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36 驚愕


 昼食を食べ終え、仕込みとお釣りの最終確認をし店内と外の掃除へ。

 オリビアさんはユウマと一緒に家のソファーで休憩してもらってる。一緒に休憩しようと言われたけど、そわそわして落ち着かないから掃除をしてくると言ってお店の外に出てきたところだ。

 ハルトは僕について来て、一緒にお店の前を掃除してくれている。


 情けないけど、さっきまでの楽しみな気分はどこかに飛んで行ってしまったようで、いまはちゃんと出来るか不安しかなかった。

 バイトとかした事ないけど、最初は皆、こんな気持ちなのかな……?



「おにぃちゃん、きんちょう、してますか?」


 ハルトは僕を見上げ、心配そうにつぶやいた。


「ハルト~、お兄ちゃん、ちゃんと作れるかなぁ……?」


 箒を持ってしゃがみ込む僕をよしよし、とハルトが慰めてくれる。


「おにぃちゃん、だいじょぶ! おりょうり、みんな、すきです! ぼくと、ゆぅくんも、がんばります!」

「うぅ~、ありがとう……。お兄ちゃんも、頑張るよ……」

「はぃ! ぜったい、だいじょぶ!」


 まさかハルトに慰めてもらう日が来るとは……。

 弟が成長して、お兄ちゃんは嬉しいよ……。

 二人でそんなやり取りをしながら掃除をしていると、九時課の鐘が聞こえてきた。


「よし! ハルト、今日は頑張ろう!」

「はぃ!」


 お客様を迎える準備をしに、僕たちはお店の中へ戻った。






*****


「トーマスさん、すみません。オレまでついて来ちゃって…」


 熊みたいに大きい身体を小さくし、そう申し訳なさそうに謝るバーナード。


「いやいや、気にするな。まぁ、こんなに食う奴らが集まるとは思ってなかったがな……」

「そうだぜ、バーナード! 気にするこたぁない!」

「イドリス、少し黙っててくれ」

「イドリスさん! 今日は本当にご馳走になっちゃっていいんですか!?」

「俺たち、あんまりお金持ってないんですけど……」

「大丈夫だ! お前ら新人は腹いっぱい食えばいい! 今日は皆、オレの奢りだからな!」

「おいおい、全員奢る気なのか……? イドリス、お前どうしたんだ……?」


 新人だけに奢ると思っていたが、この男は何を血迷ったのか、この大食らい全員分を奢る気でいるらしい。

 エヴァとクラークはまだ人並みだと思う……。ブレンダは少し遅れるそうでまだ来ていないが、イドリスと同じくらい食うと聞いたな……。


 破産する気なのか……?


「いや、トーマスに貰ったサンドイッチがあまりにも旨くてな……。オレも新人の頃にこんな飯が食べれたら、もっとヤル気が出たんじゃないかと思ってな! せっかくだし、大勢で食ったほうが楽しいだろ?」

「え? イドリスさんがそんなになるサンドイッチって、何かのドロップ品とかですか……?」

「ちょっと怪しいですね……。鑑定、しましょうか?」

「エヴァ、クラーク。お前たちはムリに食べなくてもいいんだぞ?」

「あ~ん、ごめんなさいトーマスさん! でもでも! イドリスさんがこんな事言うなんて、おかしくなったと思うじゃないですか~っ!」

「まぁ、その気持ちは分かるな」


 そんなことを話しながら歩いていくと、漸く店の屋根が見えてきた。

 ん? 店の前にぴょんぴょんと跳ねる人影が二つ見える。


「おじぃちゃ~~ん! おかぇりなさ~~い!」

「じぃじ~~~! はやくぅ~~~~!」



(((おじぃちゃん……!?)))


(((じぃじ……!?)))


トーマス以外の全員が、言葉を発せず顔を見合わせる。


「ハルト! ユウマ! ただいま!」


そして満面の笑みで駆け出したトーマスを見て、全員が驚愕の表情を浮かべた。



「「「嘘だろ(でしょ)……!?」」」


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