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純情恋模様  作者: karinko
8/78

★4話 勉強★響side

それからも毎日のように望月はオレに話しかけてきた。


そしてオレは無視せずにそれに少し答えるようになっていた。


そんなある日。


「滝沢サンっ!あの、お願いがあるんですけど!」


望月がそうとう深刻な顔をして言った。


「…何??」


「私に勉強を教えていただけませんか??」


「…なんで??」


なんでおまえに勉強教えるなんてめんどくせーことしなきゃいけねぇんだよ…


「なんでって…来週テストだからですよ!私全然勉強していなくて…1人じゃ間に合いませんよ…」


「嫌」


オレは間髪を入れずに言った。


望月はあからさまにショックな顔をした。


…こいつ、おもしろいな。


「そ、そんなこと言わずに!私を見捨てないでください!!」


涙目でそう言ってくる。


かなり必至だ。


…なんでいちいち涙目になるんだよ。


そんなになられたらこっちも断るに断れねぇだろ…


オレはため息をついた。


「はー…分かったよ…」


「ほんとですか!?」


望月の顔がぱぁぁっと明るくなった。


こいつ感情が思いっきり顔にでるタイプだな。


「で、どこですんの??」


まさか放課後教室で、とか言うんじゃねぇだろな。


「えーっと…それじゃぁ放課後に教室でしますか??」


そのままのこと言ったし…


こいつ、どんだけ予想内の人間なんだ…


「ダメだ」


「えっ?どうしてですか??」


「なんでも」


…教室だったら誰かに見られたら変に思われるかもしれねぇだろ…


けどそれはあえて言わなかった。


そしていろいろと話した結果、駅の近くのフレンドリーですることになった。


…ったく、なんでオレが勉強なんか教えなきゃいけねぇんだよ。


面倒くさい…


オレは大きなため息をついた。




そして下校時間。


オレは望月によるところがあるといって先に行っているように言った。


…やっぱり教えるからにはしっかり教えないとな。


とりあえず本屋で問題集でも買っていくか。


オレは学校の近くで適当な問題集を買っていくとフレンドリーに向かった。


「あっ!滝沢サン、こっちです!」


店に入るとすぐに望月によばれた。


望月はすでに教科書やノートを開いていたが、何かをしていた様子はない。


「何してたんですか??」


「ちょっといろいろ買ってたんだ」


オレはそう言って袋の中から問題集をとりだした。


望月はそれを見て目を見開く。


「あの…お金、払います」


そしてそう申し訳なさそうに言った。


「ああ、いいよ。オレ結構金持ってるし」


オレ、あんまり使うことないからな。


「で、でも!」


それでも望月は引こうとしない。


「それじゃぁ、ドリンクバーおごって」


「は、はい!」


とりあえずどうでもいいことをおさえたオレはまず数Ⅰの問題集をぱらぱらと見た。


うーん…


とりあえず実力がどれだけあるか確認するか。


そう思い、はじめのページの中学の復習のページを開いて望月に渡した。


「とりあえずここやってみて」


「は、はい!」


望月は大きくうなずいて筆箱からシャーペンをとりだした。


そして真剣な顔で問題を睨みだす。


…まっ、これくらいならすぐできるだろ。


そう思いながら、オレは望月が問題を解くのに集中している間にドリンクバーをとりにいった。


そして約20分後。


まだできたと言ってこない望月にしびれをきらして、オレから聞いてみた。


「そろそろできたか?」


「はい…少しは…」


「見せろ」


オレは望月に渡された問題集をざっと見てみた。


驚くことに…


ほとんどが間違っている。


というか空欄が驚くほど多い。


「おまえ…全然できてねぇじゃん…」


これ、中学の復習だぞ…??


こいつ、本当にこれでこの高校に受かったのか…??


「す、すいません…!私、勉強したその日は覚えられるんですけど、少し日がたつとすぐに忘れてしまって!!」


「とりあえず答え合わせするから…」


望月の言い訳を無視して、オレは赤ペンをとりだした。


そして答えを見ながら丸をつけていく。


…思ったよりもチェックの数が多いな。


これは以外と教えるのが大変そうだ…


オレはそれを望月に見せた。


望月はそれを見て目を見開く。


「…こころなしか、丸が少なすぎる気がするんですけど…」


「それがおまえの実力だ」


望月はかなりショックな顔をしている。


…大丈夫なのか??


「まぁ、間違えてるところ解説してやるから…これでも飲んで落ち着け」


オレはそう言ってさっきついでに入れてきたココアを望月に渡した。


「えっ?いつの間に…」


望月が驚いた顔をする。


「お前が問題といてるとき」


望月は納得したような顔をしてカップに口をつけた。


「…おいしいです」


そして小さな声でそう言う。


「そう」


別にオレがつくったわけでもないし、ついでにいれてきただけだが、


望月の感想が素直で、それが『ありがとう』と言っているように聞こえて、


なんとなくオレは笑顔になった。


「それじゃぁこの問題だけど…」


オレは望月が間違えた問題を指してできるだけわかりやすいように説明した。


基本から説明しないとこいつ理解しなさそうだからな…


そう思い気を使いながら説明していると、なぜか視線を感じた。


なんだ?と思い、顔をあげると、望月がじっとオレの方を見ている。


…全然聞いてねぇし。


「…何見てんの??」


オレがそう言うと望月ははっとして、慌てて言った。


「い、いえ!なんでもありません!」


「…そう。おまえ、全然できてねぇんだから集中して聞けよ??」


せっかく人が頑張って教えてやってんだから…


「は、はい!」


望月はうなずくと今度は熱心に聞き始めた。


オレはまた望月がぼーっとしないように様子を見ながら説明することにした。


そして解説を終え、他にも問題をやらせて説明したりしているうちに、いつの間にか6時半を回っていた。


「あー…もうこんな時間か」


「私、そろそろ帰らないと…」


あ…


そうだよな。


一応望月は女なんだし遅くなると怒られたりするか。


でもこのままじゃとても間に合わないしな…


オレは問題集をぱらぱらと見て、望月が1人でできそうなところに付箋をはさんだ。


「それじゃ、これ家でやってて」


望月に渡すときょとんとした顔でオレを見てきた。


「明日までの宿題だから」


「へっ?宿題…ですか??」


「ああ。おまえ、かなりやばいから。テストまで毎日やるぞ」


途中で投げ出すのもあれだからな。


こうなったらオレが絶対にせめて平均点はとらせてやる。


オレは勉強しなくても大体大丈夫だし。


でも望月は少し迷うような表情を見せた。


…多分オレに迷惑がかかるとか考えてんだろな。


「そうしたらドリンクバー、問題集代においつくんじゃねぇの?」


そう言うと望月ははっとした顔をした。


「…はい!よろしくお願いします!」


そう言ってオレにぺこりと頭を下げる。


それからオレは毎日望月に勉強を教えた。


望月はだんだんと頭に入ってきたようで、最後には大体の問題は解けるようになっていた。


そしてテストの日。


「とりあえず、平均はとれると思うから」


始まるまえにとりあえずそう言っておいた。


さて、どんな問題がでるか…


テストが配られて、オレはざっと問題を見た。


…結構応用が多いな。


まぁ、ぎりぎり平均点とれるんじゃねぇの??


そう思いながらオレは楽々と問題を解いていった。


テストが終わったあと、燃え尽きたような様子の望月に声をかけた。


「どうだった??」


「あ、はい!おかげ様でとりあえず全部埋めることができました!ありがとうございます!」


全部埋められたのか。


こいつにしてはすごいじゃないか。


「ふーん。まぁ…頑張ったな」


オレは軽く笑って言った。


望月はなぜか驚いたようにオレを見る。


そしてにこっとオレに笑いかけた。


「何?」


いきなり…


なんか怖いぞ…??


「なんでもありませんよ!」


望月はそう言ってまた笑った。


ドキッ


心臓が少し強く脈打った。


…??


なんだ??


理由を考えようとして止めた。


…まぁ、どうでもいいか。


とにかくなんかオレまで疲れた…


最近は望月を教えてばっかであまり休めなかったからな。


今日は家でゆっくりとしよう…

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