでジルベスター様の強さって、凄いらしいぞ?

俺の兄上が三年なんだけど、教師すら勝てなかったと言っていた」


「うわ!じゃあ、俺やっぱジルベスター様に賭けるわ」


「まあ、調子がいいわねえ!

ごめんなさいね、クリスくん。そんなつもりはなかったの。ただ、私アイク様のファンで、つい……」


先ほど「花を持たせていた」と言っていたご令嬢が申し訳なさそうに謝ってくださいました。


「い、いえ。ボクこそムキになってしまってごめんなさい。えっと、ボクもお兄様が大好きで……」


「「「知ってる!!」」」


みんなが笑いながら突っ込んできました。


「ええー?そ、そこまで?」


「この学園ではもう知らない人はいないんじゃないかな?」


「うんうん。クリスくんだけじゃなくってジルベスター様だって相当だもんな。溺愛っぷりが凄い」


「これまで社交界で見せてきた姿は何だったんだ、って思うよ」


「これまで2年間クラスメートだった兄上ですら、笑顔のジルベスター様を見て『誰だ?!』って思ったらしいよ」


うんうん、と皆さん頷いていらっしゃいます。

お兄様の優しさや笑顔を皆さんにご理解いただいたのは嬉しいのですが……


「そこまで違いますか?」


「「「全然違う!!」」


「なんていうか……瞳が違うのよねえ……。優しい……いえ、甘い……?」


「目に入れても痛くない、ってこういうことを言うんだろうなと思う」


「娘を溺愛する父親のような?」


「それにしては過保護だよな」


「それはクリスくんだって相当でしょう?両想いならいいんじゃないかしら?」


ドンドン話が進みます。

なんだかボクが思っていた「お優しいお兄様」像とは違うような………。




微妙な表情になっていたボクを見て、リオが纏めてくれました。


「まあ、私は今のジルベスター様の方が好きだよ。なんというか……とても人間らしい。

微笑んだり、ムッとしたり……」


ここでニヤリとして何を言うかと思えば「ヤキモチを焼いたり、ね?」とウインクをひとつ。


「ええ?お兄様がヤキモチ?まさか、お兄様がそんな!いったいいつ?誰に?

そんなに気になる人がいるのでしょうか?お相手は誰なのでしょう?」


ああ、なんだか胸がもやもやします。


そんなボクにリオは「きっとね、試合の後でわかると思うよ?」とにこにこ。

もう!どうせなら最後まで教えてくださいっ!気になるううっ!


クラスの皆さんは分かっているようです。


「そうね」

「というか、クリスくん、分かってなかったのねえ」


などと言いながらポンポンと頭を叩かれました。


小さな子扱いしないでくださいっ。

ボク、みなさんとひとつしか違わないのですからねっ。

ていうか、


「教えてくださいってばあ!気になって試合に集中できませんっ!」


みんなには分かるのに、どうしてボクには分からなかったのでしょうか?

お兄様への愛が足らなかった?

そ、そんなはずは……!!


「お兄様に聞いてごらん?きっとクリスになら教えてくれると思うよ?」


リオが教えてくれてもいいのに。リオのけちんぼ!

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