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純情恋模様  作者: karinko
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★33話 もう一度★響side

目が覚めた時、オレはあの暗闇の中にはいなかった。


初めに視界に映ったのは見なれたはずの天井。


だけどずいぶんひさしぶりに見た気がする。


上半身をおこしてまわりを見回してみると、そこはたしかに自分の部屋だった。


…オレ、家に帰ってきたんだな。


ぼんやりとそう思ってみたが、あまり実感がわかなかった。


とにかく頭がぼーっとしていてうまく機能しない。


しばらくぼんやりとしていると、ドアが開く音がした。


それと同時に一樹の声が飛び込んでくる。


「兄ちゃん!目覚ましたのか!?」


「…一樹?」


一樹も…


なんかひさしぶりに見た気がするな……


一樹は突然慌てたようにポケットからケータイをとりだしながら部屋をでた。


…何しにきたんだ?あいつ…


まぁいいか。


そういえば、学校行ってない間の勉強遅れてるよなー……


けどなんかやる気でねぇや……


いつもなら暇つぶしな感じでやんのになぁー……


いや、別にそんなんしてるからえらいって言いたいわけじゃないけど。


でもこの調子じゃ今度の期末やばいかもなー…


その前に中間受けてない気がするし…


と、そんな風なことをぼんやり考えていると……


「響くん…」


ドアがあいて、詩織の声が耳に入った。


詩織…??


いや、聞き間違えか…


詩織がオレのとこに来るわけねぇし……


ぼんやりと声のした方を見る。


そこには本当に詩織がいた。


驚いて、慌てて詩織から目をそらす。


なんで…


なんで詩織がオレなんかの所に…


一気に頭がさえたような気がした。


そうだ…


オレが今ここにいるのは…


暗闇あのへやに詩織がきてくれたから……


あんな危ない場所に…


今まで頭の隅にあったことが頭の中心に戻ってきた。


「…何できたんだよ」


「何でって…響くんが目を覚ましたと聞きましたから…」


ぼそっとつぶやくと、詩織がきょとんとした調子で返す。


違う。


何で今詩織がオレの所にいるのかもわかんねぇけど…!!


オレは強く詩織を睨んで怒鳴った。


「違う!何でわざわざ桜井の家まできたのかって聞いてるんだ!」


オレのことなんかどうだってよかったのに…!


もしおまえが危険な目にあったらどうしてたんだよ!?


詩織はビクッと体を震わせた。


「おい、兄ちゃん!せっかく望月センパイがきてくれたのに何だよ、その態度!!」


一樹が詩織をかばうように言った。


「おまえは黙ってろ!」


大体なんでおまえは詩織を止めなかったんだ!?


詩織と付き合ってたんじゃないのかよ!?


本当に詩織が好きだったんなら…


普通…止めるだろ…


オレは軽く息をついて詩織に向き直った。


「…オレは、もうおまえとは何の関係もないんだぞ?」


「…どういう…ことですか…??」


詩織は少し驚いたように言った。


少し言葉につまる。


オレは少し目を伏せて言った。


「だから…オレとおまえはもう別れたんだ。別に特別な関係でも何でもない」


それで…


オレはおまえを傷つけた。


おまえを誰かに傷つけられるのを見ていることしかできないでいることが怖くて…


結局オレは……自分でおまえを傷つけたんだ。


「……!!」


詩織はあらかさまにショックをうけたような表情をした。


しばらくの沈黙のあと、小さな声で言う。


「何の関係もないなんて…そんなことありません…」


……??


何が言いたい…??


そう思い、目をあげる。


詩織は少し頬を染めてしぼりだすように言った。


「私はまだ、響くんのことが好きなんですもの…!!」


……!!


す…き…??


詩織が…


オレの…ことを…??


オレはおまえを傷つけたのに??


いいのか??


こんなオレでも…


…いや。


オレはうつむきながらつぶやいた。


「……おまえ、オレのせいで嫌な思いさせられてたんだぞ??」


詩織は…


オレのせいで桜井に嫌な目に合されてたんだ。


間接的にでも、オレが原因だからオレのせいだ。


「違いますよ!響くんのせいなんかじゃありません!」


詩織は慌てたようにそう言ってくれた。


その言葉が余計にオレが悪いということをオレに意識させる。


「違う、違う…オレのせいだ…オレのせいなんだ……」


オレが全部、全部悪いんだ。


全部オレのせい。


オレは詩織のそばにいてはいけない。


オレがそばにいたら…


詩織は……


なぜか無意識に体が震える。


詩織が…傷つく。


オレのせいで…


嫌だ…


怖い……


詩織が傷つくところを見るのは怖い……!!


不意に手が誰かの手で優しく包まれた。


「違います…響くんは悪くありません」


優しい詩織の声。


オレははっとして顔をあげた。


「…ごめん」


何考えてんだろ、オレ。


自分で詩織を傷つけといて…


何が『怖い』だよ……


………好き、か。


オレはじっと詩織を見た。


詩織が…


まだ、オレのことを好きでいてくれている。


それならまた…


オレは詩織と……


……いや。


甘いことを考えちゃダメだ。


「…オレに、おまえに好きっていってもらう資格なんてない」


オレは詩織に好きって言ってもらえる程大した人間じゃないんだ。


オレは絶対に詩織につりあってなんかいない。


詩織はオレなんかよりも……


パシッ!


突然頬に鈍い痛みが走った。


……!?


驚いて詩織を見ると、詩織は瞳を潤ませながら怒鳴った。


「そんなこと、勝手に決めないでください!」


…詩織??


「資格とか…そんなの関係ないです!私は響くんが好き!それのどこがいけないんですか!?」


「………」


オレは何も答えられなかった。


詩織がそこまでオレを想ってくれているというのは素直にうれしい。


どこがいけないかと聞かれても……


そんなのは、ありすぎて答えられない。


「…私、もう一度響くんとお付き合いしたいです」


詩織は小さな声でぽつりと言った。


………


オレだって…


また詩織のそばにいたい。


でも…


「でもオレは……」


オレは詩織のそばにいちゃいけないんだ……


オレは弱いから……


また詩織を傷つけるようなことがあるかもしれない……


「…無理にお付き合いしたいとは言いません。響くんが本当に私に飽きてしまったんなら、それはそれであきらめます。だから……」


詩織は少しためらうように言葉をつまらせた。


ほんの少しの間のあと、口を開く。


「だから、響くんの気持ちを教えていただけませんか??」


………


……オレの…気持ち……


オレの気持ちは決まってる。


オレが詩織に飽きるわけない。


オレの気持ちが変わるはずない。


「…オレは」


次の言葉がでてこない。


いや、言うのが怖かった。


だけど…


詩織はこんなオレと付き合いたいって言ってくれてる。


オレのことを好きって言ってくれてるんだ…


「オレも、詩織が好き」


こんなに人を好きだって思ったのはおまえが初めてなんだ。


それまでそんなの全然興味もなかったのにな。


だから…


またおまえを傷つけてしまうことがあるかもしれないと分かってても…


どうしても…


そばにいたい……


「それじゃ、私とお付き合いしていただけますか…??」


詩織の頬には涙が伝っている。


だけどうれしそうな笑顔。


「…ああ」


オレもうれしくなって笑顔になった。


「良かったじゃん!一件落着って感じだな!」


突然明るい声がした。


…なんだよ。


このいい雰囲気のときに空気読めない奴だな…って、


「か、一樹!?」


そ、そういえば一樹って最初からずっといたような……


「なんだよ?オレの存在忘れてたってわけじゃないよな?」


…完全に忘れてた。


もうなんか詩織のことで頭いっぱいになってたし…


正直一樹なんて目に入らなかったな……


「…まぁ、いいけどさ。どうせ2人の世界だったもんな」


一樹はすねたように口をとがらせた。


……おまえは子供か。


「そ、そんなことないですよ!私は忘れてなんかいませんでした!!」


詩織は慌てたようにフォローした。


…いや、絶対詩織も忘れてたと思うけど。


「そういえば、兄ちゃん学校どうすんの?あの桜井ってやつ同じクラスでちゃんといけんのか??」


一樹は突然話を切り替えてオレに尋ねてきた。


「…それは」


そうだ…


オレってたしか桜井と同じクラスだったんだよな…


それで目つけられたんだった。


考えるだけで寒気がする。


あの暗闇でのことが頭の中にフラッシュバックした。


「いきなりは無理…だと思う。オレ、あいつ見たら普通じゃいられない気がする……」


…もしかしたらおかしくなるかもしれない。


まず確実に勉強どころじゃなくなると思う。


「響くん……」


詩織がオレの名前を呼ぶ。


………


詩織に余計な心配はさせたくないけど……


でも、どうしても無理だ……


正直に言うと、オレはあいつが怖い。


あいつは何をするかわからないから。


もちろんオレ自信に対して……


それに…


詩織に対して……


ふいに詩織がぎゅっとオレの手を握った。


「…大丈夫です。響くん」


独り言のような言葉。


それはなぜか妙に力強かった。


そして詩織の表情がいつになく真剣な表情で……


少し、嫌な予感がした。


だけどオレはあまりそのことは気に留めずに、また詩織のそばにいれる幸せをかみしめていた。

暗い…

なんか最近響が暗いです……

こんな子でしたっけ??

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