★2話 友達★響side
入学式から一ヶ月がたった。
まぁ一ヶ月がたったといっても、オレにはなんの変化もない。
いつものように一人でぼーっとしているだけだ。
それにしても…
…やっぱり隣から視線を感じる。
入学してからずっとだ。
どうやら隣のやつはオレのことを怖がっているらしい。
オレが少しでも見るとびくっと体を震わせて涙目になって逃げてくし…
ったく、わけわかんねぇやつだな…
…また視線を感じる。
今度は隣じゃなくて結構遠くだ。
ちらりと悟られないように見てみると隣のやつ…望月だったっけな…と、あと2人がじーっとオレの方を見ている。
…なんだよ?
そんなにオレって変な顔してるのか…??
まぁ別にどう思われたって結構だけど。
どうせこれから先、あいつらとかかわることなんてないんだから。
考え事をしているうちにいつの間にかチャイムが鳴った。
…次は国語か。
高校でならうことなんて多分簡単だろ。
適当に聞き流しとけばいい。
その時間、オレはずっとうたたねをしていた。
そしていつの間にか、授業が終わるチャイムが鳴る。
もう終わりか…
以外と短いもんだな…
そう思ってまたぼーっとしようとしていると…
「た、た、た、た、た、た、た、た…滝沢サンっ!」
望月がなぜか声をかけてきた。
「た」どんだけ言うんだよ…
「…何??」
望月はまたなぜか涙目になる。
あー、もう!
なんだよ?こいつ。
そんなにオレと話すのがいやなのになんで話かけんだよ!?
「あ、あの…私とお友達になってくださいっ!」
「…はっ??」
…何言ってんだ?
こいつ、やっぱわけわかんねぇ…
「なんで?」
おまえがオレと友達になってどーすんだよ?
おまえ、オレと全然しゃべれねぇだろ??
「と、とにかく私とお友達になってくださいっ!」
望月はそう言って勢いよく頭を下げた。
…なんで頭下げんの??
「…別にいいけど」
なんか嫌って言うのも悪いし…
どーせしゃべんねぇだろ。
大体オレ、あんまりしゃべるの嫌いだし。
「あ、ありがとうございます!」
望月は驚いたような顔をして、頭を下げた。
「それではよろしくお願いします!」
そう言い残すと望月は逃げるようにさっきの2人のところへ戻っていった。
オレははぁ…と軽いため息をつく。
あいつ…
わけわかんねぇ…
また、高校も中学の時みたいに1人でずっとぼーっとできると思ってたっていうのに…
なんか、めんどくさくなりそうだ…
オレは大きなため息をついた。
この人、視線にかなり敏感ですよね…
それにしても寂しい人だ…
書いててなんだか切なくなってきます(汗