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純情恋模様  作者: karinko
30/78

★15話 宿泊★響side

去年、オレの部屋のクーラーは壊れた。


なのでオレは今、扇風機に座り込んでいる。


「…暑い」


扇風機からくる風は生暖かい。


これ、絶対に扇風機の意味ないだろ…


とにかくオレの部屋は熱中症になりそうなくらい暑かった。


かといってリビングに行くと一樹に怒られる。


…どうやら今、彼女がきているらしい。


一樹の部屋にはクーラーがない。


そしてリビングにはクーラーがある。


…だからってみんなのリビングに彼女を連れてくるってのはおかしいだろ…??


ったく、なんでオレがこんな部屋にずっととじこもってなきゃいけねぇんだよ…!?


ここはオレの家だぞ??


…まぁ、ここにずっといるのも暑いだけだしコンビ二にでも涼みに行くか。


そう思って立ち上がった時、


プルルル…


ケータイの着信音が鳴った。


誰だよ、せっかく人が動こうとしてるときに…


ケータイを開いてみると、画面には『望月』と表示されていた。


慌てて電話にでる。


「もしもし」


『あ、響、くんですか?』


ドキッ


いきなり名前で呼ばれて、鼓動が少し強くなる。


「ああ。なんか用?」


オレはそれを悟られないようにわざとそっけなく言った。


『いや…その…』


望月はとまどっているような声で言った。


『…あの、今日家にお父さんもお母さんもいないんですけど…』


「へー。んじゃ、うるさくなくていいじゃん。よかったな」


オレなんて母親も父親も姉ちゃんも家にいるわけじゃねぇけど、一番うるさい弟がいるんだぞ??


…多分望月はクーラーのきいた部屋でのんびりとしているんだろうな。


いや、オレと同じように扇風機一つで頑張ってたりしてな。


そう思ってオレは小さく笑った。


『だ、だから、今日私の家に泊まりにきませんか!?』


「……え?」


突然の望月の提案に思わず息をのむ。


…こいつ、何言ってんだよ…??


どういう意味で言ってんだ…??


『い、いや!別に変な意味じゃないんですよ!?ただ今日の7時から『本当にあった怖い話』っていうのがあるんですけど1人で見るのは少し怖いなぁ…と思ってですね!』


望月は慌てたようにそう付け加えた。


オレはなぜかほっと安堵する。


…って、安心してる場合じゃねぇだろ。


オレ、望月と2人きりで一晩いられるのか…??


………でもちょっと泊ってみたいっていう気持ちもあったりする。


「…いいよ」


『え…ほんと、ですか??』


望月は驚いたように言った。


「別にオレ、今日も明日も予定ねぇし…」


『…なら、今日の夕方くらいにきてください』


望月はうれしそうにそう言った。


「…分かった」


オレはそう言って通話を切った。


…さて、とりあえず準備でもするか。


そう思い、オレは修学旅行で使ったボストンバックに荷物をつめこんだ。




そして夕方。


オレは5時半ごろに家をでた。


そして電車にのり、6時ごろに望月の家につく。


オレはなぜか緊張しながら望月の家のインターホンを押した。


すぐに望月がでてくる。


「望月?」


「あっ、どうぞ!はいってください!」


望月に手まねきされて、オレは望月の家の扉をくぐる。


「…お邪魔します」


そう言って玄関にあがった。


そしてオレは望月にリビングにとおされた。


その部屋を見回して、思わず感心する。


そこはとてもきれいに片付いていた。


なんか望月の家らしいな…


「あっ、適当に座っていただいて結構ですよ!」


オレの様子を見て、望月はそう言った。


…適当に座れと言われてもだな…


オレは部屋を見回してみた。


部屋の真ん中にテーブルがある。


…あそこでいいか。


オレはとりあえずそのテーブルの前に座った。


さて、これからどうするんだ??


そう思った時。


「あの、いきなりで本当に申し訳ないんですが…私、ちょっとシャワーしてきますね?」


ふと望月が言った。


驚いて、思わず顔が熱くなる。


はぁっ!?


いきなりシャワーって…


い、いや…


別に変な意味で言ったわけじゃねぇよな…


「あ、ああ!いってこいよ!」


…何慌ててるんだ?オレ。


なんかバカみたいじゃねぇか…


「は、はい…」


望月は怪訝そうにそう言うとリビングをでていった。


ふと、時計を見てみる。


時刻は6時くらい。


シャワーするの、ちょっと早すぎじゃねぇか…??


まぁ、人それぞれだから別にいいけど。


とりあえずテレビでも見させてもらうか。


そう思い、テレビをつけようとしたとき、


ガチャ


後ろで扉が開く音がした。


振り返ると、そこには望月の姿。


シャワーするの早すぎるだろ…


「おまえ…早いな」


そう言って、オレはあらためて望月を見た。


望月はいつもは二つにくくっている髪をおろしていた。


その長い黒髪が湿り気を帯びている。


望月の蒸気した頬がなぜか少し色っぽく見えた。


思わず顔が熱くなる。


望月はきょとんとした顔でオレを見る。


こいつ…


無防備すぎるだろ…


オレがこんなやつだったから良かったものの…


もしオレが橋本みたいなやつだったらどうなってたか分かってんのか…??


「私、ちょっと晩御飯の準備してきます!」


望月は急にはっと気がついたように言った。


「え、晩飯くらいオレが作るぞ?」


オレは慌ててそう言った。


泊めてもらうのに晩飯まで用意してもらうのってなんか悪い気がするし…


それにオレ、これでも結構料理できる方だしな。


「いえ、大丈夫です!あとはもう焼くだけなので」


望月はそう言うとさっさと台所に入ってしまった。


…まぁいいか。


せっかく望月がオレのために作ってくれるんだしな。


そう思い、オレは望月が何かを焼く音をただ座りながら聞いていた。


しばらくして、望月が盆をもっていそいそとこっちにきた。


そしてオレの前にハンバーグがのった皿をおく。


望月はそれを自分の前にもおくとテレビをつけた。


「それじゃ、食べましょうか!」


そう言ってにっこりとオレに笑いかける。


「あ、ああ」


オレは軽く手を合わせてから、箸を手にとった。


そして望月がつくってくれたハンバーグを口にはこぶ。


「お味は…どうですか…??」


望月が心配そうにそう聞いてきた。


「…うん。うまいんじゃねぇの?」


オレはそう言って望月ににこりと笑いかける。


すると望月はほっとしたようにオレに笑顔を返してきた。


それから望月は自分の分を食べようとせずに、にこにことオレが食べる様子を見てきた。


…そんなに見られると、食べ辛いんだが…


「…おまえ、食べねぇの?」


「あ!いえ、食べますよ!」


望月ははっとしたようにそう言って、自分の分を口にはこんだ。


ふと、テレビの方を見る。


テレビにはいかにも恐ろしそうな字で『本当にあった怖い話』と題名が映し出されていた。


望月がみたいって言ってたのってこれじゃねぇか…??


「あ、始まったみたいだぞ?」


「え!?」


望月はすばやくテレビに視線をうつした。


そしてわくわくした表情でテレビを食い入るように見つめる。


…こんな怖そうなのみて大丈夫なのか…??


オレはそう心配しながらテレビを見る望月を眺めていた。




そして『本当にあった怖い話』が終わり…


時刻はすでに9時をまわっていた。


ちなみに隣にいる望月はかちこちに固まっている。


「望月、大丈夫か??」


オレは望月の顔をのぞきこんだ。


「は…い…大…丈夫…です…」


望月は固まったままそう答える。


…いや、大丈夫じゃねぇだろ。


大体はじめの話から今までずーっと固まってたし…


オレ、今から風呂はいらしてもらおうかと思ってたんだけど…


こんな望月を一人残してても大丈夫なのか…??


「えっと…オレ、風呂貸してもらいたいんだけど…大丈夫か?」


「ええ、大丈夫です…」


…大丈夫じゃなさそうだな。


まぁとりあえず超特急で入ってきたら大丈夫だろ。


オレはそう思い、荷物から着替えを取り出してリビングをでた。


そして急いで風呂に入り、リビングに戻る。


オレがリビングの扉をあけると、望月がびくっと体を震わせた。


「望月、大丈夫か?」


望月は振り返るとほっと安心したような顔をした。


…多分1人でいたのが相当怖かったんだろうな…


望月を1人で部屋にいさせたのを後悔しながらオレは望月の隣に座った。


望月はなぜかうつむく。


…そんなに怖いのか??


「…おまえ、やっぱりあんな怖いの見ない方が良かったんじゃねぇか?」


あれってオレが見ても結構怖かったし…


『バイオ・〇ザード』でも怖がる望月には少し刺激が強すぎたんじゃ…


「いえ、全然大丈夫ですから!」


望月は顔をあげて笑顔でそう言った。


それを見て少し安心する。


…なんだ、そこまでおびえてるってわけじゃないんだな。


「そうか?ならいいけど」


オレはそう言って望月に笑い返した。


そしてオレ達は少しの間談笑して寝ることにした。


「それでは…おやすみなさい」


「おやすみ」


軽いあいさつをして、望月に言われた部屋に入る。


どうやらこの部屋は望月の母親と父親の部屋らしい。


ベッドはダブルベッドだった。


…望月の母親と父親は仲良いんだな。


そう思いながらオレはベッドに入った。


そして眠ろうとした時…


「響くん!」


急に望月の声がしたかと思うと、部屋の扉が勢いよく開く音がした。


オレは驚いて、上半身を起こして扉の方を見る。


「望月…!?どうしたんだよ??」


「いや…その…やっぱり1人じゃ眠れなくて…」


望月はうつむきながら恥ずかしそうに言った。


「あの…申し訳ありませんが一緒に寝かせていただいてもよろしいでしょうか??」


こいつは…


怖いからって、自分のことを好いている男の隣で寝れるのか…??


本当にこいつは無防備すぎる。


何もしねぇっていう自信はねぇぞ…??


「別に…いいけど…」


「本当ですか??それじゃぁ…」


望月はうれしそうにそう言ってオレの隣にもぐりこんできた。


「ったく…あんなの見るからだろ??」


そう言ってから、望月の顔がほんのすぐそばにあることに気がついた。


顔が火がでそうになるくらい熱くなる。


「はやく寝ろよ…!!」


オレは慌てて望月に背を向けて言った。


そしてオレも早く寝てしまおうと目を閉じてみた。


だけどすぐそばに望月がいると思うだけで、オレは眠りにつけなかった。


…やっぱ、ダメだ。


「望月…」


オレは小さな声で名前を呼んでみた。


返事は返ってこない。


思い切って振り返ってみる。


「……寝たのか」


望月はすでにすやすやと小さな寝息を立てて眠っていた。


そっと、顔を近づけてみる。


このまま襲ってしまおうか…


ふとそんな考えが頭によぎった。


けど、すぐにそんな気はなくなった。


そして望月の髪をなでる。


あどけない、子供みたいな寝顔。


望月が眠っているのを邪魔したくない。


そう思い、オレは望月に背を向けた。


そして目を閉じた時…


「こ…わい…」


後ろで望月が何かをつぶやいた。


振り返ってみると、望月はおびえたような表情をしていた。


ほんの少し、涙が目の端に光っている。


「幽霊が…怖いです…」


望月はまた怯えた声でそう言う。


…さっきのテレビの夢でも見てるのか??


オレはふっと笑った。


そして望月の耳元で囁く。


「大丈夫だよ。オレがいるから」


望月の表情が少し柔らかくなった。


そしてオレがまた望月に背を向けようとした時、


「響くん…好き、です…」


ふいに望月がそう言った。


ドキッ


心臓が強く鳴る。


オレは望月に顔を近づけた。


「オレも…好き、だよ」


小さな声でそうつぶやいた。


そして思いきって望月の瞼にキスしてみた。


顔が熱くなる。


…オレ、何してんだろ??


………まぁ、これくらいはいいよな。


そう思い、オレは目を閉じた。

最後のあたりを書いていたときに急にその内容が全部消えてしまいました…

また一から書くの大変でしたよ…

ちなみに火曜日はパソコンの不具合で更新できませんでした(T_T)

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