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純情恋模様  作者: karinko
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☆21話 初詣☆詩織side

「あけましておめでとうございます!響くん!」


「ああ、おめでとう」


響くんはにこりと笑ってそう返した。


今日は1月1日、元旦です!


今から響くんと初詣です。


それにしても……


私はじっと響くんを見た。


「…なんだよ??」


そんな私を響くんが怪訝そうに見る。


「いえ、なんでもないですよ!さぁ、行きましょう!」


「??」


私が歩き始めると、響くんは顔をしかめながらも私の隣を歩き始めた。


新年早々響くんとこうして顔を合わせて、でかけられるなんて私はすごく幸せです!


去年の元旦と言えば、受験のために家族で神社をいろいろ回っていたんですけども…


今年はこうして好きな人と新しい年を迎えられる。


ああ私、本当にあの高校に入ってよかったです…


「響くん、今年もよろしくお願いしますね!」


「ん、ああ」


と、そんな風に幸せいっぱいの気分を満喫しているうちに目的地の神社に着いた。


「人多いな…」


響くんがぽつりとつぶやいた。


たしかにすごい人ですね…


まぁ元旦ですので当然と言えば当然なんですけど…


「なんだかはぐれちゃいそうですね」


苦笑いでそう言うと、少ししてから響くんが私に手を差し出した。


「なんですか??」


「…手」


ぼそっと響くんが言った。


「えっ?」


よく聞き取れなくて、もう一度聞きかえしてみる。


すると響くんは頬を染めて、私を見ずに言った。


「はぐれたらいけないだろ?」


思わず顔が熱くなる。


「…はい!」


響くんのさりげない気遣いがうれしくて、私はにっこりと微笑んで響くんの手をとった。


大きくて温かい手。


はぐれないように、その手をぎゅっと握りしめる。


響くんの赤く染まった頬と、何も話さない沈黙が、響くんの気持ちを表しているようで…


私はあらためて幸せだなと思った。


「滝沢クン!詩織ちゃん!」


そんな時、不意に肩を叩かれた。


驚いて、私と響くんは同時に振り返った。


「さ、笹川サン!?」


そこにはにっこり笑顔の笹川サン。


そして隣には富岡サンがいた。


「なんでおまえらがいるんだよ?」


響くんは顔をしかめてそう言い、ぎゅっと強く私の手を握り締めた。


私もその手を強く握り返す。


クリスマスの時、私達はこの2人のせいでさんざんな目にあったんです。


笹川サンが響くんのことが好きだってことも分かってしまいましたし…


気をつけないと…


そんな風に警戒している私達を見て、笹川サンはくすっと笑った。


「大丈夫だよ、詩織ちゃん!私もう、滝沢クンのこと好きなわけじゃないし!」


笹川サンはそう言って、富岡サンの腕に抱きついた。


「私、今大河と付き合ってるの!」


「…へ?」


私は思わずぽかんと口を開けた。


富岡サンは申し訳なさそうな顔で言った。


「あのときはいろいろとごめんな?なんか詩織ちゃんに嫌なこといっぱいして…」


ふと、富岡サンにファーストキスを奪われたことを思い出した。


たしかに…


嫌なこと、されました…


でも、


「いいですよ。あまり気にしていませんから」


私はにっこりと笑って言った。


たしかにファーストキスを奪われたことはすごく嫌でしたけど…


あれは一方的にされたので、ファーストキスとは言いません!


というふうに、頭の中で整理をつけたので…


あまり・・・気にしていません。


「…それじゃ、今年もよろしくね♪ほら、大河。いこ!」


笹川サンは私達に手をふると、富岡サンの手をひっぱった。


「分かったからあんま引っ張るなよ」


富岡サンは苦笑いしながらも、愛おしそうな目で笹川サンを見ていた。


ふと、富岡サンにどこか暗い部屋に連れていかれた時のことを思い出す。


『…そうか。オレも…そう、なんだけどな』


私が響くんの全部が好きだと言った時に、悲しそうな顔でそう言った富岡サン。


きっと富岡サンはあのとき、笹川サンのことを言っていたんでしょうね。


なのにどうして私のことが好きなふりをしたのか分かりませんが…


『…あいつは、気がついてくれないんだ』


私が眠ってしまう前に聞こえたような、悲しそうな富岡サンの声。


でも、気付いてもらえたんですね。


良かったです…


「望月、オレ達も行こう」


「あ、そうですね!」


私は響くんに手をひかれて、足を進めた。


本当にすごく人が多くて、お参りするまでに40分ほど時間がかかった。


やっとお賽銭箱の前までたどり着き、人ごみにもまれながらお賽銭を投げた。


そして仏像の前で手を合わせる。


ええと…


何をお願いしましょうか?


お願いしたいことがたくさんありすぎて言いきれるかどうか…


私はとりあえず、小さなお願いごとから言ってみた。


「今年こそは響くんに名前で呼んでもらえますように…」


今年こそは、呼んでもらいたいです。


私はちゃんと名前で呼んでいますのに…


何度言っても、響くんは絶対私のことを名字で呼ぶんですもの。


まったく、名字と名前は全然違いますのに!


「…おまえ、願い事って声に出したら叶わないんだぞ?」


隣にいた響くんが小さく笑って言った。


「へっ!?そうなんですか!?」


そ、それは初耳です…


「あと願いは一個までだ。よくばったら叶わないぞ?」


う゛……


そ、それもそうですね…


たしかに、欲張るのはよくないです。


私はもう一度仏像に手を合わせた。


たくさん願いごとがありましたが、一個を選ぶことなんて簡単です。


私の一番の願い事…


……今年も、ずっと響くんと一緒にいられますように……



私達はとりあえず人ごみをぬけてお参りの列の脇に出た。


そして両脇に出店が連なる道を歩く。


「ちゃんと願いは一個だけにしたか?」


響くんにそう問われて、私は強くうなずいた。


「はい!ちゃんと一つだけにしましたよ!」


「何にしたんだ?」


「ええと……『今年も、ずっと響くんと一緒にいられますように』ってお願いしました!」


響くんが少し目を見開いて、頬を淡く染めた。


「…ふーん」


「響くんはなんてお願いしたんですか?」


「さぁ」


響くんはそう言って意地悪く笑った。


「願い事っていうのは人に言っても叶わないんだぞ?」


…えっ??


それじゃぁ…


「私のお願い…叶わないってことじゃないですか!」


そういうことはもっと早く言っていただかないと!


というかそのまえに、どうして私の願い事なんか聞いたんですかぁ~…


私、何も知らないんだから言ってしまうにきまってるじゃないですかぁ…


「…まぁ、そんな願い事ならわざわざ神様にお願いしなくてもいいだろ」


「へっ…??」


響くんは頬を染めて、私から視線をそらして言った。


「そんなのだったら、オレが叶えられるだろ?」


驚いて、思わず目を見開く。


そ、そうですけど…


「で、でも!もし、人に言ってしまったせいで叶わなかったら…」


ぽんっ


不意に響くんが軽く私の頭を叩いた。


「…大丈夫だよ。………詩織」


ほんの、ほんの小さな声で、たしかに響くんが私の名前を呼んだ。


「響くん…今、私の名前…」


響くんはさっきよりも更に顔を赤くさせた。


「ほら、一個叶えただろ!?」


妙に怒ったような声。


こんな風に言うのは、響くんの照れ隠し。


「…はい!」


うれしくて、私は響くんににっこりと笑いかけた。


響くんなら、きっと私の願い事を叶えてくれる。


これから私達におこることなんてなんにもしらない私は、


ただ、響くんがずっと私と一緒にいてくれると、


信じて、疑わなかった。

かなり更新が遅くなってしまいました…

テスト期間中だったんで時間がなかったんです…(-_-;)

そしていきなり年が明けました。

実は早く次の展開に行きたいんですけど、それは2人が2年にならないとできないんですよねー…

だからかなり時間を早く進めると思いますが…

よろしくです<m(__)m>

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