武闘会と舞踏会
やってきました、武闘会と舞踏会!
これは誤字でもなんでもありません。
学園の伝統で、学年問わず参加できる「体術」の大会である「武闘会」、そしてその最終日の晩に、大会優勝者の表彰も兼ねた学園生全員参加の「舞踏会」が開催されるのです!
これはこの学園のメインイベントと言っても過言ではありません。
何を隠そう、この大会で連続優勝する予定(ゲームの公式設定より)なのがお兄様なのです!
お兄様は幼き頃より剣術を学んでこられました。
お兄様が仰るには「有象無象の誘いを断るには都合が良かった」からだそうです。
ええー、という残念な理由ではありますが、もともと筋がよかったのもありますし、お兄様が努力のお人だからでしょう。メキメキと腕を上げられ、今では「王子の剣」と呼ばれるほどに。
ちなみにウエイン様とお兄様とでは「ジルが勝つ」のだと、ウエイン様が悔しがっておりました。
ボクにいわせれば、そもそもお兄様と張り合うのが間違いなのです。だってお兄様は運動神経だけではないのですから!その優秀な頭脳で対戦相手の動きを読み、確実かつ効率のよい攻撃をすることもできるのです!
脳筋と頭脳も筋肉もあるお兄様とでは勝負になるはずがないでしょう?
さすがはボクのお兄様!パーフェクト!
話がそれました。
まあ、それはさておき、大会です!
そう、お兄様の素晴らしき勇士をこの目に焼き付けることができる最高のイベント!
昨年、一昨年と、学園生以外の観戦が禁止されていると聞いて悔し涙に暮れておりましたが、ついにこの目で見ることができるのです!
ほんとうにほんとうに、飛び級してよかった!
ボクはもちろん参加できませんが(体術が……えっと……主に体格的な意味で苦手というか……。そう、ボク、頭脳派ですから!)この日をどんなに待ち望んでいたかを語らせれば、夜まで語り続ける自信がある。
それくらい楽しみな日なのです。
ボクの知り合いで参加するのは、お兄様と、先輩方(アイク様とウエイン様。お二人ともお兄様に敵うはずはありませんが一応優勝候補です)。
このあたりはもう鉄板です。なにせ攻略対象ですからね。強くなくては。
シス様は、頭脳枠なので別格ということで。
そしてなんと!ティム!
ティムは何故かあの校内案内の日からウエイン様に目をつけら……その実力を買われてしまったのです。
「なんで僕?騎士になるつもりはないんだけど……。クリスから断ってくれない?」
「嫌なら普通に断ればいいのでは?」
「無理だよね?殿下の側近候補とされるウエイン様だよ?未来の騎士団長だよ?下位の僕がそのお誘いを断るなんて不敬すぎるでしょう?クリスなら大丈夫!ね?お願いだから!」
「うーん。一応この学園では身分による差別は禁止ですし?嫌なことは嫌だって言いましょう。
ウエイン様はそれくらいで根に持ったりなさいませんよ?単純ですし。普通に『しょうがねえなあ』って言ってくれると思います。
それに、ティムはお兄さんなのでしょう?妹さんを護るために強くなるのはよいことなのでは?」
「うーん……言われてみれば……。
そうだね、幼い妹が二人もいるんだから、僕が護らないと!うん。頑張ってみるよ!」
という経緯で武術部にドナドナされ、強引に勝手に毎日稽古をつけられていたのでした。
体格がいいからとリオも誘われたのですが、リオのほうは「あ、私はそういうのは……」と笑顔で華麗に回避しておりました。行けばいいのに!
実はボク、「強くなれるならなったほうがいい」というスタンスなのです。騎士にならずとも強いにこしたことはありませんからね!
ボクだって訓練して頂けるなら喜んでやります。やめておけって止められたから我慢してるの!
さて、この武闘会なのですが、武器は自由。
剣でもいいし、槍でもいい。
剣は剣でもバスターソードのような重量級の大型剣から、接近戦によく使われる短剣タガーまで、戦い方に合わせて色々な種類がある。
どの武器をいくつ使用するのかまで含めて、その全てが戦う学生に任されているのです。
ただ、ひとつだけ。
あくまでも「学生によりデモンストレーション」の域を出ないように、刃にはガードをつけることが義務付けられております。
そのガードにはインクが付けられており「先に身体にインクが付いた方が負け」という判定になる。
例えば重量のある剣なら、相手の剣を受けるだけでなく払いのけてその隙を狙う、という戦い方。
タガーならば相手が大振りしている隙に懐に飛び込んで、という戦い方。
それぞれの剣の特性を活かした試合となるのだ。
お兄様の愛用の武器は、レイピア!
レイピアは貴族の決闘にも使用される、優雅でありながら実践的な武器なの。
その細く長い刀身は、軽くてしなやか。スピードとリーチを活かした剣がレイピアなのです。
お兄様はそれをなんと、二本使いされるの!
そうすることで、細身の剣なれど大型剣をもはじき返すことが可能になるというね。
正に無敵!ビューティホーかつワンダホー!美しくも最強を誇る、お兄様にふさわしい剣なのです。
ウエイン様は両手剣。
文字通り片手ではなく両手で持つことを想定して作られたその剣は、普通の剣より少し長く太い。いわゆる持ち手のリーチを致して活かして戦う威力重視の剣なのです。
身長もあり、腕力もあるウエイン様に向いている剣ですね。
アイク様が愛用されいるのは、片手剣。
これはいわば万能型。スピード、パワー、リーチをバランスよく兼ね備えております。
全てにおいて器用にこなされるアイク様に向いた武器といえましょう。
ティムが今回使用するのは、タガーと片手剣。
これまでお家で習っていたのは片手剣なのだそうで、ウエイン様からの「お前は身長もあるから、自分よりも小さな相手に懐に飛び込まれやすい。そう言ったときに備え短剣も使うべきだ」というアドバイスがあったからなのですって。さすがウエイン様!そういう武術系のアドバイスは的確ですね!
二本使いはまだまだ慣れないけど、頑張ってみるのだそう。
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