男とT
家に帰るとTが部屋の前にいた。
大量の食べ物が入った袋を片手に。
「よう!夜までお前んちで時間潰そうと思ってさ!」
俺は深いため息をついた。そうだった。こいつはこういうやつだった。
俺が帰らなければずっとこいつ玄関でスタンバってたのかと思いながら俺は玄関を開けた。
Tはじゃ〇りこをボリボリたべながら我が家のようにリラックスして漫画を読んでいる。
何なんだこいつは。家主よりくつろいでるって…
そう若干のイラつきを交えながらもTに聞いてみた。
「なあ、今夜のお化け退治って何するんだ?
視線を漫画から変えずTは答えた。
「あー、除霊するんだよ、お祓いしてもらってぱぱっと」
除霊???こいつそんなことできるのか。
してもらってって…誰か坊さんでも呼ぶ気なのか。
Tは続けて答えた。
「俺の知り合いにさ、いるんだよ。霊感が強い子が」
おいおい、マジかよ。こいつだけでも精いっぱいだってのに。
霊感強い子って絶対めんどくさいやつじゃないか。
これ以上の子守はたくさんだ。
「まあ夜になればわかるって」
そしてTは再び漫画に集中しだした。
なんなんだこいつは…いろいろ突っ込みたい気分だ。
「そもそも何で俺までついていかなきゃなんないんだよ」
「何でって、暇じゃんお前」
確かにそうだが…もういい。とことん付き合ってやる。
そう思いながら俺はベッドに横になった。
Tは勝手に漫画読ませておくとして俺は仮眠でも取っておこう。