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1幸せになりたい

「あれ、ダイヤだよね。いつ見てもかっこいいわあ」

「だよね、だよね。私の一番の推しだよ」

「わかる、私もダイヤ推し」


 駅の街頭広告には、私の弟でモデルの「ダイヤ」がアップで映されていた。時計の広告だが、腕に着けた時計を自慢げに披露している彼は、とても魅力的に見えた。


 弟は吊り気味なアーモンド形の瞳が印象的なイケメンだ。私も同じような顔だが、自信のありなしでこうも印象が変わるのか。明るく自信にあふれた弟と自信がなく暗い姉。性格は正反対で、写真にもそれは反映されていた。


 街頭広告の前には、女子高生らしき数人がスマホで弟の写真を撮っていた。そのほかにも立ち止まって眺める人や、女子高生たちのように弟の名を口にして通り過ぎる人がいる。


 彼らの様子を眺めながら考える。私も仕事を続けていたら、他人からこのような賞賛を受けて居ただろうか。今更そんなことを考えても仕方ない。私にモデルは向いていなかった。


 弟のファンたちは、彼の姉が自分たちの近くを歩いているとは思わないだろう。私は、弟を褒め称える集団がいる場所を通り過ぎ、駅構内の改札口に向かって歩いていく。


 今日はマッチングアプリで知り合った彼との2回目のデートだ。インドアで内気な性格の私にとって、久々の彼氏だ。デート場所は水族館で、その後は予約したイタリアンのレストランで夕食の予定となっている。


(私だって、弟みたいにリア充してやる)


 弟はモデルという華やかな職業をしながらも、相思相愛の恋人がいて、会うたびに幸せオーラをまき散らしている。そして、最近では私の心配までしてくるおせっかいな弟と化していた。そんな弟の心配を晴らして、さらには羨ましいと言わせるためにも、私はこのデートを完遂して、彼とお付き合いする。そして、幸せな恋人生活を送るのだ。



「こんにちは」

「やあ、真珠しんじゅさん、今日もよろしくお願いします」


 水族館までは電車を使う予定だった。そのため、待ち合わせは駅の改札口と決めていた。待ち合わせ時間より10分程早く到着した私だが、すでに相手は改札口近くの柱に寄りかかって待っていた。高身長でひょろっとした彼は人込みの中でも発見しやすい。顔は目が細めでお世辞にもかっこいいとは言えない容姿だった。それでも、私は彼を気に入っていた。


 私が来たことに気づいた相手は、にっこりと微笑んだ。それに対して、私もモデル時代を思い出し、なるべく自分が一番魅力的に見える笑顔を作り、微笑み返す。


 マッチングアプリで知り合った彼は葛谷真くずやしん、32歳。私より3歳年下だ。私は今年で29歳になり、来年は三十路となる。弟の事もあるが、30歳という節目の年までに、何とか恋人を作りたかった。


 幸せな恋人生活を送り、最終的には結婚までたどり着ければ文句なしだ。そう考えた私は、覚悟を決めてマッチングアプリに登録した。


 彼の他にも2人ほどマッチングして実際に会ってみたのだが、どちらも私の容姿ばかり褒めてきて、私の内面を知ろうとしなかった。挙句の果てに1人目は、私の暗い性格を知り、容姿はいいのに性格で損しているね、という始末。2度目のデートは私の方からお断りした。2人目も似たようなもので、私の性格を知り、明らかにがっかりしたような表情をしたので、こちらも2度目はないとお断りした。


 こうして、マッチングアプリをあきらめかけていた時に、ようやく容姿だけでなく、私の性格まで見てくれる今の彼と出会えた。


 男性は年下が好きかと思ったが、彼はそうではないらしい。容姿、そして年齢だけを見て判断する男ではなくて、少し安心した。

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