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22 おてつだい大作戦


「おじぃちゃん、いなぃです…」

「ばぁば、じぃじはぁ?」

「ごめんねぇ、おじいちゃんはもうお仕事に行っちゃったのよ」

「「えぇ~」」


 朝起きてもトーマスさんがいないことに気付き、トーマスさんのことが大好きなハルトとユウマは寂しそうだ。その後ろ姿がしょんぼりしている……。


 トーマスさんは指名依頼までにかなり日数があるため、他にも何件か依頼を受けていた。詳しいことは知らないが、お土産に美味しいお肉を狩ってきてくれるそうだ。

 もう僕の体調も万全なので、そのお肉でオリビアさん特製のミートパイを焼いてくれるって! すっごく楽しみ!


「ねぇ、ハルト、ユウマ。ちょっと聞いてくれる?」

「おにぃちゃん、どぅしたの?」

「にぃに、なぁにぃ~?」


 ぽてぽてと歩きながら僕にぎゅっとしがみついてくる二人の頭を優しく撫でると、(くすぐ)ったそうに目を細める。

 それを見てまたオリビアさんが唸ってるんだけど、トーマスさんは大丈夫だと言っていたから気にしないようにしてる。


「今度ね、トーマスさんのお友達がたくさん遊びに来るんだって」

「おともだち?」

「じぃじの~?」

「うん、みんないっぱいご飯食べるんだって。だからお料理の準備もたくさんしないといけないんだ」

「おにぃちゃん、いそがしぃ?」

「はるくんとゆぅくん、あしょべにゃぃ?」


 しばらく遊んでもらえないのかと心配そうに眉を下げる二人に、僕は昨日の晩ベッドで考えていたことをお願いをしてみることにした。


「んーん、違うよ。まだいつかは決まってないんだけど、お兄ちゃんね、ハルトとユウマにお料理の準備、手伝ってほしいなぁって思ってるんだけど…。お願い出来る?」


 そう聞いた途端、二人の目はパッと見開きイキイキとしだした。


「ぼく、おてつだぃ、できます!」

「ゆぅくんも! いっぱぃできりゅ!」

「ほんと? ありがとう~! じゃあ、日にちが決まったら、一緒にお手伝いお願いします!」

「「はぁーい!!」」


 きゃあきゃあ嬉しそうに飛び跳ねる二人を見て、僕はホッと胸を撫で下ろした。もし嫌だと言われたら、かなり落ち込む自信があったからね。


「あらあら、二人ともとっても嬉しそうね。おばあちゃんも仲間に入れてちょうだい」

「いぃよ! ばぁばもいっちょ! おてちゅだぃ、ちよっ!」

「おばぁちゃん、いっしょ、たのしぃです!」

「おばあちゃんも一緒にお手伝いさせてくれるの? 嬉しい! 頑張りましょうね!」

「「はぁーい!!」」


 オリビアさんにはすでに相談済みだ。二人はまだ幼いし、危ないことはさせないから、と。反対されるかと思ったけど、野菜のヘタを取ったり、生地を一緒に捏ねたりだったらいいんじゃないかと賛成してくれた。

 それにもし、ハルトとユウマが手伝って一緒に作ったと言えば、トーマスさんはビックリするんじゃないかって。驚いた顔が見たいとオリビアさんは楽しそうに笑ってた。


 そうと決まれば早速作戦会議を始めないと!


 こうして、トーマスさんには内緒のおてつだい大作戦が始まったのだった。


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