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純情恋模様  作者: karinko
18/78

★9話 告白★響side

合宿2日目の朝。


寝不足がかなりひどい。


なぜかというと、結局昨日の夜はまったく熟睡できなかったからだ。


夢の中でまで橋本が望月にちょっかいだすもんだから…


…全部あいつのせいだ。


オレは隣で元気いっぱいに朝飯を食べている橋本を恨めし気に見た。


だけど、今日は寝不足だからって気をぬくことはできない。


いつあいつが望月に手をだそうとするかわからないからな。


とりあえず…


今日一日頑張れば、今日の夜は思いきり眠れる…


だけど今日一日もそんなに頑張れるか??


そう考えたとき、睡魔で極限状態に達していた脳がふと名案を導き出した。


そ、そうだ!


今日一日、望月と2人で行動しておけばいいんだ!


そうすれば橋本も望月に近づけないはず…


もし近づいたとしても、オレはすぐ近くにいるんだから変なことはできないはずだ!


さすが…


人間は極限状態に陥った方がかしこくなるというのはこのことか。


オレはさっそく部屋に戻ろうとしている望月を呼びとめた。


「おい、望月」


望月は振り返ってかなり驚いた顔をした。


「た、滝沢サン!?」


変な声でそういう。


…??


何かオレが話しかけたらおかしかったか…??


「ど、どうしたんですか…??」


オレは近くに橋本がいないかすばやく確認した。


そして望月の耳元でいう。


「今日、オレと2人で行動しよう」


「えっ…!?」


望月が目を見開く。


…いきなりそんなこと言われても驚くか??


だけど、これはおまえを橋本から守るためなんだ。


望月は少し間をおいてからうつむいて言った。


「い、いいですけど…」


…よし。


これでとりあえず一日中気をはってなくていい。


橋本達から離れたところにいればいいだけだ。


…よっぽど安心できそうなら、そこで寝れるかもしれない。


オレ、本当に名案考えたな。


そう自分をほめながらオレは部屋に戻った。




「なぁ、滝沢」


自由時間が始まる前、担任達がいろいろと注意を言っているときにこそっと橋本が話しかけてきた。


「…なんだよ」


「これ、やるよ」


そう言って橋本はオレに小さな飴を手わたしてきた。


「…いらねぇよ」


「いいからもらっとけって!」


橋本はそう言って強引にオレの手の中に飴玉を押しこむ。


そして食べろ食べろという目でオレを見てきた。


どんだけオレにこれ食べさせたいんだよ…


オレは軽いため息をついてその飴玉を口にいれた。


苦い、変な味がする。


オレは思わずそれを吐いた。


「ぺっ!な、なんだよ!?これすっげぇまず……」


急に強い眠気が襲ってきた。


「なんだ…これ…??」


橋本が勝ち誇ったような顔でオレを見てくる。


「軽い睡眠薬だよ。オレが飴玉状に改良したものだけど」


す、睡眠薬…??


どういうつもりだ…??


「おまえもともと眠たそうにしてただろ?ならほんのちょっとなめただけでもすっげぇ聞くと思うぜ?」


橋本の言うことは本当だった。


睡魔が恐ろしくひどくなり、体に力が入らない。


瞼がなまりのように重くのしかかってくる。


「お前…なんでそこまで…」


「別に。なんでもいいからおまえのものを奪ってやりたいだけだよ」


視界がぐらぐらする。


だけどなんとか気力で目をこじあけた。


眠ってしまうわけにはいかない。


それではこいつの思うままだ。


「おまえはたった3ヶ月ちょっとの間でオレからいろんな物を奪っていった。その復讐がしたいだけさ」


は…??


別にオレはおまえのものなんて何も奪った覚えはない…


だけど言葉にならなかった。


目をあけるのに精いっぱいでそこまでに神経がまわらない。


やっと担任達の諸注意が終わり、班で集まった。


いろいろと話している声は聞こえるが何を話しているかまでは聞こえない。


立っていることでさえ辛い。


頭から体中に眠れという信号をだしている。


「滝沢サン?大丈夫ですか…??」


ふいに望月の心配そうな声だけがはっきりと聞こえた。


望月…!


橋本に近づくな…!!


そう伝えようと口を開いた。


だけど言葉がでてこない。


そして同時に気力にも限界がきた。


ぐらっと体が傾く。


そしてオレの意識はそこでとぎれた。





…ここはどこだろう??


≪滝沢サン≫


望月の声がした。


望月…??


目を開けると目の前に笑ってオレを見ている望月がいた。


≪私、橋本サンと付き合うことになったんです≫


急に、望月の隣に橋本の姿が現れた。


はっ!?


なんだよ、それ!!


橋本はにっとオレに向かって嫌な笑顔を向けると、望月の手を押さえた。


≪いっとくけどオレは好きなやつにキスもできない臆病者じゃないから≫


橋本の声が響いてくる。


そう言って望月に顔を近づけていく。


望月はそれに答えるかのように目を閉じた。


ダメだ…


望月…!


やめろ!!!!


突然望月が首を横にふった。


すると橋本の姿が消える。


そしてオレの方を見た。


≪私は滝沢サンのことが…≫


そこで、夢はとぎれた。




眩しい光が目の中に飛び込んでくる。


ここは…??


起き上がってみると、そこはベンチの上だった。


そして目の前に見なれた後ろ姿がある。


「…望月??」


オレが名前を呼ぶと、望月は振り返った。


「あっ…」


そして小さな声を漏らす。


望月はなぜかすぅっと大きく息をすった。


そしてじっとオレを見据える。


ドキッ


心臓が高く鳴る。


「…滝沢サン、私、あなたに伝えたいことがあるんです」


あまりに真剣な望月の声と表情にオレは小さな期待を抱いた。


もしかして…


…いや、それはない。


……けど、本当にもしかすると…


「私、滝沢サンのことが…」


望月はそこで言葉をつまらせる。


オレは全身を耳にして望月の言葉を待った。


小さな小さな期待を抱きながら。


心臓はさっきからドキドキと早鐘のように鳴り響いている。


なんとなく病気の宣告を受ける患者の気分だった。


望月はまた大きく息を吸うと、はっきりといった。


「滝沢サンのことが、好きです」


予感が、的中した。


嘘…だろ…??


オレが口を開くまえに望月は慌てたように言った。


「返事はいらないんです。その変わり…」


望月の瞳に涙が光って見える。


だけど望月はそれをこぼそうとせずに言った。


「ずっと、思っていてもいいですか…!?」


…ずっと、思っていてもいいかって…??


そんなの…


「…良いに決まってるだろ」


「…え??」


望月がきょとんとオレを見る。


今から言おうとしている言葉を考えるだけで、顔が燃えるように熱くなる。


やっぱり言わないでおこうか…


…だけどせっかく望月がすっげぇ勇気出して言ってくれたんだ。


オレも、負けてられない。


「オレもおまえが好きなんだから」


望月の目が大きく見開かれる。


しばらくの間を置いて、望月は恐る恐る聞いてきた。


「あの、今なんて??」


…何回も言わせるなよ…!!


「だからオレもおまえのことが好きなんだよ!!」


やけになって怒鳴るように言った。


「す…き…??」


望月がオレの言葉を繰り返す。


そして急にぽろぽろと涙をこぼし始めた。


「な、なんで泣いてるんだよ!?」


急に泣かれても調子狂うだろ!?


「だ、だってうれしくって…」


望月は嗚咽しながら言った。


「これって…夢じゃ、ないですよね??」


望月がふいにそう聞いてきた。


オレは少し笑って、ぽんっと望月の頭を叩く。


「夢じゃ…ねぇよ」


ふと、視界に咲き乱れるラベンダーが映った。


たしか…


ラベンダーの花言葉は…


清潔、優美…


…こいつにぴったりの花だな。


だけど…


絶対こいつの方がきれいだ。


そう思ってオレは小さな笑顔をうかべた。

眠たかったので文が適当に…

そして多分詩織sideの半分程度しかありません(-_-;)

あと、響がラベンダーの花言葉知ってたのはただ単純にかしこいだけだからですからねっ!

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