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49 僕の願い


「おにぃちゃん、おみせ、たのしみ?」

「うん、すっごく楽しみ! 今度はハルトに情けない姿見せられないから頑張るよ」

「にぃにのふるちゅちゃんど、ゆぅくんちゅき~!」

「ぼく、ころっけ、たべたぃです!」

「じゃあ、それはメニューに加えましょうね~」


 お店の営業再開日が決まってから、僕はオリビアさんとメニューの相談をしたり、仕入れ先のお店に再開日を知らせに行ったり、なかなかに忙しかった。

 近所の人たちはお店に食べに行くよ、楽しみにしてると言ってくれた。

 喜んでもらえる様な料理を作りたいな。


 ハルトとユウマはトーマスさんの膝に乗りながら、メニューを考えてるオリビアさんと僕をがんばれと応援してくれている。

 大体は自分の好きな料理を言ってるだけなんだけど、オリビアさんはそれも加えましょうね~と、どんどんメニューの項目を増やしているので心配だ。


「ユイト、オレはあの前に作ってくれた……。マッシュルームをにんにく(ガーリク)唐辛子(チィリ)で食べるやつがいい」

「え? あ、アヒージョですね!」

「あれは癖になる……」

「そうね! あれもすっごく美味しかったわ~……。これもメニューに……」

「お昼にガーリクとチィリ食べたら、匂いは大丈夫ですか……?」

「「う……」」


 あれはガーリクをたっぷり入れるから、結構匂いが残るんだよね。あ、でもオリビアさんは黙々と食べてた記憶があるな……。トーマスさんもさすがにそれは気になる様で、ダメかとしょんぼりしていた。美味しそうに食べてくれてたもんね。


「ん~、夜の営業なら、まだメニューに出せましたけどね……」


 僕が何気なくそう呟くと、二人はハッとした顔でその手があったかと顔を見合わせている。だめですよ~、とやんわり言うと、また二人してしょんぼりしてしまった。

 アヒージョは家で食べればいいじゃないですか、いつでも作りますよ、と伝えるとすごく喜んでくれた。そんなに気に入ってくれてたんですね……、アヒージョ。


「そんなに好きなら、今夜作りましょうか?」


 トーマスさんとオリビアさんが、凄い勢いで同時に僕の顔を見た。


「「ホントか(に)!?」」

「え、はい……」

「「ありがとう!」」


 そしてお二人同時に感謝された。

 そんなにか、そんなになのか、アヒージョ……!





 とりあえず、今の時点で決まった大まかなメインメニューは、


 ・オムレツ(チーズ入りorなし)

 ・コロッケ(日替わり)

 ・ビフカツ

 ・ブラートパタータ

 ・トマトクリームパスタ

 ・ミートパスタ

 ・カルボナーラ

 ・たまごサンド

 ・厚焼き玉子サンド

 ・ビフカツサンド

 ・フルーツサンド(フルーツは日替わり)

 ・サラダ、スープ、パンのセット(日替わり)


 ……と、こんな感じで様子見だ。 

 

 コロッケ・サラダ・スープ・フルーツサンドの食材は、その日にお得だったり旬のものだったりを日替わりにして提供する形をとってみる。

 パスタ生地とソース以外は、比較的その日に仕込めば間に合うと思う。

 まずは実践あるのみ。


 卵を売ってるフローラさんも、サンドイッチを楽しみにしてくれてて絶対食べに行くわと言ってくれたし、カーターさんもエリザさんも来るって言ってたから、ヘタなところは見せられないな。






*****


「ユイトくん、じゃあ早速仕込んでいきましょうか!」

「はい! 僕は生地から仕込みますね」

「えぇ、お願い。私はミートソースを仕込むわ。あ、生地は半日寝かせるのよね? 多めにお願いしてもいいかしら?」

「分かりました。それが終わったら夕食の準備を始めますね」

「ふふっ、アヒージョも多めにお願いね!」

「あ、オレも多めに食べるぞ!」

「分かりました! 明日ガーリク臭くなっても知りませんよ?」

「「明日のことは気にしない!」」


 ()くして二日後の営業再開に向け、また大量に仕込みをする事になった。

 トーマスさんもイドリスさんたちに伝えて来てくれるそうなので、もしかしたら来店するかもしれないと言うのを念頭に置いて作業をしなければならない。


 そして、やっとお二人の役に立てるかもしれない、という僕の願いが、現実になろうとしている瞬間でもあった。


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