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236 だれにもないしょ

今回はレティの日常です。


「ん~……。ここにしようかなぁ……?」


 お庭に出て、おばぁちゃんたちが来ていないかしっかり確認。

 よし、大丈夫……!

 おばぁちゃんとおにぃちゃんがお店にいる時間と、おじぃちゃんがめふぃくんのおむつを替える時間。この時間帯が私の秘密の時間なの。


 お(うち)の周りに悪い人が来たらいけないから、私の余った魔力で結界を張る。

 指先から少しだけ血を垂らして、お庭に印を作るだけ。ほんのり蒼く光るから、バレない様に土を被せて隠さなきゃ。

 もし悪いこと考えてる人が来ても、この結界でお(うち)の周りをぐるぐる回って、ここには辿り着けないの。

 前にお店の前で暴れた人がいたから、それから内緒で張ってるの。

 だって、おばぁちゃんとおにぃちゃんの困った顔は、見たくないもん。

 

 魔族は魔力が多いけど、私はその人たちよりもっといっぱいあるって御主人様が言ってた。先に奴隷になってたおじさんたちも、私の事を見て驚いてたし……。

 御主人様に覚えさせられていた事が、今になって役に立つなんてって思うけど。

 家族を守れるなら、何だっていいの。



「れてぃちゃん、ここにいました!」

「えてぃちゃん、なにちてりゅの~?」

「あ、はるくん、ゆぅくん」


 はるくんとゆぅくんには、見つかっても大丈夫!

 だって、三人で決めたんだもん!


「けっかいをね、はりなおしてるの」

「しょうなの~? えてぃちゃん、しんどくなぁい?」

「うん! だいじょうぶ……!」


 ゆぅくんはね、いっつも私の体調を心配してくれるの。優しくて可愛くて、手を握るとふわふわしてるのよ。傍にいるとあったかくて、まるでお日様みたい。

 レティって上手に言えなくて、一緒に練習したんだけど……。ふふ、ゆっくり喋ったら言えたんだけどな。

 可愛いから、えてぃちゃんでいいの。


「わるいひと、きてませんか?」

「うん! だからはるくん、あんしんしておけいこできるよ……!」

「やったぁ!」


 はるくんは、悪い人からおにぃちゃんたちを守りたいって、剣のお稽古頑張ってるの。

 だから私もお店のお手伝いをしなくていい時は、はるくんを強くするために妖精さんたちと一緒に練習相手になるの。

 おじぃちゃんが教えてくれたギルドの訓練も、私が結界を張ってるから安心して行っていいよって。

 だって、行きたそうなのが分かるんだもん。

 それに行って良かったみたい。弓も楽しいって言ってたし!

 それに、新しいお友達も出来たんだって! 

 ライアンくんが知ったら拗ねちゃいそうだけど……。大丈夫だよね……?


「つち、かぶせますか?」

「うん。ひかっちゃうから、かくさなきゃ……!」

「ぼくも、おてつだい、します!」

「ゆぅくんもしゅる~!」

「ふふ、ありがと……!」


 三人で急いで土を被せてると、家の方からおにぃちゃんの声が。


「皆~! ご飯出来たよ~!」


 大変! こっちを見てる!


「はぁ~い!」

「ごはん~!」

「いま、いく……!」


 はるくんとゆぅくんに、内緒ね、と約束して急いでおにぃちゃんの下へ。

 

「さ、手を洗ってご飯食べようね」

「「「はぁ~い!」」」


 おにぃちゃんね、私たちの事を本当に優しい目で見つめるの。

 私はお母さんの事は知らないけど、お母さんがいたらこんなかなって、たまに思っちゃうときがある。

 おにぃちゃんには、コレも内緒。




「おぉ~! これは旨そうだ!」

「とっても、いいにおいです!」

「おぃちちょ~!」

「はやく、たべたい!」


 今日のお昼は餡かけレタス(レティス)のチャーハン。

 今日のは自信作なんだって。おにぃちゃんのお料理、いっつも美味しいのに……。それよりもっと美味しいの……?

 ちなみに、おばぁちゃんはすでに完食済みだって笑ってた。


「ふふ、上の餡がちょっと熱いから気を付けてね? じゃあトーマスさん、あとお願いします」

「あぁ、任せてくれ」


 おにぃちゃんは私たちのお昼ご飯を並べて、お店の開店準備へと戻って行く。

 忙しそうなのに、いっつも笑顔でお客様をお出迎え。

 笑うとね、はるくんとゆぅくんとそっくりなの。おにぃちゃんだけど、とっても可愛い。だからお客様の中にはおにぃちゃんに会いたくて来てる人もいるみたい。

 これはアレクさんには内緒ね? だって、絶対拗ねちゃうもん。



「とっても、おいしいです!」

「ゆぅくん、こぇちゅき!」

「さすが自信作だな……」


 餡かけチャーハンを食べて、はるくんたちも大興奮。

 めふぃくんにミルクを飲ませ終わって、おじぃちゃんもやっとお昼ご飯。餡が熱々だから、おじぃちゃんが食べる頃にも冷めずに温かいまま。旨いって呟いて、幸せそうに味わって食べてる。

 私もフゥフゥしながらパクリと頬張ると、とろっとした餡がご飯と絡まってとっても美味しい……!

 スプーンが止まらなくなっちゃった。

 

 




*****


「さ、レティちゃん寝る時間よ~」

「はぁ~い」


 おばぁちゃんに呼ばれてベッドの中へ。

 おじぃちゃんとおばぁちゃんの真ん中で、ふかふかの布団を被せてもらう。

 隣のベビーベッドの中では、めふぃくんが可愛い寝顔ですやすや夢の中。

 ホントは自分のお部屋があるんだけど、寂しいからおばぁちゃんたちのお部屋で一緒に寝かせてもらう。

 今日あった事をお話するんだけど、おじぃちゃんもおばぁちゃんもとっても温かくて、話の途中で私はいっつも眠くなっちゃうの。

 目を瞑ると、おでことほっぺに優しいキスの感触。

 それがあると、とっても幸せな気分で眠れるの。







 おにぃちゃんが助けてくれたから、こうやって毎日幸せに暮らせるの。

 だからおにぃちゃんたちを悪く言う人がいたら、私がお仕置きしてあげるね。


 だけど怒られちゃいそうだから、これは誰にも内緒。



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