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純情恋模様  作者: karinko
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☆3話 本音☆詩織side

朝の通勤ラッシュ時。


私は電車の中で1人ため息をついていた。


『あ、あの…私とお友達になってくださいっ!』


昨日、私はそう言って滝沢サンとお友達になることに無事成功しました。


だけど…


どうすればいいんですか??


普通お友達になったら何をすればいいんでしたっけ…??


いろいろと考えてみる。


えっと…


まずは休み時間に話すことでしょ?


あとはお昼休みにご飯を一緒に食べるとか…


…滝沢サン相手に私がそんなことできるでしょうか??


………いやいや!


できますよ!やってみますとも!


私はやればできる子なんですから……!


…とりあえず滝沢サンに新しいお友達ができるまで、頑張ります!


そう思いガッツポーズをしようとすると、


ドンッ!


鞄が前の人に当たってしまった。


「あっ、すいません!」


ぺこりと頭を下げる。


「ああ、大丈夫で…」


前の人の声が突然止まる。


…あれ?


どこかで聞いたような声ですね…??


私は顔をあげて、そして思わず固まってしまった。


「た、滝沢サンっ!!」


目の前に驚いて顔をゆがめている滝沢サンがいた。


滝沢サンは一歩後ずさりするが、電車の中は満杯状態で動けない。


「「………」」


えーっと…


どうしましょう…


そう思ったときはたと気がついた。


そうだ!


今は良いチャンスじゃないですかっ!


とりあえず何かお話して仲良くならなければ…!!


「…えっと、滝沢サンも同じ電車にのっていたのですねー…!」


「………」


何も答えない滝沢サン。


…こころなしか、また不機嫌そうな顔になったような…


…こころなしか、私を睨んでいるようにも見えますが…


…やっぱり怖いです。


それ以上何もしゃべれないまま、いつの間にか駅についていた。


「「…………」」


当然行くところは同じなのでなぜか私が滝沢サンの後ろをついていく形になる。


…すごく、気まずいです。


と、とにかく!


何か話さなければ!!


「た、滝沢さん!」


勇気をだしてそう言った時、


「…あれ??」


滝沢さんはすでに100メートルほど先にいた。


歩くのはやすぎです…


私は大きなため息をついた。




「…というわけで!お友達になったら普通何をすればいいんですか??」


私は優香ちゃんと楓ちゃんに相談してみた。


「普通って…そりゃ今みたいに話したり、お昼一緒に食べたり、休みの日に遊びに行ったりじゃないの?」


優香ちゃんが頭をひねりながら言う。


なるほど。


大体私が思っていたことと同じですね。


まぁ、休みの日に遊びに行ったりなんてことはとてもできませんが…


「というか、詩織ちゃん。ホントにあの滝沢クンと仲良くするつもりなの??」


私は大きくうなずいた。


「やっぱりずっと1人ってさびしいじゃないですか…ここは隣になってしまった者としてせめてお友達をつくるのだけでも協力してあげたいと思うんです!」


「ふーん…そうなんだ。でもさ、そんな友達でいいの??」


「へっ??」


優香ちゃんの言っていることの意味がわからなかった。


そんな友達って…??


「だって詩織が滝沢クンと仲良くしよって思ってるのってさ。かわいそうだからって理由でしょ?そんな気持ちで友達になんかなれるのかな?って思って…」


「…そうだよね。友達って無理やりなるものじゃないと思うし…」


楓ちゃんもうんうんとうなずく。


「で、でも…」


それでも私が友達にならないと…


滝沢サンは1人なんですもの…


「まっ、詩織がいいならいいと思うけどさっ!ほら、頑張ってしゃべりに行きなよ!」


優香ちゃんがにこっと笑って私の背中をおした。


「えっ?は、はい!頑張ります!」


その日から私は私なりにいっぱい滝沢サンに話しかけるように頑張ったと思う。


休み時間も毎時間話しかけに行ったし、お昼ご飯も無理やり一緒に食べたりした。


滝沢サンと話すのだってまえほど怖いと思わなくなった…と思う。


そんなある日。


「滝沢サン!」


ぎろっと睨まれる。


やっぱり一瞬びくっとしてしまうが泣きそうになったりはしない。


「あ、あの…」


はぁ…


急に滝沢サンが大きなため息をついた。


「…なぁ、おまえってさ」


滝沢サンがじーっと私を見る。


その目つきが怖くて思わず一歩後ずさりすると滝沢サンはまた大きなため息をついた。


「…オレのこと、怖いんだろ??」


ドキッ


何も言い返せなかった。


だって本当のことだから。


「なのになんでそんなにオレにかまうの?」


「それは…」


言ってはいけない。


言ったら滝沢サンが傷つく。


分かってるのに…


やっぱり私は滝沢サンが怖くて…


「滝沢サンがいつも1人だから…」


小さな声で、そう言ってしまった。


滝沢サンの目が大きく見開かれる。


バンッ!


滝沢サンは机を思いっきり叩いて立ちあがった。


クラス中の視線が集まる。


「もうオレにかまうなっ!!」


滝沢サンはそう怒鳴ると教室を出ていってしまった。


「詩織、大丈夫!?」


優香ちゃんと楓ちゃんが私にかけよってくる。


「は、はい…」


気がついたら涙が流れてた。


「ホントなんなんだろうね…せっかく詩織が頑張ってたのに…」


すごく…怖かった。


だから私は泣いてるんですか??


…でも、ならどうして…


私は胸を押さえつけた。


どうして、こんなに胸が痛いんでしょうか…??


「…私のせいなんです」


そう、この痛みはきっと…


私のせいで、滝沢サンが傷ついてしまったから…




次の時間、滝沢サンは授業にでていなかった。


そのあとはきていたけれど、私の方を見ようとはしなかった。


…やっぱり私は滝沢サンに嫌われてしまったのでしょうか…??


そして下校時間。


滝沢サンは用意をすませるとさっさと教室をでてしまった。


私は慌ててそのあとを追いかける。


「滝沢サン!待ってくださいっ!」


そう叫んでも滝沢サンは振り返ろうともしない。


「滝沢サンっ!待って…きゃっ!!」


ガッ!


えっ??


ぐらっと視界が傾く。


地面がだんだんとせまってくる。


ドンッ!


大きな音を立てて私は地面に激突した。


ペトッ。


頬に何か冷たいものがおちる。


な、なんですか…??


触ってみるとそれは白くて固まってて…


って、鳥の…糞ですか??


「ぷっ…」


誰かが噴き出した。


「お、おまえ、なんだよそれ…!!」


「へっ??」


見上げると滝沢サンが私を見て笑いをこらえていた。


カァァァ…


顔が熱くなる。


私は慌てて立ち上がってハンカチで頬をぬぐった。


「い、いえ!こ、これは、そこに大きな石が!!」


どうしましょう…!


せっかく謝ろうとしてたときに…


自分のバカさ加減が恥ずかしすぎます…


「あ、あの…」


今このタイミングでいってもいいものでしょうか??


けど滝沢サンがせっかく止まってくれているんだから…


「さっきはひどいこと言ってすいませんでしたっ!」


私は大きく頭を下げた。


「………」


「私、本当に、滝沢サンの力になりたかっただけなんです…」


滝沢サンはしばらくの間をおいてぽつりと言った。


「…別に、そんなのおせっかいなんだよ」


…おせっかい。


まぁ、そうですよね…


滝沢サンにとったら、私が無理やり話しかけたりしてたのってただの迷惑だったんですよね…


「…でも、」


滝沢サンは一息間をおいてから言った。


「ちょっとは…うれしかった」


えっ…??


驚いて顔をあげる。


「ほんと…ですか…??」


滝沢サンの顔が赤くなった。


それを隠すように横を向く。


「ほんのちょっとだよ!大体オレ1人の方が好きだし!」


そう言って私に背をむけ、逃げるように走っていった。


「まっ、待って…」


私は追いかけようとして、ピタリと止まった。


そして私にだせる一番大きな声で言う。


「明日もまた、お話してください!!」


滝沢サンは少しだけ足をとめて、ほんの小さくうなずいた。


また走り出すその後ろ姿を見送りながら、さっきの滝沢サンの言葉を思い返す。


『ちょっとは…うれしかった』


良かった…


私のしていたことは迷惑なんかじゃなかったんですね…??


自然と笑顔になれる。


もっともっと滝沢サンと仲良くなってみたい。


そう思った。

結構長くなってしまいました…

展開早すぎますかね?

まぁそこはおいといてください(;一_一)

それにしても詩織はかなりドジですねww

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