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純情恋模様  作者: karinko
12/78

★6話 雨の中★響side

中間テストが終わってから三週間程がたった。


最近じゃ毎日雨が続き、憂鬱な毎日だ。


そんなある日。


「今日は今度の合宿の班を決めようか」


学活の時間に担任の澤田がそう言った。


合宿…??


そういえばそんなのあったな…


「ねぇ滝沢クン!ウチらの班きてよ!」


ぼーっと考えていると突然3人の女子チームに誘われた。


みたところ名前もよく分からない連中だ。


しらねぇ奴と同じ班になってもな…


「オレ、他の奴と組むから」


オレはきっぱりと断った。


「えー!なんでー!?組もうよー!」


それでも1人の女子がしつこくそう言ってくる。


「嫌」


「いいじゃーん!」


あまりにもしつこかったのでオレはそいつを思いきり睨んだ。


そいつはびくっと震えるとふんっと首をふった。


「…もーいいよ、こんなやつ誘わなくても!他の奴誘おう!」


そう言ってあとの2人を連れていって他の男子の所に行った。


ふん。


こっちだっておまえらみたいなやつはさらさらお断りなんだよ。


オレはちゃんと組みたい奴が…


そう思ったとき、ちょうどその組みたい奴がきた。


「滝沢サン、一緒に組みませんか??」


さっきの奴らと違い遠慮がちに言う望月。


その姿に思わず可愛いと思ってしまう。


「ん、いいけど…」


オレはその気持ちを隠すようにそっけなく言った。


望月の顔がぱぁぁぁっと輝く。


本当に感情が顔にでやすいタイプだよな。


オレはそう思って小さく笑った。


望月に連れられて鳥山の席に行くとそこには他のメンバーらしき奴らがそろっていた。


「連れてきましたよ!」


「こっちもそろったよー!」


望月が元気よく言うと、中川がにこっりと笑って言った。


「よっ、望月!よろしくー!」


そばにいた(多分オレ達と同じ班になるらしい)男が望月に笑いかける。


えっと…


たしかこいつは中島智也だ。


「あんましゃべったことねぇけどよろしくなー!」


そう言ったのは橋本一真だ。


こいつは成績がオレの次らしくて入学してからなぜかライバル視されている気がするので知っている。


「えっと…よろしくおねがいします」


望月はぺこりと頭を下げる。


そしてどう接していいのか分からないようで困ったように中島と橋本を見る。


それを見てオレはなぜかいらっとした。


いや、『なぜか』というか…


理由はただ単純なんだ。


ただ望月が他の男にかまってるのが嫌なだけ。


でもそんなことばかり言ってもいられないのでオレは何も思っていないような素振りをする。


「それにしても滝沢と同じ班になるとは少しびっくりだよな!」


橋本はオレを見てそう言った。


「滝沢クンは詩織ちゃんと仲いいんだよー!」


中川がにこにこしながらそう答える。


橋本は何気ない様子であいづちをうつ。


だが、その目はしっかりオレを見ていた。


そしてにやりと小さく笑う。


何か、嫌な予感がした。




そしてその日が終わり、オレはさっさと家に帰ろうと教室をでた。


生徒玄関にでるとやっぱり外には激しい雨が降り続いている。


はー…


やっぱ雨は嫌なモンだな…


そう思いながら鞄にいれていた折り畳み傘を取り出そうとした。


が、


「はっ…?ない??」


いくら鞄の中を探しても傘が見つからない。


オレ、たしかに鞄の中にいれたよな!?


もしかして家に忘れてきたのか??


いや、けど朝はちゃんとあったし…


…教室に忘れてきたのか??


そう思い教室に戻ってすみずみまで探してみたがやっぱりなかった。


…おかしいな。


誰かが間違えて持っていったのか??


わざわざオレの鞄さぐってか??


……まぁ、どれだけ考えても傘がないことには変わりないんだ。


さて、どうするか。


「どうしたんですか??」


ふと後ろから声がした。


振り返ると望月がきょとんとオレを見ている。


「ああ、望月か。…なんか傘なくしちまって…濡れて帰ろうか迷ってたんだ」


そう言ってオレはまた雨に視線を戻す。


雨は変わりなく激しく降り続いている。


んー…


駅まで走ったら10分ほど…


それくらいなら濡れても結構大丈夫か…??


「…これくらいなら大丈夫だよな??」


「ダメですよっ!濡れて帰ったら風邪ひいちゃいます!!」


オレがぽつりと言うと望月が慌てていった。


「…でも傘ないんだから仕方ないだろ?」


ハンカチでも頭にのせていけば少しはマシになるか??


…いや、まずハンカチ持ってねぇし…


そのとき望月がぽんっと手を叩いた。


「あっ、そうだ!滝沢サン、私の傘使います??」


そう言って紺色のチェックの傘をオレに差し出してくる。


「いや、おまえが濡れるだろ??」


なんで傘持ってる望月が濡れて帰って、多分なくしたオレが人の傘さして帰るんだよ…


けど望月は引こうとはしなかった。


「私はいいんです!ほら、バカは風邪ひかないって言うじゃないですか!」


いや…


そういう問題じゃねぇし…


まずそれは迷信だ。


…だけどこいつ、絶対引こうとしないだろうな。


いい争っているのも無駄な気がする。


一応まわりを軽く見まわした。


他の奴らはすでに早々と帰っている。


あとは部活をしている奴だけだが、雨なので大体は体育館か廊下でしているクラブばかりだ。


…誰もいないんなら…


「…んじゃ、おまえ、はいれよ」


オレは小さな声でそう言った。


そして外にでて望月の傘をさす。


望月が目を見開いた。


「いいん…ですか??」


「もともとこの傘、おまえのだろ!?」


オレは照れ隠しに言った。


「で、でも…」


「いいから!」


オレがそう言うと望月はおずおずと傘の下に入ってきた。


ザーザー…


激しい雨が音を立てて地面を打つ。


オレは何も話せなかった。


なぜか、自分でも驚くほど緊張していたのだ。


…絶対にこれ、顔赤くなってる。


望月に見られてねぇ、よな…??


ちらっと望月の方を見ると望月はうつむいていた。


安心してまた前を見る。


望月の肩がオレの腕に触れた。


望月はびくっとして慌てて離れる。


「ひゃっ!」


そして突然声をあげた。


「…大丈夫か?」


多分傘にたまった雨が頭におちてきたんだろうな。


勝手な想像をしながら聞く。


「は、はい…平気です」


望月はそう答えてまた黙ってしまった。


…またこいつ、オレから少し離れて歩こうとするだろうな。


こいつの傘なのに、変に気使わせて濡らすのもなんか悪いし…


オレは傘を少しだけ望月の方によせた。


頭の上に雫がおちてくる。


つめたっ…


たしか、最近の雨って酸性雨だよな…??


…はげたらどうしよう。


そんなどうでもいいことを考えていると望月が少しオレの方によってきた。


どうやらオレに気を使ってくれたらしい。


望月の肩がまた、オレに触れる。


心臓が強く鳴る。


オレは傘をよせてちょうど2人とも濡れない位置に調節した。


それでも、望月が濡れないように少し望月よりに。


オレ達はそれから駅まで何も話さなかった。


それでもオレは望月がこんな近くにいるというだけで、


なぜか、どうしようもなくうれしかった。




駅についたオレ達は自然と同じ電車に乗り込む。


電車はガラガラにすいていたが、オレ達はドアのまえに立った。


たしか…


前もこんな風に望月と同じ電車にのってたことあったよな。


そのときはとてつもなく望月から離れたい気持ちでいっぱいだった。


だけど、今は違う。


むしろ望月のそばにいたい。


…オレも変わったもんだな。


つっても一ヶ月ほどしかたってねぇけど。


そういえばあの時も無言で気まずかったな。


そう思うと急に今の状態も気まずくなってきた。


オレは少しでも話そうと、ぽつりと言う。


「傘、ありがとな」


望月は突然話しかけられて驚いた顔をしながらも返事を返してくれた。


「い、いえ…私もありがとうございます」


…なんで望月がお礼言うんだ??


オレが貸してもらった側なんだから別にお礼を言われるほうじゃ…


「あの…滝沢サン…」


ふいに望月が声をかけてきた。


「何??」


「合宿の班…嫌、でしたか??」


望月はためらいがちにそう聞く。


嫌??


そんなわけないだろ…??


むしろお前と同じ班になれてすげぇうれしい…なんて、そんなこと死んでもいえねぇけど。


「別に…なんで??」


「だって…滝沢サン、すごく嫌そうな顔をしていましたから…」


嫌そうな顔…??


「別にそんな顔してたつもりはなかったけど…」


いってからふと気がついた


もしかして橋本がオレを見て笑ったときの顔か??


たしかにあのとき嫌な予感がして変な顔したかもしれねぇけど…


「で、でも…」


望月はなぜか少しうるんだ瞳でオレを見た。


ドキッ


心臓の鼓動がひときわ強くなった。


「嫌なら嫌とはっきりいってくださってもいいんですよ…??」


「だから嫌なんかじゃねぇよ…!」


なんでお前と同じ班になれて嫌だと思うんだよ…


誰が好きなやつと同じ班になれて嫌だと思うんだよ…


電車が止まった。


どうやら望月はここで降りるらしい。


「あ、それではまた明日…」


そう言うと電車を降りた。


望月はとても悲しそうな顔をしている。


…オレが望月と同じ班になったのが嫌だと思ってると思ってるんだ。


そんなわけねぇだろ!


プシュー


音がして、ドアが閉まりかける。


オレは慌てて言った。


「お、オレはおまえに誘われてうれしかった!」


ドアが閉まる。


…ちゃんと、聞こえたか??


窓の外にいる望月が目を見開いた。


そしてうれしそうにオレに笑いかける。


ほっとしたようなその笑顔がオレの言葉で引き出されたかと思うとうれしかった。


オレはその笑顔から目が離せなくて、見えなくなるまでずっとその笑顔を見つめていた。


望月が見えなくなって平静に戻ってからふと思う。


…やべぇ。


オレ、かなりおかしくなってる。


こんなに人に関心もったのって初めてだ。


しかも…女に。


今、少し前まで一緒にいたおまえと、今すぐに会いたいと思ってる。


…オレ、本当におかしいよな?


オレがこんな風になっちまったのは…


おまえのせいだ。


望月。

響がすごく素直になってます。

…あらすじ、書きなおした方がいいんでしょうか??

あと、楓の名字は中川です。

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