☆25話 隠し事☆詩織side
「ど、どうしたんですか…!?一樹クン……」
始業式の次の日。
私は一樹クンを見て絶句した。
「んー…ちょっといろいろありましてね」
そう言って笑う一樹クン。
「大丈夫じゃないですよ…すっごいケガしてるじゃないですか……」
一樹クンの顔や手足にはたくさんの絆創膏やシップが貼られていた。
どうみても大ケガです……
「大丈夫ですって!心配しないでください。じゃ、オレ彼女待たせてるんで」
一樹クンはそう言って生徒玄関前で待っていた女の子の方に走っていった。
だけどやっぱり、その走り方はぎこちない。
一樹クン、何があったんでしょうか…??
私はぼんやりと思いながら隣にいる響くんを見た。
響くんは険しい顔で一樹クンの後ろ姿を見送っている。
「一樹クン…昨日何があったんですか??」
もしかしたら響くんなら知ってるかもしれない。
そう思って私は響くんに尋ねてみた。
響くんは私を見て、曖昧に笑う。
「ん…ちょっとな…」
曖昧な返事。
そんなんじゃ分からないですよ…
私はなんとなく、響くんと一樹クンが何かを隠している気がした。
「ちょっとじゃないですよ…。響くん、何があったか知っているんでしょう?」
「……大したことじゃないから」
大したことじゃないって…
「一樹クンがあんな大ケガしているんですよ?十分に大したことですよ!」
響くんは何も言わず、ただ私を見つめる。
本当に、言ってくれるつもりはないようです…
そこまで私に言えないことって…
何なんでしょうか…??
私に言えないほど、大切なことなんですか…??
なんとなく、響くんに隠し事をされていることが、自分が信用してもらえていないようで悲しかった。
「響くん…どうして私には教えてくれないんですか…??そんなに、私って信用ないですか?」
私は少しうつむきながらそう聞いてみた。
「違う…けど、言えないんだ」
響くんは小さな声で言った。
そして突然私を抱きしめる。
驚いて、体が固まった。
顔が一気に熱くなる。
「ひ、響くん…??」
そこは朝、丁度登校してくる生徒が集まる校門前。
こ、こんなところで抱きしめられたら…
校門を通る人の視線が痛い。
顔がさらに熱くなる。
は、恥ずかしいです………
だけど響くんはお構いなしに私を強く抱きしめた。
そして私の耳元でつぶやくように言った。
「…大丈夫だ。おまえは…オレが守るから」
突然の言葉に心臓が強く鳴る。
だけど、うれしいという気持ちよりも、おかしいと思う気持ちの方が大きかった。
いつもの響くんなら…
人前でこんなこと絶対しないし、こんなこと絶対に言わない……
もしかして、その言葉は響くんのしている隠し事と何か関係があるんですか??
隠し事ってなんですか…??
どうして私には教えてくれないんですか…??
私、うれしいはずのことを言われてるのに…
なぜか悲しいです…
私はそんな気持ちを隠すように、響くんの背中に手をまわした。
その日の放課後。
いつもの帰り道を響くんと並んで歩く。
響くんはやっぱりいつもと様子が違っていた。
険しい顔で、妙に辺りをキョロキョロと見まわしている。
私はふと、朝響くんに言われたことを思い出した。
『…大丈夫だ。おまえは…オレが守るから』
…どうして、響くんは突然そんなこと言ったんでしょうか??
もしかして、私が危ない目にあうような心当たりがあるから??
でも、それをどうして私に言ってくれないんしょうか…??
私は無意識にじっと響くんを見ていた。
響くんはそんな私に気がついて、優しく微笑む。
「どうかしたか??」
その笑顔が作られた物に思えて、なんとなく悲しかった。
「響くん、どうしてさっきからそんなにキョロキョロとしているんですか?何か探し物でも??」
私が尋ねてみると、響くんは少し表情を変えた。
だけどまた、作った笑顔に戻る。
「いや…別に……」
突然響くんが大きく目を見開いた。
??
どうしたんでしょうか…??
不思議に思い、響くんの視線の先を見る。
すると…
「え…??」
すぐ目の前に大きな木の棒が私に向かって倒れ掛かってきた。
ぶつかる……!!
そう思った時。
「詩織!」
響くんが勢いよく私の手を引いた。
私は響くんの胸に倒れこむ。
すぐ後ろで木材が地面にぶつかる大きな音がした。
それを見て思わず蒼白する。
も、もし…
響くんが私の手を引いてくれなかったら…
私は、あの木材の下敷きに……
「大丈夫か!?詩織!!」
「ひ、響くん……」
見上げると、響くんが蒼白して私を見ていた。
「だ、大丈夫ですけど…驚きました…」
私はそばの工事現場を見た。
多分、ここから木材が落ちてきたんだと思う。
もう少しで人に被害があったかもしれないのに、工事現場の人達は謝りもしようとはしない。
「もう…あの工事現場、いったいどうなっているんでしょうか!?」
もう少しで私、下敷きになるところだったんですよ!?
謝るくらいしたっていいじゃないですか!
「そうだな…」
響くんはきっと工事現場の方を睨んで、そして突然目を見開いた。
「…どうしたんですか??」
不思議に思って尋ねてみると、響くんはまた作った笑顔を私に向けた。
「…別に。…大丈夫なら早く帰ろうか」
「は、はい…」
私は怪訝に思いながらも、響くんが一瞬見せた険しい表情にとまどって私はとりあえずうなずいた。
次の日の休み時間。
私のクラスに、突然響くんがきた。
どうしたんでしょうか…??
昼休みと放課後に会う約束ですのに…
休み時間にまできてくださるなんて…
まぁ、私はうれしいですけどね♪
「響くん!どうしたんですか??」
「…悪い。すぐにすむから…ちょっときてもらえるか??」
なぜか響くんは真剣な顔でそう言った。
「??は、はい…」
不思議に思いながらも、響くんについていく。
響くんはあまり人の気配のない廊下で止まった。
しばらく沈黙が続く。
私は怪訝に思いながらもまわりを見回した。
こんなところで…一体何をしたいんでしょうか??
そう思いながら響くんの言葉を待っていると、やっと響くんが口を開いた。
「詩織。…オレ達、別れよう」
「…えっ??」
突然の衝撃的な言葉に、私は耳を疑った。
「今…なんて…??」
「だから、別れようって」
響くんは少し声のボリュームをあげてはっきりと言った。
え……??
別れようだなんて…
そんなの、嘘ですよね??
…そうですよ、きっと冗談ですよ!
響くんは冗談がヘタですね!
「ひ、響くん!冗談はやめてくださいよ!そんなの私ひっかからな「冗談じゃない」
響くんは私の言葉を遮るように言った。
「本気で言ってるんだ」
真剣な声。
冗談なんかじゃない。
響くんは本気で私と別れたいと思っている。
じわっと瞳に温かいものがあふれた。
瞬きすると、それが頬を伝って落ちてくる。
「そんな…突然、どうしてですか…??」
だって、昨日まではあんなに優しかったじゃないですか…
私を抱きしめてくれたじゃないですか…
それなのに…
なんで突然……
響くんは少し言葉をつまらせ、そしてはっきりと言った。
「おまえに飽きたんだよ。一年近く付き合ってるんだぞ?飽きるに決まってるだろ?」
ズキッ
胸に鋭い痛みが走った。
飽きた……??
そんな、理由なんですか……??
響くんにとっての私って…
そんな理由で簡単に別れられるようなものだったんですか……??
……そんな…ひどい…です……!!
涙が次から次へとあふれだして止まらない。
でも…
たとえ響くんの気持ちがそんな小さなものだったのだとしても…
「嫌です…!!別れたくなんかありません!!」
私は響くんに訴えるように言った。
私はまだ響くんが好きなんです…!!
別れるなんて…
そんなの、絶対嫌です…!!
響くんは顔をしかめると、冷たく言い放った。
「…無理だよ。オレ、新しく好きな奴できたから」
「え…??」
私は言葉を失った。
好きな奴って………
響くんが…
私以外の女の子を……??
休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
響くんは何も言えない私の隣を平然と通り過ぎていく。
私も…
はやく、教室に戻らないと……
授業に遅れてしまいます……
だけど、私はそこから動けなかった。
代わりにその場に崩れ落ちる。
響くんは、もう他の女の子を好きになってしまった。
だから私は別れなくちゃいけないんですか??
そして、響くんはその新しい女の子とお付き合いするんですか??
その女の子の言動に、頬を染めるんですか??
その女の子に、優しい表情を向けるんですか??
その女の子に、優しい笑顔を向けるんですか??
響くんは…
違う女の子のものになってしまうんですか……??
そして私はそれを見ているだけしかできない……
ただ、響くんが他の女の子に恋しているのを見ているだけ…
「嫌…嫌…いやぁ……!!」
私の必死に絞り出した声は、誰もいない廊下に響いて、消えた。
別れちゃいました……
でもあんまり表現がうまくないです…
それと話が突然変わりすぎです…(-_-;)