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純情恋模様  作者: karinko
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☆9話 告白☆詩織side

合宿、2日目が始まりました。


2日目は朝食をとったあと、午前9時から午後3時まで自由行動です。


本当に修学旅行みたいでわくわくします。


「詩織!今日はがんばりなよ!」


朝食を食べ終えたあと、優香ちゃんにポンッと背中を叩かれた。


「は、はい…」


そ、そうでした…


今日、私は…


滝沢サンに、告白するんです…


でも、そんなの本当にできるんでしょうか??


私にそんな勇気があるんでしょうか…??


…いいえ、考えているばかりじゃ何も始まりませんよね。


私は軽いため息をついた。


そのとき、


「おい、望月」


後ろから低い声で名前を呼ばれた。


振り返るとすぐそばに滝沢サンの顔。


「た、滝沢サン!?」


今の今まで滝沢サンのことを考えていたので私は驚いて思わず変な声がでてしまった。


「ど、どうしたんですか…??」


滝沢サンはまわりをキョロキョロと見回し、誰もいないことを確認してから耳元で囁いた。


「今日、オレと2人で行動しよう」


「えっ…!?」


もともと優香ちゃん達に協力してもらって2人になるつもりだったんですが…


まさか滝沢サンから誘われるとは思わなかったのですごくびっくりしてしまいました…


顔がすごく熱くなって、胸がドキドキしてくる。


「い、いいですけど…」


私は滝沢サンに赤くなっている顔がばれないようにうつむいた。


滝沢サン…


どういうつもりでしょうか…??


どうして私も一緒に…


ふと、ある考えが頭に浮かんだ。


もしかして…


滝沢サンも私を…


い、いえ!


そんなわけないです!


絶対にないです!


ただ私と2人の方が気が楽だと思っただけですよね!


私達は…


お友達ですから…


…でも、今日その関係が壊れてしまうかもしれない。


私は、本当に滝沢サンに思いを伝えてもいいんでしょうか…??




そして待ちに待った(?)自由時間。


先生からの話があったあと、私達はとりあえず班で集まりました。


「それじゃ、どうする??」


中島サンがそう言うと優香ちゃんが待ってましたとばかりに手をあげた。


「はいはいはい!私提案なんだけど!」


「何??」


「6人で行動するっていうのも大変だし2人ずつペアを組んで回るってどう??」


優香ちゃん、ナイスですっ!


「いいねー、それ!そうしよう!」


楓ちゃんもにこにこと笑いながら言う。


「わ、私もそれがいいと思います!」


「んー…じゃ、そうしようか」


橋本サンはそう言うと私に笑いかけた。


…??


なんでしょうか…??


「それじゃ、望月ちゃん。オレと組もう!」


「へっ?私…ですか??」


で、でも私は滝沢サンと…


そう思い私は滝沢サンの方を見た。


けど滝沢サンは上の空で目をトロンとさせている。


そしてふらふらとしながら頭を押さえていた。


え…??


どうしたんでしょうか…??


様子が…


おかしい…??


「滝沢サン?大丈夫ですか…??」


滝沢サンは私の声に気がついてくれたようで私の方を見た。


何か言おうとしているのか口を開く。


そしてぐらりと体を傾けるとその場に倒れた。


ドサッと大きな音がする。


「滝沢サンっ!?」


私は滝沢サンにかけよった。


他のみんなも私に続いて滝沢サンにかけよる。


「滝沢サン、滝沢サン!!」


揺さぶってみても滝沢サンは目をあけようとしない。


じわっと涙がにじんできた。


どうしよう…


このまま、滝沢サンが目を覚まさなかったら…


そう思って私は必至で滝沢サンの名前を呼んだ。


「寝てるだけじゃないかな??」


そばで橋本サンがぽつっと言った。


「え…??」


「だって昨日の夜、滝沢全然眠れてなかったみたいだから」


あぁ、そういえば…


昨日もたしか、バスの中で眠たいと言っていましたね…


それなのに…


私が無理やり起こしてしまって…


「寝かせてやっといた方がいいんじゃない??」


「…そうです、ね」


私達はとりあえず滝沢サンを近くの公園に運んでベンチに寝かせた。


「それじゃどうする??このまま滝沢クンをほっておくわけにもいかないし…」


「私、ここで滝沢サンが起きるのを待ってます」


だって私、滝沢サンと一緒に行動するって約束しましたもの。


私、それをずっと楽しみにしてたんですもの。


「だから、みなさんは先に回っててください」


私はそう言ってみんなに笑いかけた。


「…そう、じゃぁ…」


優香ちゃんと楓ちゃんは納得してくれて中島サンと橋本サンを説得してくれた。


「それじゃ後でね!」


そう言ってみんなは私に手をふって公園をでた。


そして、私は滝沢サンと2人きりになる。


私は滝沢サンが眠ってる隣に腰をおろした。


そしてその寝顔を見つめる。


初めのころ、怖くて仕方がなかった鋭い目は閉じられていて長いまつ毛がそれを守っている。


でも眉毛はきりっとしてて、緩んでいない。


口はほんの少し開いていてそこから規則正しい寝息がもれてくる。


何から何まで、完璧だった。


この人は世界で一番きれいな人なんじゃないかな、と思ってしまうくらい。


本当に、きれいな寝顔。


私は滝沢サンの髪に触れてみた。


さらさらしていて、指の間からぱらぱらと落ちていく。


目の端にラベンダーが映った。


顔をあげてみると、まわりにはたくさんの花が咲いている。


…きれいなところですね。


本当に、滝沢サンにぴったりな場所。


「ん…」


滝沢サンの口から声が漏れた。


寝言でしょうか…??


そう思い耳を傾けて、思わず耳を疑った。


「…もち…づき……」


滝沢サンが、寝言で私の名前を呼んだ。


驚いて、その顔を見つめる。


もしかして…


夢の中に、私がいるんですか…??


その私は、滝沢サンに何を言ってるんですか??


どんな表情をしているんですか??


滝沢サンには私って…


どんな風にうつってるんですか…??


そう思って無意識に滝沢サンに顔を近づけたとき、


「望月ちゃん!」


後ろから突然声がした。


「は、はい!?」


ふりむくとそこには橋本サンが立っていた。


「は、橋本サン…??どうしたんですか…??」


「んー…望月ちゃん1人じゃさびしいかな?って思って」


そう言って橋本サンは私に笑いかけた。


「ああ、そうですか…」


私は正直橋本サンに少し腹が立っていた。


もし橋本サンがこなければもう少し滝沢サンと2人で過ごせましたのに…


…でも、せっかく私を心配してきてくださったんですから、そんなこと言ってはいけないですよね。


「ねぇ、望月ちゃんって滝沢のこと好きなの??」


橋本サンが唐突に聞いてきた。


「へっ!?」


私は驚いて思わずうろたえてしまう。


「べ、別にそんな…!!」


「オレにはね、好きな人いるよ」


橋本サンはそう言って私に近づいてきた。


「だ、誰ですか…??」


橋本サンが私のすぐまえにくる。


そしてしゃがんで私と目線を合わせた。


「望月ちゃん」


そう言ってにこっと笑う。


「えっ…??」


どういうことですか…??


「オレは望月ちゃんが好きなんだ」


そう言って橋本サンは私の手をつかんでくる。


「やっ…」


抵抗しても、橋本サンはぎゅっと私の手を握り締めて離さない。


「望月ちゃんは滝沢のことが好きかもしれないけど…」


橋本サンの瞳がじっと私を見据える。


焦げ茶色の瞳が私の瞳をとらえて、私は目をそらせない。


「滝沢は望月ちゃんのこと何とも思ってないって言ってたよ?」


ズキッ


胸が締め付けられたように痛くなった。


滝沢サンは…


私のことを何とも思っていない。


そんなこと分かってたはずなのに…


少し、期待していた分、ショックが大きくなる。


「どうせあいつは君のこと、なんとも思っていないんだよ?そんなのずっと好きでいるよりさ、ちゃんと自分を好いてくれている人を好きになる方がいいんじゃないかな?」


橋本サンの言葉が胸に突き刺さる。


…そうなん、でしょうか…??


どうせ滝沢サンは私をなんとも思っていないのなら…


それで、苦しい思いをするのなら…


私のことを好きと言ってくれた橋本サンを好きになる方が、いいのでしょうか…??


それが、私のためにも、滝沢サンのためにもなるんじゃないでしょうか…??


それなら…


橋本サンの顔がゆっくりと近づいてくる。


私は…


橋本サンを…


「だ、めだ…もち…づき…」


そんな私の考えを、滝沢サンの声が止めた。


たき、ざわ…サン??


橋本サンの唇が、ほんの数センチにせまっている。


私はそれを拒んで顔をむけた。


そして滝沢サンを見てみる。


私は滝沢サンが目を覚ましたのかと思っていた。


だけど滝沢サンはすやすやと眠ったまま。


ということは…


さっきのは、寝言ですよね…??


「…ごめんなさい。橋本サン」


「えっ??」


滝沢サンが、寝言でまで私の名前を呼んでくれている。


滝沢サンの夢に私がいるかもしれない。


そう思うと、希望が捨てられないんです。


滝沢サンが、もしかしたら私と同じ気持ちかもしれない。


そんな希望を。


「私、やっぱり滝沢サンが好きです」


誰か、人の前ではっきりと言ったのは初めてだった。


それで、あらためて自分の気持ちを確認する。


「目つきがすごく悪くて、いつも仏頂面だけど…」


初めて滝沢サンを見た日。


こんなに頭がいい学校なのに、どうしてこんな人がいるんだろうと驚いた。


これからの高校生活が恐ろしいものになりそうで、心配になった。


「とても頭がよくて…教えるのがとてもうまくて…」


私が無理やりに中間テストの勉強を教えてと頼んだら、本当に丁寧に教えてくれた。


それできっと自分の勉強ができなかったと思うのに、それでもテストはオール満点で…


「不器用だけど、優しくて…」


すごい雨が降っていた日。


滝沢サンと一緒に帰って…


私が濡れるのを気を使って私の方に傘をよせてくれた。


昨日だって…


すごく眠たかったと思うのに、私のために話し相手になってくれた。


「ほんのたまに見せてくれる笑顔は見とれてしまうくらいきれいで…」


誰にも見せたくない。


独り占めしたくなってしまうような笑顔。


きっと、私だけが知っている仕草、癖。


私だけが知っている表情。


全部全部が愛おしい。


「私は、そんな滝沢サンがどういても好きなんです…!!」


お友達なんかじゃ嫌なんです。


それだけじゃ…


ものたりない…


橋本サンはそんな私を見てふっと笑った。


「それ、本人に言わないと伝わんないよ?」


「え…?」


「あーあ、せっかく滝沢の大切なもの、奪ってやろうと思ってたのにな!こんなに滝沢に惚れてるなら無理だわ」


…??


「どういう…ことですか??」


「別に。あ、あと滝沢は多分君のことが好きだと思うよ。だから、頑張って」


橋本サンはそう言い残すと行ってしまった。


……どういうことでしょうか??


「…望月??」


後ろから、声がした。


振り返ると、滝沢サンが上半身をおこして私の方を見ている。


「あっ…」


滝沢サンの顔を見て、気持ちがこみあげてくる。


私はすぅっと息を吸った。


そしてじっと滝沢サンを見据える。


「…滝沢サン、私、あなたに伝えたいことがあるんです」


一言一言、ちゃんと伝わるようにはっきりと。


もう…


お友達という関係に戻れなくなってもいい。


ただ、あふれだす気持ちを伝えたい。


「私、滝沢サンのことが…」


最後の言葉がでてこない。


大きく息を吸って気持ちを落ち着かせる。


そしてはっきりと言った。


「滝沢サンのことが、好きです」


滝沢サンの目が大きく見開かれる。


私は返事を言われる前に言った。


「返事はいらないんです。その変わり…」


涙が目の中にたまる。


私はそれを必至にこらえた。


「ずっと、思っていてもいいですか…!?」


それだけでいい。


付き合いたいとか、考えているわけじゃないんです。


私はただ、この気持ちを伝えたかっただけですから…


「…良いに決まってるだろ」


しばらくの沈黙の後、滝沢サンがふいに言った。


「…え??」


滝沢サンは真っ赤に染まった顔で私を見た。


「オレもおまえが好きなんだから」


………??


えっ??


よく聞こえませんでした…


「あの、今なんて??」


滝沢サンは真っ赤な顔のまま怒ったように言った。


「だからオレもおまえのことが好きなんだよ!!」


「す…き…??」


本当、なんですか??


滝沢サンも…


私のことが好き…なんですか??


おさえていた涙があふれだした。


次々と、頬を伝って落ちてくる。


「な、なんで泣いてるんだよ!?」


「だ、だってうれしくって…」


滝沢サンが私のことを好きだなんて…


嘘みたいで…


信じられない…


「これって…夢じゃ、ないですよね??」


念のため滝沢サンに尋ねてみると、滝沢サンはふと笑った。


そしてぽんっと私の頭を軽くたたく。


「夢じゃ…ねぇよ」


滝沢サンの笑顔が公園に咲く花々よりも、


とても輝いて見えた。

ついにくっつきましたー!!

そして妙に長くなってしまった文章…

多分響sideは短くなると思います…(-_-;)

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