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第二部「破滅を照らす者:魂を映す鏡」その13

目次


第39章「白雪姫の林檎の様に」

第40章「最悪の半丁博打」

第41章「平行線」

第42章「決死の覚悟」

あとがき



第39章「白雪姫の林檎の様に」


「皆さん…」

「聞いて下さい!」

「そこに立っている私は…」

「あそこに立っているもう1人の私は…」

「へカーティアです!」

「偽物です!」

【彼等の前に現れた人影は、どちらも皆が良く知る人物だった。】

見間違えるはずが無い!

あの綺麗な青色の髪と瞳を持つ人を…

世界中を探したって簡単に見つからないような優しい人を…

何度も俺達のことを助けてくれた、たった1人の恩人の顔と姿を!!

だからこそ…

「何が…どうなって…!ジョゼフィーヌさんが増えてるんですか!さっぱりなんですけど!?」

【その時、星次が拳銃を構えながら大きな声で彼女達に怒鳴りつけた。】

「テメェらはそこを動くな!あとお前らは…俺の後ろから前に出るんじゃねぇぞ!」

「うわっ!?せ…星次さん?確かにヤバい状況ですけどそんなにいきなり大声を…」

「とりあえず言う通りにするっすよ。」

「あ…はい!」

【星次は、彼女達に目線と銃口を向け続けながら話をした。】

「ドアに刺さってる大鎌を消して、こっちを向いて両手を上げろ!」

【彼のその命令に彼女達は即座に従った。ドアに突き刺さっていた『死神の薔薇(ReaperRose)』は青い薔薇の花びらとなって散って消え。2人のジョゼフィーヌは両手を上げたが、片方のジョゼフィーヌは左手を上げることが出来なかった。】

「おい!俺は両手を上げろって言ったよな?」

「事情を説明する為に、発言の許可を頂けますか?」

「…話せ。」

「では…流輝さん。」

「な…何ですか?」

「そのリボルバーで私の頭を狙っておいて下さい。」

「はい…はい!?」

え?何で?

…ってかジョゼフィーヌさんに武器なんて向けたく無いんですけど!?

「今は言う通りにしてろ…」

「は…はい!」

【彼は、左手に持っていた『彗星(Comet)』を『|霊操《Poltergeist》』で空中に浮かせて、震える両手で銀のリボルバーを握りしめた。】

「ありがとうございます…まず、なぜ左手を上げられないのか簡潔に話をすると、私は後方から左肩に銃撃を受けた為、左肩の神経…または関節とその両方が損傷しているので現在は右腕しか動かせません。」

「なるほどな…」

「許可を頂ければ後ろを向いて銃創(じゅうそう)を…」

「いや、こいつに銃を向けさせた理由と事情は分かった…じゃあそのままあんたに質問する。」

「はい。」

「こいつがへカーティアだってのは…間違いねぇんだな?」

「はい、間違いありません!」

「いえ!私ではなく…」

「お前に…発言の許可は出してねぇぞ?」

「…ッ!」

【星次のあまりの剣幕に、否定を挟もうとした彼女は口を閉じた。】

「お前のその傷は…放置してたら死ぬか?」

「診断が出来ないので正確には分かりませんが…恐らく死亡リスクは高いです。現在も出血が止まっておらず、肩が動かなくなる程にダメージを負っており、感覚的にも弾丸が奥深くに入り込んでいるということがわかります…なので、放置していれば失血死します。」

「…タイムリミットは?」

「上半身…それも左肩という心臓に近い部分から出血しているので、失血のスピードと量は凄まじいものです。今すぐに死亡することはありませんが、1時間以内には死亡…それよりも早い時間内に意識障害による戦闘不能状態になります。」

「じゃあ…実質的に…30分もあるかどうかって事じゃないですか!?」

「そうだな…じゃあ次はあんただ。お前の首の左側にある傷の具合は?」

「私は大丈夫です!幸いな事にかすり傷ですので、既に血は止まっています!」

「そうか…じゃああんたにも聞くが…アイツがへカーティアなのか?」

「はい…信じられないとは思いますが…」

「OK…十分だ。」

「え?十分って…何がですか?」

「状況の理解に必要な情報が集まった…」

「どういう事っすか。」

「一言で言うなら…今の状況は最悪って事だ。」



第40章「最悪の半丁博打」


「こいつらは、お互いにお互いのことを手鏡野郎だって言ったんだ…片方が別のことを言ってれば、手鏡野郎が生きてるなんて事は嘘か本当か分からねぇ…だがこいつらは、両方とも同じ事を言った…つまり、ご本人も自分が生きてるって主張したって訳だ…」

「まぁどっちがジョゼさんでどっちが手鏡の人か分かんないんすけどね。」

「なるほど…どっちかは味方でどっちかは敵って状況が確定してて……どっちが本物のジョゼフィーヌさんか分からないけど、出血してる方が本物のジョゼフィーヌさんだった時のことを考えると時間も無くって…急いでへカーティアを倒さなくちゃいけない…」

「クソッ…ここから…」

ここから…どう行動するべきだろうか?

先に動けば、殺害という目的を果たせても彼らの信用を得ることはできず、銃殺される…

今の状況はお互いに膠着(こうちゃく)状態…つまり、この状況が続く限りは死人が出ないが…

私が彼らに告げたタイムリミットも正確なものでは無く、私に残された時間が1時間以上かそれ以下の可能性もあり得る…

実質的なタイムリミットは、彼の言った通り…

私が気絶するまでのほんの数十分だ!

それまでに、私が本物の『ジョゼフィーヌ』であることを証明するか…

もう片方の私が『へカーティア』であることを証明しなければならない…

とにかく、今はこの状況をどうにかしなければ…

「おい!取れ!」

【星次が、彼女達に銃を向けながら声をかけると、2枚の緑色のトランプをそれぞれに1枚ずつ投げた。】

「これは…」


挿絵(By みてみん)


彼の『魔道具』、『|天国と地獄《Eden&Hell》』だ。

「表のマークを見たら、それを俺達に見せろ。」

「はい!」

「了解しました!」

なるほど…そういう事か。

私のカードのマークは…スペードの3。

「私のカードのマークはジョーカーです!」

「OKだ。あんたは?」

「私のカードのマークはスペードの3でした!」

「じゃあ、これからお前は『ジョーカー』でお前は『スペード』だ。」

「はい!」

「…はい!」

へカーティア…彼の外見と話し方のコピーは、オリジナルである私でさえも戸惑ってしまうほどに完璧だ。

オリジナルでさえも見分けがつかないのならば、彼らにも分からないだろう。

その上でこのカードは、話をスムーズに進めるのにとても有用な物だ。

「さて…こっから質問と命令をするのは俺達で、喋っていいのは俺が許可を出した時だけだ…いいな?」



第41章「平行線」


「よし…スペード、お前が見回りに出たあとに何があったか教えろ…手短にな。」

「はい…私は1度この拠点を全て見回ったあと。この拠点の境界線を超え、『影の霧《Trans Figuration》』で瞬間移動を繰り返し、山道に捕縛しておいた教団員を確認した後に同じ手順でこの拠点に戻ってきました。」

「外の様子はどうだった?」

「境界線の外はこことは違い、正常に太陽が上っており、私の『骸に咲く花《Corpse Flower》』で植物状態にしておいた教団員にも以上は見られませんでした。」

「そうか…拠点に戻ってきたときの続きを話せ。」

「私が拠点に戻り、周囲をまた見て回ったあとに…もう一度、情報は得られないかとへカーティアの棺がある場所に立ち寄りました。そして、『骸に咲く花《Corpse Flower》』で作った棺を覗き込むと…棺の蓋が内側から刃物で切りつけられているのが見えました。その後は…私の姿と『異能』をコピーしたへカーティアに左肩を撃たれました。」

「待て…今…『異能』を…つまり『祝福』をコピーされたって言ったのか?」

「はい。」

【その言葉を聞いた星次は、不安げな自分の表情を隠すかのように左手を口に当てて何かを考えていた。】

「分かった…最後に、あいつがどうやって生き返ったかの情報はあるか?」

「はい、あります。手短に説明すると…ヘカーティア本人の説明通りなら、彼は…私達がマーリンさんから頂いた『血の琥珀石(BloodAmber)』と似たような物を…『愚者の呪石』を心臓に埋め込んでいたようです…」

「心臓に!?」

「おかしな話じゃねぇな…」

「え?」

「あの爺さんは元々は教団員だ…この首飾りについて、あの爺さんが教団に情報を渡していたか。逆に教団側から情報を貰っていたとしたら…このチート級のアイテムをあいつが持っててもありえなくはない。どっちのパターンでもこれについて知ってた訳だからな。」

「確かに…!」

彼らが信じてくれて良かった…

それも、彼はヘカーティアの死体を確認しているというのに、理論的に考えてくれた。

これなら少しは私の方が有利になるかもしれない…

「OKだ、次は…ジョーカー、あんただ。見回りに行った時のことを話せ。」

問題は…彼がどう動くか…

「私は…スペードと同様に見回りを終え、私も棺の再確認をしに行きました。そして、私が棺を開くと…中にヘカーティアとは別人の死体が入っているのが見えました。そして私は、後ろから大鎌を持ったヘカーティアに襲われました…この傷はその時のものです!」

完全な嘘だ…

しかし…外に出て現場を見ていない彼らからすれば不審な点は…

いや…明らかにおかしな点がある!

「待て…」

【星次はそう言うと、ハンドガンの銃口を完全にジョーカーの頭に向けた。】

「どうしましたか?」

「あいつの頭は…あんたのライフルで完全に吹き飛ばしたし…そもそもローブで顔が見えなかっただろ?なのにどうして…別人だって分かった…?」

「それは…」

「あとは…後ろから大鎌で首を狙われたって言ったよな?」

「はい!」

「あいつはいつも右手で手鏡を持ってた…ってことは右利きのはずだ。それで、あんたは後ろから切りかかられたっていったよな…」

【そう淡々と低い声で話す星次の目つきが、先ほどよりも厳しくなった。】

「後ろから…そんで右側から切られたはずなのに、何で首の左側に傷がある?」

「確かにおかしいっすね。」

彼らも気付いてくれて良かったが…

これからヘカーティアが最後に武力行使を始めるかもしれない…

「それについて…説明させていただけませんか?」

まだ言い訳を…!

「…話せ。おかしかったら足を撃つ。」

「まず、私が死体を見分けられたのは…死体にシルバーリングのネックレスが無かったからです!」

「どういうことだ…?」


挿絵(By みてみん)


「あのネックレスはヘカーティアと教団員を見分ける為の物っだったはずです。」

「根拠は?」

「他の教団員の首にはネックレスが無かったのが根拠です。」

「…じゃあ首の傷は?言い間違いですなんて通用しねぇぞ?」

「私は確かに後ろから襲撃を受けましたが…刃が空を切る音に気づき、後ろを振り返った瞬間に『影の霧《Trans Figuration》』でへカーティア…スペードと私の位置を入れ替え、スペードがベルトに指していたハンドガンと、近くにあった石をまた『影の霧《Trans Figuration》』で交換し…背後から即座に撃ち抜きました。」

【その言葉を聞いたスペードは、ブーツのかかとを床に軽く打ち鳴らして皆の注意を引いた。】

「何だ?」

「発言の許可を頂けませんか?」

「話せ。」

彼の作り話には必ず不審な点があるが…

目撃者もおらず証拠も無い状況では、その作り話の穴を何度でも嘘で防ぐ事は可能だ。

それに…彼らからして見れば、今は味方を撃ちかねない状況なのだ。

そんな中では不確定要素が少しでもあれば…引き金を引く事が出来ないのは当然だ。

これ以上…話を続けてもいても時間の無駄になる。

時間が経てば経つほどに不利になるのは私達だ…

この作戦を実行するには不確定要素が大きすぎるが…

ここは…私がやるしかない!

「私に…考えがあります!」



第42章「決死の覚悟」


「考え?」

「この状況を…一瞬で打破できるかも知れませんが…不確定要素が多く、完全なものでは無いということを先にお話させていただきます。」

「そ…そんな考えがあるならそっちの方が良いですよ!それで…何をするんですか?」

「へカーティアが私に奇襲を仕掛けた後に…彼は私に様々な情報を話していました。教祖に忠誠を誓っているのにも関わらず…『愚者の呪石』に関することを話して来たのです。そして…」


『いったい…どうやって生き返ったのですか?』

『お前らが首に掛けてるソレと似たような物を心臓に埋め込んでおいただけだ。』


『まぁ、いま俺の首に掛かってんのは…アンタの外見をコピーしてできたレプリカだから意味は無いがな。』


「その際に…彼は、私の姿をコピーする為に掛けている『血の琥珀石(BloodAmber)』には効果が無いという事も話していました!」

「…ん?それが一体何に…」

「彼の『血の琥珀石(BloodAmber)』には効果はありませんが…私の『血の琥珀石(BloodAmber)』には効果があります。それを証明する為には…」

「お前…まさか!」

「ここで自害した後に、皆さんに『血の琥珀石(BloodAmber)』を破壊して頂きたいのです!」

【彼女のその言葉は、そこに立っている全員を凍り付かせた。】

「お前…自分が何を言ってるのか分かってんのか!」

「生き返れるとしても…自分で自分を殺すんですよ!?」

「それは絶対に良くないっすよ。」

彼等は善良な人間である事は…ここにいるオリジナルの私の事を思って、この証明方法を却下しようとすることは知っている。

だが…私は無駄死にしようとしている訳では無い!

「もちろん…ただ自害する訳ではありません。自害の方法…それは、『深淵の夜《Night of the Abyss》』を使用する方法です。」

「何で…そんな…物凄い威力があるものを!確実に死ぬつもりじゃないですか!」

「へカーティア…彼は私の『祝福』をコピーしていますが、その様に高度な能力を使うのならば…何かしらの条件がある筈です。それがどの様な物かは分かりませんが…恐らく、コピーにはある程度の時間もかかるはずです。そう考えると…彼が私に『愚者の呪石』の話をして時間を稼いだ理由が自然と当てはまる…そうは思いませんか?」

「確かにそうかもな…」

「私が確認できている、彼がコピー済みの『祝福』は…私の『異能』である『影の霧《Trans Figuration》』のみです。ジョーカー…いえ、へカーティアさん…あなたに質問です。」

【その言葉を聞いたもう1人の彼女は、口の端を僅かにひきつらせた。】

「あなたに… 『死神の薔薇(ReaperRose)』が出せますか?」

「…もちろんです。ですが、今ここで私達が武器を持つのは…」

「いや、構わねぇ…出してみろ。3つ数える…同時に出せ…行くぞ。3…2…1…!」

【彼のカウントダウンに合わせて、2人は手を下ろして『死神の薔薇(ReaperRose)』を構える準備した。】

「『死神の薔薇(ReaperRose)』!」

「『死神の薔薇(ReaperRose)』…ッ!」

【2人は同時に大声で『|死神の薔薇《Reaper Rose》』の名を呼ぼうとしたが、一瞬で顕現を終えたスペードとは違い、ジョーカーの顕現には1秒以上の時間がかかった。】


挿絵(By みてみん)


「スペード…ジョーカーは大鎌を出すのには時間がかかったが…それでも出せてるぞ?どういう事だ。」

「ここまでは予想通りです。」

【彼女のその言葉に、星次は眉をひそめた。】

「どういう事だ?」

「私がはっきりと彼の手鏡の前で使用した『祝福』は、『影の霧《Trans Figuration》』と『死神の薔薇(ReaperRose)』のみです。私は彼のコピーの条件の中に…『祝福のコピーには彼の視界、又は鏡面内にその祝福を収める必要がある』という条件が存在するのでは無いかと予想しています。」

「そういえば…ジョゼフィーヌさんが『深淵の夜《Night of the Abyss》』を使ったのは蔓の壁の裏に隠れてた時だけだ!」

「星次さんと流輝さんには、私達の頭をいつでも撃てるように準備して頂いた上で… 『深淵の夜《Night of the Abyss》』を顕現させます。そしてもしどちらかが顕現に失敗したなら…自害を行う必要性は消えます。」

「やるしか…ねぇか。タイミングはさっきと同じだ…」

【彼はそう言いながら、ジョーカーに銃口を向けた。その様子を見た流輝は、未だに震える両手でスペードに銃口を向けた。】

「3…2…1…!」

【2人は先程と同じように『深淵の夜《Night of the Abyss》』を顕現させようとした。そして、彼女達の運命は決まった。】

「そん…な…」

「クソッ…!」

「私ももちろん顕現させられますよ?スペードさん…いや、へカーティアさん?」

「では…最終段階に入りましょうか。」

【彼女はそう言うと、『深淵の夜《Night of the Abyss》』のボルトを血濡れた左腕で操作し、ストックを床に着け、両手でバレルを支え、額を銃口に乗せた。その動作は全てなんのためらいも無く、一瞬で行われた。】


挿絵(By みてみん)


「待て…ジョゼフィーヌ!何をやって…!!」

【その様子を見ていた星次が大声を出して引き留めようとした瞬間だった。】

「撃て…!」

【主のその呟きを、小さくも力強い命令を、『深淵の夜《Night of the Abyss》』は即座に聞き入れた。】

「ジョゼフィーヌさんッ!!」

【ひとりでに引かれたトリガーが静かに死別の時を告げ、撃鉄が鎮魂の鐘を打ち鳴らし、銃口が彼女の額に永眠の前の口づけをする。】

「は…ハハ…ハハハハハハハハ!こいつ…マジで自分の頭をぶち抜きやがった!!!」

【今、目の前で潰えたものが、その隣で声高らかに笑っている。】

「ジョーカー…やっぱりテメェだったのか……ヘカーティアァァア!!」

「やっぱり?知ったような口を利くなよ…最後の最後まで…俺が本物のヘカーティアだった事に気づけなかった癖によぉ!!こいつはお前らが殺したも同然だよなぁ…!!」

【彼女だった者が、徐々に真の姿を現す。彼らの元へと笑いながら青い薔薇が黒い影へと姿を変え、彼等の絶望を映しているかのような暗い鏡面の手鏡を持って、ゆっくりと距離を詰める。】


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「なら…俺が仇を取ってやらなきゃなァ!」

【へカーティアはそう言うと、手鏡を左手に持ち替え、右手で鏡面に触れた。彼の指先が鏡面に触れた途端に、鏡面はまるで水面のように波打ち、右手が完全にその中へと沈んでいった。そして彼が手を引き抜くと、その手には鏡の破片の様な短剣が握られていた。】


挿絵(By みてみん)


「てめぇらにはここで死んでもらうぜ…あいつの…レイの為になァ!!」

【彼は短剣を構えると、3人の元へと飛び込もうとした。】

「では…貴方には皆さんの為に死んで頂きます。」

「…は?」

「『骸に咲く花《Corpse Flower》』!」

【その掛け声とともに緑色の蔓と茨が木の床の上を這い回り、へカーティアの足にきつく巻き付くと、彼の足から出た血を吸って青い薔薇が咲いた。】

「は?」

「どういう事っすか。」

「ジョゼフィーヌさん!?」

「そして…ありがたいお気遣いですが…仇討ちは不要です。」

【彼女は、『死神の薔薇(ReaperRose)』を両手で持ちながら、何事も無かったかのようにその場に立っていた。】

「何で…何でテメェは生きてるんだよ!!お前は…自分の頭をぶち抜いてくたばったろ!?しかも何で…肩の傷が治ってんだよ!!」

「私が死んだと?知ったような口を利かないで下さい…私の『深淵の夜《Night of the Abyss》』を完全にコピー出来ていなかったというのに。」

「クソが…どうしてそれを!」

【悔しがるへカーティアを尻目に、星次は真剣な表情で考え込んでいた。】

「待てよ…肩の傷が治った上に死んでもない…そうか…お前!あの血の弾を使ったのか!」


挿絵(By みてみん)


「正解です!流石ですね、星次さん!私の『深淵の夜《Night of the Abyss》』の能力である『魔弾』の1つ、あらゆる怪我を治療し生命力を回復させる『血の施し(Blood Alms)』で私の頭を撃ちました!」

「本当に良かった…!でもどうやって…」

「詳しい話は後にしましょう!そして、へカーティアさん…先程の私の宣言通りに… 貴方にはここで、皆さんの為に死んで頂きます!」



あとがき


ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!


話の展開的に仕方ないとはいえ、話の内容が長くなってしまい、誠に申し訳ありません!


そして、皆様に感謝したい事があります!

とうとう…pixivでの総閲覧数が2000を突破致しました!


評価はそこまで高い訳ではありませんが、こんなに大勢の方々に見ていただけるとは思いませんでした!

これも皆様のお陰です!


今回の話は楽しめて頂けたでしょうか?

よろしければ感想・コメントもお聞かせ下さい!


それでは次回をお楽しみに!

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