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純情恋模様  作者: karinko
29/78

☆15話 宿泊☆詩織side

ある日の昼下がり。


私はクーラーのきいた部屋でぼんやりとテレビガイドをめくっていた。


今日の夜の分を見てふと7時から始まる番組に目が止まる。


「こ、これは…!!」


私が思わず目をとめてしまったのは毎年、夏にやっている番組。


そう、『本当にあった怖い話』です!


私怖いのってすごく苦手なんですけど…


なぜか好奇心があって、どうしても見たくなってしまうんですよね…


ですけど…


今日はお父さんもお母さんも仕事で出張中。


明日の夕方には返ってくるそうで、それまで私はずっとこの家に一人なんです…


やっぱり、1人で見るのは少し怖いですね…


そうだ、ビデオをとってお母さん達と一緒に見るというのはどうでしょう??


…いえ、でももしビデオでとったせいで聞こえてはいけないはずの声などが入ってはいけませんし。


やっぱりあきらめた方がいいのでしょうか…??


ですけどどうしても見たいですし…


…あっ!


いいこと思いつきました!


私はケータイを手にとって楓ちゃんの電話番号を押す。


家に誰もいないんだったら泊まりにきてもらったらいいんですよー♪


どうしてこんなことに気がつかなかったんでしょうね??


『詩織ちゃん?』


「あっ!楓ちゃんですか?ちょっと突然なお願いがあるんですけど…」


『なぁに?』


「今日私の家に泊まりにきていただけませんか?」


『えっ!?今日!?…ごめん。ちょっと用事があって…』


「…あ、そうですか…それならいいです。いきなりすいません…」


『あっ!うん、私こそホントゴメンね!それじゃまた今度!』


「は、はい!それでは…」


私は通話を切った。


…見事に断られましたね。


まぁいきなりだから仕方ありませんか。


でも私、あきらめませんよ!


まだ優香ちゃんがいますからね!


そう思い、私は今度優香ちゃんの番号に電話してみた。


ワンコールですぐに優香ちゃんが電話にでる。


『もしもし、詩織ー??何か用??』


「あっ、優香ちゃんですか?あの…ちょっとお願いがあるんですけど…」


『何?』


「突然なんですけど、今日私のうちに泊まりにきていただけませんか?」


『えっ!?今日!?』


優香ちゃんはさっきの楓ちゃんと同じような反応をした。


えっと…


やっぱり皆さんいきなりすぎて驚いてしまうようですね…


『ゴメン…今日はダメなの。…実はさ、今日中島クンの家に泊まりにいくんだよね』


「えっ!?中島サンって…あの、中島サンですか??」


『あのって…どの中島クンかわからないけど、多分詩織が思ってる人だよ。実は私達このまえ付き合うことになったのよ!』


お、お付き合いすることになったんですか!?


そ、それは…


以外です…


「それはそれは…おめでとうございます」


電話の向こうで優香ちゃんが笑う声が聞こえた。


『ありがとー!ま、そういうことで、どうせなら詩織も滝沢クンを家に呼んでみたら?』


ドキッ


心臓が強く鳴る。


響くんを…ですか??


「で、でも…それは…」


『いいじゃない!勢いで誘ってみなさいよ!それじゃーね!』


優香ちゃんは明るくそう言って電話をきった。


私はしばらくケータイを持ったまま固まる。


どうしましょう…


響くんを誘ってみましょうかね…??


で、でも…


やっぱりお泊りというのはちょっと…


身の危険を感じるというか…


顔が熱くなる。


そしてそんなことを思っている自分が恥ずかしくなった。


…私、何考えているんでしょうか??


別にそんな心配をしなくても、響くんはそんな変なことをしようとする人じゃありませんのに…


それに優香ちゃんだってまだお付き合いしたばかりの中島サンの家に泊まりに行くんですから…


私達も、それくらいしても普通ですよね?


そう納得して、私は響くんの電話番号を押した。


3回ほどコール音が鳴る。


『もしもし』


電話の向こうから響くんの声が聞こえる。


「あ、響、くんですか?」


『ああ。なんか用?』


「いや…その…」


やっぱり少しとまどってしまう。


なんとなく、断られたらどうしようと不安になった。


「…あの、今日家にお父さんもお母さんもいないんですけど…」


『へー。んじゃ、うるさくなくていいじゃん。よかったな』


電話の向こうから響くんの小さな笑い声が聞こえてくる。


い、いや…


そういうのが言いたいわけではなくて…


私はこくりと唾を飲み込んだ。


そして意を決して言う。


「だ、だから、今日私の家に泊まりにきませんか!?」


『……え?』


響くんの怪訝そうな声が聞こえた。


「い、いや!別に変な意味じゃないんですよ!?ただ今日の7時から『本当にあった怖い話』っていうのがあるんですけど1人で見るのは少し怖いなぁ…と思ってですね!」


私はなぜか焦って弁解してしまう。


響くんは黙ってしまった。


私もなぜか黙り込んでしまう。


…やっぱりいきなりこんなこと言っちゃ迷惑ですかね…??


響くんに変な子って思われてしまったかも…


そう思い落ち込んでいた時。


『…いいよ』


ふいに響くんが沈黙をやぶった。


「え…ほんと、ですか??」


『別にオレ、今日も明日も予定ねぇし…』


響くんはそっけなく言った。


「…なら、今日の夕方くらいにきてください」


私は自然と笑顔をつくって言った。


『…分かった』


プツッ


小さな音がして通話が切れる。


私はケータイ電話を閉じて、ソファにドサッと腰かけた。


心臓がドキドキと鳴っている。


…ここに響くんがきてくれる。


そう思うと、急にいまいる部屋が汚く感じた。


はっ!


そうです!


響くんが来る前にこの部屋を掃除しませんと!


響くんの家はあんなにきれいだったのに、私の家がこんなに汚いなんて絶対にいけません!


私は大いそぎで家中の掃除に取りかかった。




そして夕方6時ごろ。


家のインターホンが鳴る。


私は確認する間も惜しくて、すぐに玄関の扉をあけた。


「望月?」


思ったとおりそこには響くんの姿があった。


肩には小さなボストンバッグを下げている。


「あっ、どうぞ!はいってください!」


私は響くんに手まねきした。


「…お邪魔します」


響くんは小さな声でそう言うと玄関に足を踏み入れた。


私はとりあえず響くんをリビングにとおす。


「あっ、適当に座っていただいて結構ですよ!」


響くんが困ったように立っていたので私はそう言った。


響くんは少し部屋の中を見回して、真ん中にあるテーブルの前に座る。


えっと…


それで、何をすればいいんでしょうか…??


そう思い、私はふと気がついた。


あ、そうだ!


7時から『本当にあった怖い話』が始まるんですからそれまでにお風呂にはいっておかないと!


怖い話を見たあとからじゃ絶対に一人で入れません!


私はふと時計を見た。


うーん…


一時間じゃとても湯船につかっている時間はありませんし…


シャワーでいいですよね!


「あの、いきなりで本当に申し訳ないんですが…私、ちょっとシャワーしてきますね?」


私がそう言うと響くんはなぜか目を見開いて頬を染めた。


「あ、ああ!いってこいよ!」


なぜか慌てたようにそう言う。


「は、はい…」


私は響くんの反応を不思議に思いながらも着替えをもってお風呂場に向かった。


そしてできるだけ急いでシャワーを浴びる。


響くんを待たせてはいけないと思い、私はすばやく服を着てリビングに戻った。


私がリビングのドアをあけると、響くんは驚いたように振り返った。


「おまえ…早いな」


そしてまた響くんの頬が少し赤く染まる。


…??


なんでしょうか?


私は少し怪訝に思いながら時計を見た。


時刻はちょうど6時半。


やばいです!


もうすぐ始まってしまいます!


あ、それよりもそろそろ晩御飯の時間ですよね??


実はちゃーんと準備だけはしてたんですよねー!


ちなみに今日の晩御飯はハンバーグです!


まぁ別に深い理由はないんですけど…


とりあえず、あとは焼くだけなんです!


「私、ちょっと晩御飯の準備してきます!」


私はそう言って響くんに笑いかけた。


「え、晩飯くらいオレが作るぞ?」


響くんは慌てたように言った。


「いえ、大丈夫です!あとはもう焼くだけなので」


私はそう言って台所に行った。


そしてコンロに火をかけて、手早くハンバーグを焼く。


そしてお皿にできるだけきれいに盛りつけて…


完成です!


私はお皿をお盆に入れると急いでテーブルに持っていった。


そして晩御飯の準備を全部終えてからテレビをつける。


本当はご飯を食べながらテレビを見るって行儀が悪いですが…


別にいいですよね!


「それじゃ、食べましょうか!」


「あ、ああ」


響くんは手を合わせるとお箸を手にとってハンバーグを口にはこんだ。


思わずそれをじーっと見てしまう。


えっと…


響くんにかぎってそれは言わないと思いますが…


万が一まずいと言われてしまったらどうしましょう…??


「お味は…どうですか…??」


「…うん。うまいんじゃねぇの?」


響くんはそう言ってにこりと私に笑いかけてくれた。


うれしくて、私も響くんに笑顔を返す。


なんだか…


他の誰に言われるよりも、


響くんにおいしいと言ってもらえることがすごくうれしいです。


私は自分が食べるのも忘れて、響くんが私がつくった料理を食べてくれるのを眺めていた。


「…おまえ、食べねぇの?」


響くんが私の視線に気がついたのか、怪訝そうな顔でそう言ってくる。


「あ!いえ、食べますよ!」


私は慌ててハンバーグを口にはこんだ。


…うん。


我ながらいい出来ですね!


「あ、始まったみたいだぞ?」


ふいに響くんがテレビを見て言った。


「え!?」


私は慌ててテレビを見る。


画面には大きく『本当にあった怖い話』と題名が映し出されていた。


…よーし、


ついに始まりましたよ!


今日は絶対に途中で目をそむけませんからね!


私はそう意気込んでテレビに集中した。




2時間後。


只今、時刻は午後9時です。


ちなみに私、固まっております。


「望月、大丈夫か??」


響くんが心配そうに私の顔をのぞきこんだ。


「は…い…大…丈夫…です…」


すごく…怖かったです…


絶対に目をそむけないと誓ったはずなのに思いきり目をそむけてました…


だって本当にひどいんですよ!?


まさかあんなところでいきなりあんなに怖い顔がでてくるとは普通思わないですよ!!


「えっと…オレ、風呂貸してもらいたいんだけど…大丈夫か?」


「ええ、大丈夫です…」


響くんは気づかわし気に私を見ながらもリビングをでていった。


急にリビングがシーンと静まりかえった気がする。


こ、これは本気で怖いですね…


で、でも!


幽霊なんて本当は科学的には存在しないんですから!


ほら!『おばけなんてないさ』って歌もあるじゃないですか!!


…でも、何もしないでいるのは少し怖いので、晩御飯の片付けでもしましょうか…


私はとりあえず自分と響くんの使ったお皿を台所に持って行った。


食器を洗い終えると、また何もやることがなくて仕方がなく1人テーブルの前に座る。


…響くん、お風呂長いです。


やっぱり1人は少し怖いですよ…


ガチャッ


扉が開く音がした。


思わずびくっと震える。


「望月、大丈夫か?」


振り返るとやっぱり心配そうに私を見てくれている響くんの姿があった。


ほっと安堵の息をつく。


なんだ…


響くんですか…


てっきり幽霊かと…


響くんは私の隣に座った。


ふわっとシャンプーの香りが鼻をかすめる。


私は驚いて、あらためて響くんを見た。


お風呂あがりで湿っている黒い髪。


少し、蒸気した頬。


思わず顔が熱くなる。


私は慌ててうつむいた。


どうしよう…


響くんがきれいすぎて…


まともに顔を見れない…


「…おまえ、やっぱりあんな怖いの見ない方が良かったんじゃねぇか?」


響くんは私がうつむいた理由をかんちがいしたようでまた心配そうにそう言ってくれた。


い、いや…


今私はさっきの怖い話のことよりも、あなたのことで頭がいっぱいなんですけど…


「いえ、全然大丈夫ですから!」


私はなんとか顔をあげて笑顔をつくった。


「そうか?ならいいけど」


そう言って響くんは私に笑い返した。


余計に心臓の鼓動が速くなる。


ダメですよ…


せっかく最近は響くんの笑顔にも慣れてきたところなのに…


あなたは自分がどんなにきれいか分かっていないんですか?


そう思うほどに、私には響くんがとてもきれいに見えた。




私達は少しの間談笑して、寝ることにした。


とりあえず響くんにはお母さんとお父さんの部屋を使ってもらってます。


…あ、これ内緒ですよ?


「それでは…おやすみなさい」


「おやすみ」


私は響くんに軽くあいさつしてからベッドに入った。


そして眠ろうと目を閉じる。


だけど、目を閉じるとどうしてもさっき見た怖い話の女の人の顔がうかんできた。


うぅ…


やっぱり見なければよかったです…


いつもならこういうときお母さんのベッドにもぐりこむんですけど…


今はいませんし…


たえるしかないですよね…??


そう思い、なんとかその顔を振り払おうとする。


だけどその時、


ゴトッ


小さな音を立てて何かがおちた。


~~~~~っ!!


…ダメです!


やっぱり1人でなんて絶対に眠れません!


私は一刻も早くこの部屋から立ち去ろうと急いで部屋を出た。


そして無我夢中で響くんがいる部屋にかけこむ。


「響くん!」


私がそう言ってドアを勢いよく開くと響くんは驚いたような顔で上半身をおこした。


「望月…!?どうしたんだよ??」


「いや…その…やっぱり1人じゃ眠れなくて…」


どうしてもあの怖い顔がうかんでくるんですよー…


「あの…申し訳ありませんが一緒に寝かせていただいてもよろしいでしょうか??」


無理なお願いだと思いながらも、私はそう尋ねてみた。


「別に…いいけど…」


響くんはしばらく間をあけてからそう言った。


「本当ですか??それじゃぁ…」


私はいそいそと響くんの隣にもぐりこんだ。


「ったく…あんなの見るからだろ??」


響くんが私のすぐそばで言った。


見てみるとほんのすぐそばに響くんがいる。


顔が燃えるように熱くなった。


響くんもそれに気がついたようで慌てたように私に背を向ける。


「はやく寝ろよ…!!」


響くんはそう言ったきり黙ってしまった。


私はその背中を見つめる。


私よりずっと大きな背中。


急に思いきり抱きついてみたくなった。


だけど私にはそんなこととてもできない。


そっと目を閉じて見る。


もう、瞼の裏に怖い女の人の姿はなかった。


変わりに響くんがいる。


まったく恐怖も感じなかった。


変わりに心臓がドキドキと鳴り響いている。


そして私はなぜか安心していた。


…響くんには迷惑だったかもしれませんが、


私、響くんのところにきてよかったです。


だって、響くんのそばにいると響くんのことしか考えなくてすむんですもの。


頭の中が響くんでいっぱいになって、安心できる。


ねぇ、響くん。


私のこんな気持ちに、あなたは気が付いていますか?

ムダにながくて、しかもかなりの適当な文章…

最悪ですね(-_-;)

あともう詩織は普通に響のことを名前呼びしてます。

もう統一しちゃおっかな?っておもいまして(^-^)

ちなみに私も恐い話みると寝られなくなるって分かってるのに見てしまうタイプです(;一_一)

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