表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ

 ーー負傷し、重くなった体で僕は歩いた。


 或る方角の空には無数の魔法陣が浮き上がる。

 また、或る方角の空には何かが炸裂し夜空を埋める。

 今が夜だと忘れるほどの輝きだった。


 辺り一帯からは様々な音が届く。

 怒り悲しみ痛みによる人々の叫び声。

 魔術や銃声、爆弾などによる炸裂音が轟く。

 街は壊れ草原は焦土と化す。


 戦争は(むご)い。ただそれだけだ。


 ◆◇


「あぁ…また…また…ダメだった…。」

 下を見つめ僕は崩れ落ちた。

 目の前には一人の女性が倒れていた。

 その姿は、あまりにも残酷だった。

 服は焼き焦げ、体は爆風によりボロボロに傷つき血が流れていた。

 僕は彼女を抱きしめる。

 涙雨。大粒の雨が僕らを打ち付ける。


「……ーーー」彼女の口が動く。

「いま…回復…魔術を…」

「だい…じょう……ぶだ…よ…」声は擦れ震えていた。

「……?」呆気にとられ声が出なかった。

「いいの……もう…間に…合わない…から…。」

「そんな……」

 彼女の口元が綻び

「せい…と…あい……して…る…」伸ばした手は僕の顔の目の前に来て触れることなく力尽きた。


 雨音などのノイズは僕には届かなかった。


 どこからか足音がした。

 泥濘(ぬかるみ)を駆ける音。

 そして、声が聞こえた。


「居たぞ!こっちだ!」

「あのケープ…ミドラスの」

 武器を所持した兵士が僕らを包囲するように近づく。

「銀髪…あいつは!」

「厄災だ!ここでやつを仕留めれば、俺たちは英雄になれるぞ!」

「いいか!やつが弱ってるからといって油断するな!一斉にかかるぞ!」

 兵士が駆け出す。


「はぁ……。」虚ろな顔を上げ奴らを見た。

「消えろ…。」

 ㇷ゚シュンッ!

 なにかが風を切る音と共に兵士の上半身が飛び、周りの兵士も次々と倒れて行った。

 僕の周りに赤色の雨が降り出す。


 邪魔者が消え再び彼女をみる

「ごめん…。三葉(みつは)…。また…僕は……。」

「……あ?…また?…そうだ…戻ろう…過去に…僕になら…できるはず…やり直そう…」

「あ…でも魔術の代償が…代償…代償…あぁ代償は敵の命だ!」

 精神は壊れ奇妙に笑いながら僕は立ち上がり、敵を目指し歩きだした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ