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純情恋模様  作者: karinko
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☆33話 もう一度☆詩織side

響くんは丸一日眠っていたらしい。


一樹クンに響くんが目を覚ましたと連絡をもらって、私はすぐに響くんの所にかけつけた。


「あ、望月センパイ!どうぞ入ってください!」


一樹クンに迎えてもらって、響くんの部屋につれていってもらう。


響くんはぼんやりと私を見てすぐにそっぽを向いてしまった。


「響くん…」


私が響くんのそばに行くと、響くんはぽつりと言った。


「…何できたんだよ」


「何でって…響くんが目を覚ましたと聞きましたから…」


私がそう答えると、響くんはきっと私を睨んで怒鳴った。


「違う!何でわざわざ桜井の家まできたのかって聞いてるんだ!」


ビクッ!


思わず体が震える。


「おい、兄ちゃん!せっかく望月センパイがきてくれたのに何だよ、その態度!!」


一樹クンは私をかばうように言った。


「おまえは黙ってろ!」


だけど響くんの一言でピタリと黙り込む。


響くんは私に向き直った。


怒鳴られる……!!


そう思って思わず目を固くつぶる。


「…オレは、もうおまえとは何の関係もないんだぞ?」


だけど、響くんはため息まじりにそう言っただけだった。


え…??


何の関係もないって…


「…どういう…ことですか…??」


響くんは少し目を伏せて言った。


「だから…オレとおまえはもう別れたんだ。別に特別な関係でも何でもない」


「……!!」


そ、それはそうです……


だけど…


「何の関係もないなんて…そんなことありません…」


だって…


たしかに私は響くんにふられちゃいましたけれど……


私はまだ……


「私はまだ、響くんのことが好きなんですもの…!!」


まだ好きだから…


好きだから、怖くっても響くんのためにがんばったんです…!!


響くんは驚いたように大きく目を見開いた。


そしてうつむきながらつぶやいた。


「……おまえ、オレのせいで嫌な思いさせられてたんだぞ??」


「違いますよ!響くんのせいなんかじゃありません!」


私は慌てて反論した。


だって響くんは何も悪いことしていないじゃないですか!


悪いのは全部桜井サンです!


だけど響くんは顔をあげようとはしない。


それどころか、響くんはカタカタと震え始めた。


「違う、違う…オレのせいだ…オレのせいなんだ……」


何かに取りつかれたようにそうつぶやく。


「響…くん??」


どう…したんですか…??


なんでそんな…


響くんは何も悪くないのに…


「違います…響くんは悪くありません」


私が手を握りながらそう言うと、響くんははっとしたように顔をあげた。


「…ごめん」


響くんは小さな息をついた。


そしてじっと私を見る。


優しい目。


だけど少し悲しそう。


「…オレに、おまえに好きっていってもらう資格なんてない」


……!!


なんでそんなこと……!!


私は思わず響くんの頬を思いきり叩いた。


響くんは驚いたように目を見開く。


「そんなこと、勝手に決めないでください!」


資格があるとかないとかそういうことじゃないでしょう??


そんな響くんの勝手な思いこみでどうして私の気持ちが否定されなくちゃいけないんですか!?


「資格とか…そんなの関係ないです!私は響くんが好き!それのどこがいけないんですか!?」


「………」


響くんは何も答えない。


それが余計に腹が立ち、同時に悲しくなった。


響くんは……


……それでいいんですか??


そんな勝手な思い込みで自分の気持ちを押さえつけてもいいんですか…??


私はきっと、響くんも私と同じ気持ちだと思っていたのに……


「…私、もう一度響くんとお付き合いしたいです」


私はぽつりと言った。


「でもオレは……」


響くんは少し目を伏せる。


それを見て少し不安になる。


もしかしたら響くんは本当に今は私のことが好きじゃないかもしれない…


もしそうだとしたら私のしていることってただの迷惑……


私はぎゅっと拳を握りしめた。


「…無理にお付き合いしたいとは言いません。響くんが本当に私に飽きてしまったんなら、それはそれであきらめます。だから……」


怖い…


本当は、響くんの本当の気持ちを聞くのが怖い…


だけど……


「だから、響くんの気持ちを教えていただけませんか??」


響くんの気持ちが知りたい。


もしそれが悲しい結果になったとしても…


私は響くんの口からちゃんと聞きたいです……


「…オレは」


響くんは少しためらうように口を閉じた。


けど、目をあげて私を見る。


響くんの頬が赤く染まる。


それにかすかな期待を抱く。


ほんの少しの、だけど私にとっては永遠にも感じるほど長い間をあけて響くんは口を開いた。


「オレも、詩織が好き」


………!!


うれしくて、目に涙があふれた。


瞬きするとそれが頬にこぼれおちる。


「それじゃ、私とお付き合いしていただけますか…??」


「…ああ」


響くんは小さくうなずいた。


…すごい。


夢みたいです…


もう一度響くんとお付き合いできるなんて…!!


「良かったじゃん!一件落着って感じだな!」


突然明るい声がした。


驚いて声のした方を見る。


「か、一樹!?」


響くんが驚いたように言った。


そ、そういえば一樹クンずっといましたよね…??


「なんだよ?オレの存在忘れてたってわけじゃないよな?」


少し怪訝そうな顔をする一樹クン。


私は苦笑いする。


…正直忘れていました。


「…まぁ、いいけどさ。どうせ2人の世界だったもんな」


一樹クンはすねたように口をとがらせる。


「そ、そんなことないですよ!私は忘れてなんかいませんでした!!」


慌ててフォローする。


だけど一樹クンはそこまで気にしていたわけではないようで、すぐに話を転換した。


「そういえば、兄ちゃん学校どうすんの?あの桜井ってやつ同じクラスでちゃんといけんのか??」


「…それは」


響くんは言葉をつまらせる。


そういえばそうですね…


響くんと桜井サンは同じクラスですし……


もしかしたらまた響くんに何かしようとするかもしれない…!!


そう思うと、突然恐怖と怒りがわいてきた。


そうだ…


まだ一件落着なんかじゃありません……!!


響くんをさんざんな目にあわせた桜井サンをどうにかしないと…!!


「いきなりは無理…だと思う。オレ、あいつ見たら普通じゃいられない気がする……」


響くんはぽつりとつぶやいた。


「響くん……」


自分でそう言えるだけ……


響くんは桜井サンにひどいことをされたんですね……??


不意に響くんの腕の傷が目に映った。


それが痛々しくって、私は目をそむけた。


あんなにたくさんの傷も…


全部桜井サンにつけられたんですね…??


私はぎゅっと響くんの手を握った。


「…大丈夫です。響くん」


響くんをこんなひどい目に合わせた桜井サンに…


きっと、私がもっと恐ろしい目に合わせてあげます。


私は絶対に許しませんから。


桜井サンには…


響くんが傷ついた以上に傷ついてもらいます。

最後の詩織が少し怖いです(-_-;)

それに前の話が長かったので少し疲れて短い話に。

あと、そろそろ受験勉強を始めますので少し更新は遅めになると思います…(*_*;

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