☆2話 友達☆詩織side
入学してから一ヶ月がたちました。
私には新しいお友達もできて、ある一点をのぞけばすごく楽しい高校生活です。
…ある一点をのぞけば。
私は気づかれないようにちらりと隣を見た。
あいかわらずムスッとした表情で眉間にしわをよせていらっしゃる滝沢サン。
…どうしてあなたはいつもそんなに不機嫌そうな顔をしているのですか…??
…………っっっっ!!!!!
やっぱり私は必要以上にこの席に座っていたくありません!
私はすばやく席を立って新しくできたお友達の鳥山優香ちゃんのところへ移動した。
「優香ちゃーん!」
「詩織??また逃げてきたの??」
優香ちゃんはあきれたと言わんばかりの表情をする。
「だって…滝沢サンがものすごく怖いですから…」
「えーっ?でも結構かっこいいよ?」
もう一人のお友達の楓ちゃんが話に入ってきた。
「え…」
ま、まぁみなさんから見たらそうなのかもしれませんが…
もう一度滝沢サンの方を見てみる。
わ、私には怖いだけにしか見えません…
「まぁ顔はいいと思うけど…」
優香ちゃんは値ぶみするように滝沢サンを見た。
「なんか…近寄りがたい雰囲気するよね…」
…近寄りがたい、ですか。
たしかにいつも滝沢サンのまわりには誰もいない気がします。
もう入学してから一ヶ月が立ったというのに…
滝沢サンはお友達をつくることもなく、ずっと1人。
…かわいそう、なんでしょうか。
休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。
「あらら、詩織。もう席戻らないとだよ」
「頑張ってねー♪」
頑張ってと言われましても…
私は沈んだ気持ちのまま席に着いた。
その授業中。(ちなみに国語です!)
私はまったく集中することができなかった。
滝沢サン…
ずっと1人でいるなんて、さびしくないんでしょうか??
そんな暗い高校生活でいいんでしょうか??
せめて私だけでもお友達に…
はっ!
いやいやっ!
私がお友達になれるわけないじゃないですかっ!!
私は滝沢さんと話すだけでも泣いてしまいそうになるというのに…
…でも、
滝沢サンが動かないかぎり、お友達なんてできませんよね…??
お友達にはならないけど、お友達をつくるのに協力するというのは…??
…いや、それもダメです。
まず十分に話すことさえできないのに協力なんて絶対無理です!
滝沢サンがお友達を作ろうとしないのが悪いんですからここはほっといたらいいんじゃないですか??
そうです!
ほっときましょう!!
……………………
ダメです…
やっぱり私、困ってる(?)方をほっておくなんてこと、できません…
ここは私が頑張らないと…
ということで、授業が終わったあと私はさっそく行動にでた。
「た、た、た、た、た、た、た、た…滝沢サンっ!」
思い切って滝沢サンに声をかけてみる。
滝沢サンはやっぱり不機嫌な顔でこっちを見た。(睨んだ)
「…何??」
低いなぜか怒ってるような声。
ひっ……
も、もうすでに泣きそうです…(涙
い、いや!
ここは私が頑張らないと!
「あ、あの…私とお友達になってくださいっ!」
「…はっ??」
滝沢サンの肩眉がぴくりとあがる。
「なんで??」
な、なんでって言われましても…
滝沢サンが1人でさびしそうだからとか言えるわけないじゃないですか…
「と、とにかく私とお友達になってくださいっ!」
私は勢いよく頭を下げた。
「…別にいいけど」
滝沢サンはぼそっと言った。
えっ?
いいって…
いいって言ってくださったんですか??
「あ、ありがとうございます!」
私はまたぺこりと深くお辞儀した。
「それではよろしくお願いします!」
私はそう言うと逃げるように優香ちゃんと楓ちゃんのもとに言った。
優香ちゃんと楓ちゃんはさっきの一部始終を見ていたようで私を見てぽかんと口をあけていた。
「詩織…??何やってんの??」
「…滝沢サンとお友達になってきました」
「「なんで??」」
2人が声をそろえて言った。
なんでと言われましても…
「滝沢サンお友達いなさそうでしたから…せめて私だけでもお友達になってあげようかと…」
「でも詩織ちゃん、さっきまで怖い怖い、恐ろしいって言ってたでしょ??あれはどうなったの?」
楓ちゃんがまだ驚きを隠せない様子で言う。
「そりゃぁ…怖いですよ?でもほっとけなくて…」
というか、今さらなんですけど…
お友達ってことはお話しなければいけないということですよね??
私、あの方のお友達としてちゃんとやっていけるのでしょうか…??
1話の響sideの話の中に詩織sideの話が混じっていました…
読んでておかしいな、と思った方、申し訳ありません<m(__)m>
一応修正しましたので(;一_一)