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純情恋模様  作者: karinko
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★24話 新しいクラス★響side

4月になった。


オレ達は2年になり…


クラス替えがある……


詩織とクラス同じだったらいいけど……


オレは心の中でそう願いながら、クラス発表の張り紙を見た。


A組から、並んでいる名前を追っていく。


そしてB組の所で詩織の名前を見つけた。


ああ、詩織はB組か。


オレもB組だったら…


そう思い、B組の場所を探してみる。


だけどそこにオレの名前はなかった。


代わりにB組の下の、C組の所に自分の名前を見つける。


「……C組か」


オレがそうつぶやくと、隣にいた奴が驚いたようにオレを見た。


「えっ…??響くん?」


その声を聞いて、驚いて隣を見る。


視界の中に詩織が映って、オレは驚き少し目を見開いた。


「ああ、詩織。いたのか」


名前探すのに夢中で全然気がつかなかった…


「は、はい…」


詩織は少し怪訝な顔をした。


そしてはっと気がついたように目を見開く。


「響くん、C組なんですか!?」


なんだ、まだ知らなかったのか。


「ああ、ほら、見てみろよ」


詩織はオレが指差した先を見て、はぁと大きなため息をついた。


「クラス…離れちゃいましたね…」


詩織は落ち込んだようにそう言うと、うつむいてしまった。


そんな詩織がとても可愛らしく見える。


オレはぽんっと軽く詩織の頭を叩いた。


「そんな落ち込まなくても……別に、休み時間も、昼も、放課後も会えるだろ?」


オレはそう言って詩織に微笑みかけた。


「で、ですけど…」


だけど詩織は泣きだしそうな顔でオレを見た。


「響くん、あんまり私以外の女の子と話さないでくださいね?」


少し驚き、同時にうれしくなる。


…詩織も、そういうの気になるんだな。


オレはにっと笑った。


「オレは大丈夫だよ。…でも、おまえもあまり他の男と仲良くしたりするなよ?」


「そ、それは当然ですよ!!」


詩織は慌てたように言った。


「そうか?でもおまえ、結構前例あるからな…」


あの幼馴染とかいうやつとも仲良くしてたし…


富岡とも仲良くしてたしな。


そういや橋本と仲良くしてたときもあった。


……かなり不安だ。


「でも!私は響くんだけですから!!」


詩織は顔を赤く染めて言った。


オレも、少し顔が熱くなる。


だけどうれしくて、思わず笑顔になった。


「そう。ならいいけど」


オレだけ、か。


ちょうど一年前は、そんなこと言われるとも思わなかったな。


詩織はオレのこと怖がってたし…


なんだかんだでオレも詩織のことが苦手だったし…


でも、今は違う。


オレは……


「よっ!2人ともらぶらぶだなぁ!!」


聞きなれた声とともに、突然肩を叩かれた。


この声…とかそんな前に、


こんなくだらないこと言うやつは決まってる……


「一樹……」


振り返ると、一樹がオレ達を見てにやにやと笑っていた。


そういや…


こいつもこの高校入ったんだったな…


「ええと…どうして一樹クンがいるんですか??」


詩織は一樹を見て驚いたように言った。


「どうしてって…オレ、今日からここの新1年ですから」


一樹はそう言ってにっと詩織に笑いかける。


「ったく…なんでオレと同じ高校なんか来るんだよ…」


嫌でも家で顔合わせるってのに、学校でまで顔合わせなくちゃいけなくなるだろ……


「可愛い弟に向かってそんな言い方ないだろ?…まっ、そういうことで、よろしくお願いしまっす!望月センパイ!」


「は、はい…」


詩織は苦笑いで返事した。


はぁ…


一樹が同じ高校来るなんてな……


しかも詩織のこと気に入ってるっぽいし……


なんだか面倒なことになりそうだ…。


そう思い、オレは大きなため息をついた。




始業式を終え、クラスでのホームルームが始まる。


「いきなりだが、今日から新しく生活する仲間ができた」


担任が軽いあいさつを終え、突然そう言った。


??


新しく生活する仲間??


それって転校生のことか??


しかし途中から編入できるなんて、相当頭のいいやつなんだな…


オレはぼんやりとそう思いながら、ドアの方を見た。


ガラリとドアが開き、長い髪の女が入ってくる。


「転校生の桜井千里さんだ」


「桜井千里です。みなさん、よろしく」


転校生ははっきりとした声でそう言い、にっこりとほほ笑んだ。


一部の男が歓声をあげる。


まぁ、人よりは結構美人なのかもしれない。


それに、なぜか人と違うオーラがある。


「それじゃあの開いてる席に座って」


「はい」


転校生はまっすぐに開いていた席に向かった。


そしてオレの隣を通るとき……


なぜか転校生がオレの方を見て、にっと笑った気がした。


ぶるっと寒気がする。


…??


今、あいつオレの方見た??


…いや、気のせいか……


と、その時はそんな風に少し変な感じがしただけだった。


だけど、ホームルームが終わったあと…


「滝沢クン!また同じクラスだね!」


笹川が笑顔でオレの方にかけよってきた。


「詩織とは離れたけどな」


オレはぶすっと言った。


笹川は苦笑いする。


「あらら…でも大丈夫だよ!私と大河に比べたらマシじゃない!私達なら学校も違うんだよ?」


ああ、そういや富岡は学校違うんだったな。


……そうだよな。


こいつらと比べたらマシか……


そう思いながらも、小さなため息をつく。


でも、やっぱり同じクラスが良かった…


「ねぇ、あなた」


突然誰かに声をかけられた。


顔をあげると、転校生がオレを見下ろしている。


「…何??」


転校生はにこっと笑った。


「私とお付き合いしましょう??」


「…??」


はっ…??


えっと…


そんなのいきなり言われても……


「そんなの無理だよ。滝沢クンには詩織ちゃんがいるもの。ねぇ?」


笹川が顔をしかめて言った。


「ああ。えっと…オレ彼女いるから。悪いけど無理だな」


転校生は驚いたように目を見開いた。


「この私からお付き合いしたいと言ってあげてるのに…断るの?」


………


オレと笹川は顔を見合わせた。


『この私』って…


少し自意識過剰すぎないか??


たしかに人よりは美人かもしれないが…


そんな良く知りもしないやつにいきなり付き合いたいとか言われてもな……


「ああ、悪いな」


オレは突き放すようにそう言った。


転校生はポカンと口をあけて、不意にくすっと笑った。


「…気にいった」


「……何が??」


転校生はオレの耳に口をよせると、小さな声で囁いた。


「         」


意味がわからなくて、オレは顔をしかめる。


「それじゃぁね」


転校生は満面に笑顔をうかべてオレに手をふり、教室を出ていった。


「滝沢クン、なんて言われたの??」


笹川が顔をしかめて転校生を見送りながら言った。


「別に……」


オレは転校生の言葉を頭の中で思い浮かべてみた。


あれ、多分脅しかなんかで言ったと思うけど…


なんだか嫌な予感がする…




その日の帰り道。


オレは校門の前でぼんやりと詩織を待っていた。


少しして、詩織がオレの方にかけよってくる。


「響くん!遅くなってすいません!」


「ん。じゃ、行くか」


オレはそう言って微笑み、歩き始めた。


詩織もオレの隣に並ぼうとし、ふと足を止める。


「一樹クン、もてもてですねー…」


そしてぽつりとつぶやいた。


オレは足を止めて、詩織の視線の先を見てみる。


そこには数人の女子に囲まれた一樹がいた。


「…ああ、いつもあんな感じだよ。言っただろ?あいつ女好きだから」


外で一樹を見る時は絶対に隣に何人か女がいるからな。


まぁ、高校入って一日目でいきなりあんなに囲まれているのには少し驚くけどな……


オレは一樹から視線をそらしてまた歩き始めた。


詩織が小走りでオレの隣に並ぶ。


そしていきなりオレに向かって笑いかけてきた。


「何??」


何も言わずにオレ見て笑われても…


「いえ。響くんって本当にきれいだなって思って」


詩織は笑顔で言った。


思わず顔が熱くなる。


だから、なんでいつもそんなにストレートに言うんだよ…!!


「いきなり…なんだそれ…」


詩織はオレを見てくすっと笑った。


そして少し頬を染めて言う。


「ねぇ、響くん。私、響くんが大好きですよ?」


顔がさらに熱くなる。


だから……


なんでもない時にそんな風に言われてもだな……!!


…………


「…オレも」


オレは小さな声で言って、うつむいた。


ダメだ…


オレってなんで一言言うだけでこんなに恥ずかしいと思ってしまうんだろう…


…まぁ、いいか。


そう思い、オレは小さく微笑んだ。




詩織と過ごす幸せな時間。


オレはそれに夢中になりすぎて、あの転校生のことなんてすっかり忘れていた。


オレは何も知らなかったんだ。


この時こそが、オレが素直に詩織を好きでいられる最後の時間だったなんて…

やっと考えてた話のところまできました!

そしてこれからしばらく響sideはなくなります(-_-;)

響sideも書いてたら、謎(?)も何もなくなってしまいますので…

ということで、しばらくは詩織sideだけになると思います!((多分


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